【感想・ネタバレ】パンク侍、斬られて候のレビュー

あらすじ

江戸時代。ある晴天の日。街道沿いの茶店に腰かけていた牢人は、そこにいた、盲目の娘を連れた巡礼の老人を、抜く手も見せずに太刀を振りかざし、ずばりと斬り捨てた。居合わせた藩士に理由を問われた牢人・掛十之進は、かの老人が「腹ふり党」の一員であり、この土地に恐るべき厄災をもたらすに違いないから事前にそれを防止した、と言うのだった……。圧倒的な才能で描かれる諧謔と風刺に満ち満ちた傑作時代小説!!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルからしてとても好きです

200326
これは時代小説なんかじゃない。
なんたって、わたしがすらすら読めたのだから。

このタイトルが本当に好き。
ゴロも良いし、『パンク侍』っていうワードが心くすぐられる!

町田康さんの『人生パンク劇場』を読んで、
あっ、これわたしの好きなタイプだ、と思い
前々から読みたかったこの本を。

実写映画化されてたけど、
これは映画化には本当に向いてない作品だなぁと。

小説としては良いところなんだけど、
映像にしちゃうと冷めちゃうんだろうなぁ…
というキャラクターや物語の進み方だった。
小説としては本当にとても良い。
こんなこと言ってるけど、
クドカン脚本だし、どうなってるのか気になるから映画も観る。

まず、登場人物全員頭狂ってるのが最高。
狂ってるのに、ふと自分のしてることを客観視して冷静に考えてる描写にギャップを感じてとても好きだった。
自分の陥ったピンチを切り抜けようと、
突拍子もないこと(変な歌をうたったり、変なセリフを言ってみたりする)をするところも好き。

最後まで、結局パンク侍って誰?って思ってたら、
やはり掛さんだったらしい。
みんなパンクだし侍だからわかんなかった。

腹ふり党という既に滅びている偽宗教を復興させたことで、大変な騒動になる話。
腹ふり党はTRICK臭がして最高だった。
(つまりはガダラの豚臭もする)

よくわからない理屈を言ってるのに、
それを信じる馬鹿共がたくさんいる世の中を皮肉ってた。

登場人物がポンポン増えていくし、
名前が複雑なのに、覚えていられた。
大臼さんが好きだなあ〜

0
2022年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この世界は虚妄だと訴える新興宗教の腹ふり党とそれに対峙するパンク侍の物語?

最後の方は(最初からか)無茶苦茶だけど、全体を通して、藩のメンバーやら言葉を理解する猿やら、インチキくさいやつばかりが出てきて、インチキ臭いことばかりする。
だいたい主人公の最初の言動もおかしい。

最終的には、主人公は世界がインチキというか虚妄であることを認めるんだけど、それでもその中でどうやって生きていくか、みたいなのがテーマになっているようななっていないような。そんなまっすぐな話じゃない?

だって、たとえ世界が虚構であろうと虚妄であろうと、僕は生き延びる、なんてかっこよくのたまった次のシーンで死んじゃうんだもん、主人公のパンク侍が。

美少女ろんはラストで吐き捨てるように言う。
こんな世界だからこそ譲れないものがある、と。
そんな彼女が吹き出した(意味不明)空は綺麗な青ででも偽物。

0
2017年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

壮大な仇討ち話。
夢見がちな人間を皮肉ったものが、腹ふり党 と理解した。自分の事を言われている様だった。その言語化のレベルが深くて、こんなに短い言葉で言い表されたら立つ背がないと感じた。

0
2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嘘ばっかりの世界で虚勢にまみれた人間たちがドタバタ絶命する話。
どんなに偉い殿様も、腹黒の内閣もアホも教祖もみんなみんなキャーンと絶命。なんか全部どうでもよくなるけど、「こんな世界だからこそ絶対に譲れないことがあるのよ」と復習を果たすろくは最高にパンクだ。こんな嘘だらけの世界で、無秩序になった世界で、それでも果たしたい執着こそが生き物の本質な気がした。

0
2022年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キャラクターから喋り方からストーリーまで、自由に突っ走り風刺のきいたアクの強さがある。
映画を先に見たのであらすじは知っている状態だったが楽しめた。細かい部分の改変はあれど、原作に忠実な脚本だったことが分かる。
後半、登場人物が呆気なく死んでいき、淡々とナレーションされていくのが物悲しかった。殺し合いってこういうものだよなと思いつつ、突然プツリと途断える命がやけに響いた。
色々あって結局なんだったのか分からないけど、何か頭に残る作品。

0
2018年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『口から真っ青な空を吹いた。』
『美しく、嘘そのものであった。』

デタラメで嘘ばかりな物語りを、きゅっと締める絶妙な最後の一文。

時代小説と見せかけて近代日本を言いえて絶妙に描写、きっと現代のどの世代が読んでも共感できる一文があるのでは。

虚妄の世界を徹頭徹尾描いてるだからこそ、最後のろんが言う『こんな世界だからこそ絶対に譲れないことがあるのよ』が最高に説得力を持って響く

「なぜみんなこんなに簡単に信用するのでしょう」
「やつらはそれが合理的だから信じるんじゃない。自分が信じたいから信じるんだ。」

0
2024年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルが秀逸であったため手に取った。
内容は奇天烈としか言いようがない。
しかし、“因果応報”がこの物語の裏テーマであるのか、秩序がない世界の中にもある程度の因果関係が見られた。

現代を風刺するようなセリフが所々にあり、クスリと笑った。
滑稽な語り口から鋭い批判が飛び交い、現代にも通じる矛盾などを突いてるのは恐れ入った。

0
2022年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界観が全く謎な一冊
超人的刺客の掛十之進はある日
腹ふり党と勘違いして男を刺し殺し、
盲目の娘を逃す。
そこに居合わせた黒和藩の長岡主馬は
腹ふり党について聞こうとするが、その
依存的態度が気にくわないと、情報を、あげるかわりに自分を黒和藩で雇うよう条件を出す。
内藤帯刀の元に迎えられ、内藤は腹ふり党を弾圧し、功績をあげようと目論むが、いつまでたっても腹ふり党は姿を見せない。
そこで、密偵である江下レの魂次を使いにいかせる。
そこで腹ふり党は既に消滅したという事実を知り、内藤はインチキでいいから腹ふり党を結成しろと掛に指示する。
掛は魂次、オサム、幕暮孫兵衞とともに
元腹ふり党幹部である茶山半郎の元へ訪れる。そこにはろんという綺麗な女性がいた。
この世は蟯虫の腹の中であり、何も考えずただ腹を振っていればあまりの意味のなさに蟯虫が苦悶し、体内から排泄される。これをおへどと言い、恵愚母のお導きだという。
茶山は腹ふり党結成を引き受け、掛が思っていた以上の勢力を増し気付いた時には取り返しのつかないほどになっていた。
喋る猿の大臼(でうす)の案で、日本中の猿を率いて、少数の黒和藩と腹ふり党と戦をするも収集がつかず、掛は逃げる。
その先にろんと再会し、一緒についていくといわれ喜びに浸るも肝臓を竹ベラで刺され掛けは絶命する。
ろんは父を殺された復習をずっと目論んでいたのだった。
1回目見たときは全くクソな内容だと思ったけど、映画も見てるうちに中毒性があるのに納得した。
ピストルズのアナーキーの曲もこの話に合ってて良かった(^^)
2019/06/29 08:08

0
2021年06月04日

「歴史・時代」ランキング