あらすじ
体が不自由になった許嫁との結婚を反対され他家に嫁いだ女を、
男は想い続ける――表題作「たば風」ほか、夫との離縁を目論む女が
息子に課された難題に奮闘する「恋文」、松前藩主の正室に仕えるべく
集められた娘たちの青春「血脈桜」など、江戸後期から明治初期にかけて
蝦夷地で生命を燃焼させた男女を描く傑作六編。
自身の郷土を舞台とした時代小説短編集。
解説=梶よう子
※この電子書籍は2023年5月に刊行された文春文庫(新装版)を底本としています。
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Posted by ブクログ
決してハッピーエンドではない。だけど、いつまでも心に残る。
「たば風」は純愛を美しく魅せてくれた。
何処にでもいる市井の人。大きな時代の流れの中で、そう生きるしかなかった人。
「柄杓星」も両想いなのに添えない。
生きているといろんなことで心に傷を負う。一生携えて何処かに眠る傷もある。
解説の文章の「たとえ樹木の末端の枝のような生であろうと、1本の木を構成する大切な1部。」という言葉が残る。
大部分の人は無名だ。だけど、失った時に、二度と会えないとわかった時に哀しみに気づく。その笑顔が、その声がどれほど大切であったかを。
Posted by ブクログ
蝦夷拾遺、というタイトルに惹かれて手にとってみた。
今まで何冊か蝦夷やアイヌの本やマンガを読んだことがあって、それが面白くて、以降何となく惹かれる蝦夷。
6話全てが蝦夷舞台ではないんだけど、どれも蝦夷に関連する物語。
ちょっと想像とは違ったけど、面白かった。
基本的に物悲しい話なんだけど、この時代の人達はこれが当たり前だったんだよなぁと思うと現代に生まれて良かったと思っちゃう。
個人的には黒百合が好き。
少し物足りない感じもしたけど、歴史の勉強にもなったし良い読書だった。
この作者さんの長編が読んでみたいな。