【感想・ネタバレ】八月の銀の雪(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

憂鬱な不採用通知、幼い娘を抱える母子家庭、契約社員の葛藤……。うまく喋れなくても否定されても、僕は耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。磁場を見ているハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルに吹き続ける偏西風の永遠に。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の五編。(解説・橋本麻里)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

短編小説集。
上手く生きれない人物の葛藤を描いた小説。自分自身も人生を上手く生きれなかったので、登場人物に共感と希望を抱いているのかもしれないです。

▼八月の銀の雪
 就活で苦戦している主人公・堀川。彼は、コンビニで働いている日本語が下手なベトナム人留学生・グエンに会う。当初堀川は、仕事の出来ない彼女に嫌悪感を感じていたが、彼女と会話を通じて表面だけ見ても何も理解できない事に気づく。自分と他者の内面の奥深くを知り、

▼アルノーと檸檬
 役者を目指し父親の反対を押しきり上京した主人公・正樹。しかし、現実は甘くなく役者の道は諦め、マンションの立ち退き業務に勤めながら希望のない日々を送る。その中で加藤という女性から「アルノー19号」というハトがベランダに住み着いたという話を聞く。
 ハトは帰省本能が高く、その中でも特にアルノーは帰省本能に長けているハト一族だった。そんなアルノー19号が、なぜ帰省しないのかー
 正樹はアルノー19号に、帰る場所を失った自らの孤独を重ね合わせ、故郷を想い自分の人生に向かい合っていくお話しー

▼玻璃を拾う
 主人公・瞳子は、綺麗なガラス細工の写真をSNSに投稿すると、”休眠胞子”というユーザーから執拗に消去依頼の連絡が来る。SNS投稿をめぐる瞳子と休眠細胞のトラブルに関連したお話ー
 印象的なセリフとしては、
・女性たちをヒストグラムにしたら、平均値の周辺に大多数が集中した、とがった山形の分布になるでしょうね。
・単細胞の珪藻が美しいガラスをまとっているように、人間もまた多かれ少なかれ、見栄えよく繕った殻と、それに不釣り合いな中身を抱えている。それがむしろ、ありのままの姿ではないのか。

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2025年06月14日

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