【感想・ネタバレ】魚ビジネス 食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める本のレビュー

あらすじ

オバマ元大統領も、レディー・ガガも、デビッド・ベッカムも…
海外セレブが日本の魚に魅了されている!
おさかなコーディネータが教える、ビジネスパーソンが知っておきたい「魚の教養」

食として魚の魅力をわかりやすく解説し、日本テレビ系ドラマ「ファーストペンギン!」の漁業監修も手がけた著者による、世界に誇るべき日本の魚文化について紹介します。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ面白い。
科学✕経済✕環境✕文化、様々な視点が絡み合って特殊な経済様式を生み出してる。

①鮮度=ATP
 魚の鮮度を一言で言うならATP量。動物が死後硬直するのは酸素供給の中止によってATP生成が停止し、ミオシンの伸縮が固定化される。ATPが残存している間は収縮状態で硬直するが、ATPが完全枯渇すると次にプロテアーゼによるタンパク質の分解が始まる。これを緩解と言う。鮮度の高い切り身は硬直しているために角が立つが時間が立つとヘタる。これが鮮度が落ちるという現象。

②鮮度が高い≠美味しい
 鮮度の高い魚は産地でこそ食べられる。しかしながら、鮮度が高い=美味しいとは限らない。具体例としてブリは関西では歯ごたえを求められるため獲りたてが喜ばれる。他方で、時間が立つと分解されてアミノ酸が生成される。緩解によってアミノ酸にまで分解される事を熟成と呼ぶ。歯応えと熟成は反比例するため食材のベストは食べ方や好みで変わる。
また、魚の青臭さは腐敗によるトリメチルアミンが原因である。アルカリ性のトリメチルアミンを中和するのが酢の存在。酢締めや酢飯が相性良いのはトリメチルアミンの中和が目的。そして、この酢飯の塩梅は鮮度の高い産地では差が付きにくく、内地ほどネタや酢飯の技術に差が出る。

③ふるさと納税の恩恵
 実はふるさと納税には通常販路に乗らない珍しい魚が出回る。ふるさと納税によって販路や決済方法について急速に自治体の水準が上昇した。これに伴って、元々産地周囲でしか取引していなかった漁場や漁師が自治体に販売委託することでふるさと納税の販路で取引可能になった。珍しい魚が豊洲などの市場を経由せずふるさと納税にのみ出ている魚もある。

その他、遺伝子組み換えとゲノム編集の違い、漁法による価値の違い、ノルウェーと日本の漁業の違いなどあらゆる観点から日本の魚ビジネスの特徴や苦難、工夫を記述した良書。

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2023年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ


魚ビジネスの基礎や寿司、基本的な魚の知識を知ることができる本。

以下備忘録
・世界の食用水産物は1.57億トンへと年々増加。世界で魚人気が加速している。
・海外からは、日本で本場の寿司を食べたいと言った目的で来日する人も増加。魚を知っていることは日本のアイデンティティになる。
・寿司は各国でアレンジをされているため、本来の寿司は日本に来なければ食べられない。
・寿司の歴史、なれずし(鮒寿司)。ご飯と一緒に発酵→発酵から酢を使う、酢飯に変化→稲荷寿司、ちらし寿司、箱寿司(関西)→握り寿司(関東)、おにぎりぐらいの大きさのファーストフード(コハダが人気)屋台→冷蔵技術が発展し、生のネタが増え、シャリも小型化。
・鮮度の良さを楽しむ魚種は、さしみで
・寿司は流通先で美味しく食べるための料理。
・寿司で美味しいウニ=ミョウバンをうまく効かせたもの
・大間のマグロは、エサ+海流+一本釣り+冷凍物流のため、価値が高い。
・高級寿司はその日の最高のものを提供。
・回転寿しの市場規模7400億
・漁師→漁協でセリ(買参権が必要)→仲買→魚屋、スーパー、飲食店(中抜きは反感を食らう)
・各地で漁協のルールが違う。(とり方、船の大きさ、魚種が違うため統一できない)
・魚の数が変動する理由。海洋環境の変化、漁獲による影響。人の手による環境変化。
・漁業法改正
①インプットコントロール。(投入量規制)漁業権を設けて、漁船の数や大きさを制限。魚を獲る機会を管理。
②テクニカルコントロール(技術的規制)
網目の大きさや禁止区域設定など、漁獲の効率性を管理。
③アウトプットコントロール(産出量規制)
とってもいい量を計算して定める。今回このコントロールへ以降。

ノルウェーなどは魚種が少ないから機能しているが、日本は魚種が多い+小規模漁船も多いので機能するかは不明。

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2023年08月15日

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