ながさき一生の作品一覧
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
科学✕経済✕環境✕文化、様々な視点が絡み合って特殊な経済様式を生み出してる。
①鮮度=ATP
魚の鮮度を一言で言うならATP量。動物が死後硬直するのは酸素供給の中止によってATP生成が停止し、ミオシンの伸縮が固定化される。ATPが残存している間は収縮状態で硬直するが、ATPが完全枯渇すると次にプロテアーゼによるタンパク質の分解が始まる。これを緩解と言う。鮮度の高い切り身は硬直しているために角が立つが時間が立つとヘタる。これが鮮度が落ちるという現象。
②鮮度が高い≠美味しい
鮮度の高い魚は産地でこそ食べられる。しかしながら、鮮度が高い=美味しいとは限らない。具体例としてブリは関西では歯ごたえを求められるため獲りたてが喜ばれる。他方で、時間が立つと分解されてアミノ酸が生成される。緩解によってアミノ酸にまで分解される事を熟成と呼ぶ。歯応えと熟成は反比例するため食材のベストは食べ方や好みで変わる。
また、魚の青臭さは腐敗によるトリメチルアミンが原因である。アルカリ性のトリメチルアミンを中和するのが酢の存在。酢締めや酢飯が相性良いのはトリメチルアミンの中和が目的。そして、この酢飯の塩梅は鮮度の高い産地では差が付きにくく、内地ほどネタや酢飯の技術に差が出る。
③ふるさと納税の恩恵
実はふるさと納税には通常販路に乗らない珍しい魚が出回る。ふるさと納税によって販路や決済方法について急速に自治体の水準が上昇した。これに伴って、元々産地周囲でしか取引していなかった漁場や漁師が自治体に販売委託することでふるさと納税の販路で取引可能になった。珍しい魚が豊洲などの市場を経由せずふるさと納税にのみ出ている魚もある。
その他、遺伝子組み換えとゲノム編集の違い、漁法による価値の違い、ノルウェーと日本の漁業の違いなどあらゆる観点から日本の魚ビジネスの特徴や苦難、工夫を記述した良書。