あらすじ
かつてはこの国にも確かな見識があった。著者は東大を繰上げ卒業して海軍に入り、中国で終戦。戦後は志賀直哉に師事して、生きる意味を深く問いかける名作や人間味溢れる随筆を数多くしたためてきた。その実体験と読書体験と思索に裏打ちされた、人生の叡智が凝縮された読むほどに味わい深い1冊。
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Posted by ブクログ
読み応えがありました。阿川弘之「大人の見識」、2007.11発行。日本人の国民性は勤勉、几帳面、そして軽躁(熱しやすく、冷めやすい) 東条英機、鈴木貫太郎、吉田茂の話が興味深かったです。東条英機が横暴で独善的(気に入らない人間は二等兵に召集など)、中学生ぐらいの頭脳、重箱の隅を突っつくようなみみっちさと容赦がありません。鈴木貫太郎には首相としての顔つき、人間としての風格があり、それが国家の品位につながった。吉田茂のユーモアには大拍手。GHQを Go home quicklyの略かとマッカーサーにw。
Posted by ブクログ
「急ぎの用はゆっくりと」、「静かに時を過ごすことを習え」といった「大人の見識」を身につけることを勧めた本。
著者は日本人が軽率な者を勇敢と見なしたり、些細なことに対して大げさに騒いだりする傾向を持っていることを「軽躁」であると指摘し、それに対して「静謐」を重んじよ、と主張する。そして、この「静謐」という語は『今昔物語』に出てくる「和魂(やまとだましい)」に通ずる。
これは戦時中に武士の心意気として盛んに喧伝された「大和魂」とは異なり、「日本人なら本来持っているべき思慮分別」と定義される。
その他は日本海軍やイギリス海軍に関する記述が多い。両者ともユーモアのセンスを重んじたとか。その内容の大体はべた褒め。