あらすじ
あの日、僕は、親友の草太、伸男と、自転車で走り始めた。生まれ育った南房総の風ヶ丘から、目指すは大都会・東京。新世界への旅立ちだ。喜びや挫折を味わいながら、僕らは夢に向け、ペダルをひたすら漕ぎ続けた。仲間と、東京から日本海を目指す自転車ラリーを完走した。もちろん素敵な恋もした。爽快無比の成長小説!
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自転車愛に溢れている物語
初めて補助輪を外して自転車に乗れた時の感動、新しい自転車を買った時のワクワク感、友だちと一緒にサイクリングに出かけた時の未知なる冒険への高揚感、彼女と二人乗りして走るトキメキ感。小さい頃に誰もが経験した感情を大人になってもずっとキープしてる登場人物たち。八王子から糸魚川までの300キロの道のりを1日で走破した草太。別れた彼女とよりを戻すために千葉から仙台まで自転車で会いに行く昇平。自転車を通して紡がれる友情や愛情。登場人物のすべてがいい人たちで溢れている。最初から最後まで爽快感と自転車愛に満ちた物語。
Posted by ブクログ
自転車には非常に興味があって、高校時代には200キロ程度のサイクリングにも行ったりしたし、30代のしばらくはクロスバイクで自転車通勤もした。だが最近は他の趣味に時間を取られて、きちんと自転車に乗る暇がなく、せいぜいママチャリでジムに行く程度。
でも、自転車って乗ったら絶対オモロいと思うねんなぁ。人間の脚力だけで時速60キロくらい出せるなんてそうそうない(あとはスキースノボくらいか?)し、エコだし、乗り物であり、スポーツであり、実用であり、趣味であり…
そんな自転車とともに人生を送る主人公昇平の物語。とはいってもガチな自転車競技のシーンはなく、生活の中に自転車が寄り添っているという感じ。その描写がまた実にいいんよなぁ。
初めての下り坂、大人への区切りで走る東京への道、失恋に決着をつけるためにいく仙台。八海ラリー…、自転車ではなく、トレッキングだったりジョギングだったり、俺も競技は違っても気持ちが分かる。あぁ、俺もこういうチャレンジをやってみたいねんなぁ。
ところで、なんと、この文庫本と単行本では内容が違うらしい。(一部被る)
登場人物や舞台背景は一緒で、単行本はこの本の主人公が子供時代から大人になるまでを、いろんな登場刃部目線で描いているらしい。しかも結構自転車競技ガチ目線の部分もあるらしく、それはそれで読んでおきたいなぁと
Posted by ブクログ
「競技としての自転車」により興味を持てた一冊。
ストーリー展開が割と単純なため、中盤以降は読み進めながら先の展開が「読めて」しまうことを考えると、どちらかというとあまり小説を読み慣れていない人向けの物語かも。
ただ、主人公やそれをとりかこむ周囲の人々が、みんなそれぞれのスタイルで前向きに生きているため、たくさんエネルギーが貰える物語であることは間違いない。個人的には、単純ではあるがこういう展開は好き。
あらゆる本を読んでいて思うが、「自転車」は個人技のように見えて、実はとてつもなく団体競技なのです。この物語では、少年期から子供が出来るまでを描いていることから、主人公にとっての「支え」が成長するにつれて変化していくのが興味深い。何もできない赤ちゃんですら、誰かに何かを与えることが出来るのだ、とつくづく思わされた。
「自転車で走ること」(=前に踏み出すこと)で何かを見出そうとする登場人物たちの姿勢は、くよくよ悩む前に「とにかくやってみる」ことの重要性を体現しているように思う。