あらすじ
ベッドの上でからみあうふたりの脚。きれいに塗られたパールピンクの爪。その足指が、ときおりぎゅうとねじ曲がる。開く。曲がる。開く。……。予備校の隣にラブホが建った。以来、あたしは屋上から、のぞきみちゃんな日々。ゆるしてちょうだい、だってあたし十八歳。発情期なんでございます。ある日、誰も来ないはずの屋上に男の子がやってきた――!! それ以来、あたしは彼と、“一緒に”のぞいて、“お互いに”オナニーすることに……。栄えある第1回R-18文学賞・読者賞受賞の表題作を収録した、女の子のための3つのストーリー。
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Posted by ブクログ
表題作「青空チェリー」は“女による女のためのR-18文学賞”第一回読者賞(ネットで公開した応募作品の中から一般の読者が選ぶ賞)を獲得した作品。
R-18文学賞ができた時に、「青空チェリー」がちょうど公開されていて、ちらっと読んで、何だか気になっていた作品。
うーんとね。意外とすきです。
正直、かるーいゆるーいお話を想像していたのですが、胸にくるもんがあるんです。
「青空チェリー」はちょっと“えっち”なお話、っていうくらいで、いやらしい感じというよりは爽やかな感じすらしました。
そして、同時収録の「ハニィ、空が灼けているよ。」と「誓いじゃないけど僕は思った」がまたじんときた。
解説をされている書評家の藤田香織さんが述べられているように「泣ける」小説ではなく、「泣きたくなる」小説だと確かに思いました。
私は教授とハニィの間に挟まれたことはないし(「ハニィ、空が~」)、中学の時から想い続けているひとがいるわけではないけれど(「誓いじゃないけど~」)、こみあげてくるものがありました。
すごく清々しい小説を書く方だな、と。
単行本~文庫化にあたって、けっこう書き直しをされたそうなのですが、単行本の方も読んでみたい。