あらすじ
愛を見失った少女、愛に飢えた少年、愛を手探りする不器用な大人たち。淋しくて、やるせなくて、逃げ出したくなるけれど、そんなみんなの心にも、やがて希望の雨がふりかかる。「多くを望まなければ、生きていくことは、そんなに難しいことじゃないよ」――。ミリオンセラー作家の魂の叫びが木霊する、三つの「愛」の物語。
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Posted by ブクログ
短編集。どのお話も深みがあって、とても読み応えがありました。死について考えさせられる一冊ですが、言葉の選び方が美しかったり、文章構成がおもしろかったりするので、そこまで暗い気持ちになることなく、読むことができました。
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市川 拓司さんの短編集。市川が好きで手にしたのだけれど、一言で言えばダーク。
良くできたストーリーに救われるけれど、今度は彼が書く世界中が晴れた日のことを読んでみたいと思いました。
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おっちゃんの推しの作家さんの作品。
久々に市川作品を読もうかと意気込んだ直後、明らかなる違和感を感じた。
短編三作品からなる本書、まずは“琥珀の中に”。
読み出して30分後には異変警報が(笑)
市川作品にしては、今作やたらと男女の絡みシーンが描写されている。そして現れる死体、さらにはレジン詰め…。市川作品には見られないストレートな表現も多く、これは穿った見方で攻めてきた作品かなと思った。
絡みはともかく(とはいえ著者としては、表現がリアル。見たことが無い)死体周りには、乙一的な雰囲気を感じた。
一つ飛ばして“循環不安”。これもストレートに死体を出してきた。小さな世界を目指し、その中でも静かに・綺麗に・そして優しく紡いで行く…みたいな作品を繰り出す著者なイメージを覆す内容。
「何か嫌なことがあったのですか?」
と聞きたくなるぐらい真逆なストーリー。ここにも乙一的な雰囲気を感じた。ハラハラもした。犬、そういや…でしたな。
最後に“世界中が雨だったら”。これは市川作品らしいストーリー。でも、少年が未遂とはいえ九分九厘、自殺を決行するという姿勢を貫くってところは、やはりイメージと違うと肌身に感じた。
姉との関わり方は、著者らしさが出ていた気がする。おっちゃんはそんな雰囲気が好きです。
つらつらと書いているが、三編どの主人公の男(琥珀の中には違うかな)にも共通してあるハンディキャップ、自分に自信が持てない、引っ込み思案、優しいが故の奥手、これらの要素を持たせているところには、市川作品ならではなものを感じた。むしろその設定こそ真髄かと。
異色な作品を試してみる的な作品。
悪くはない作品でしたね。
ただ、ガス欠のその後は気になりますね。不完全燃焼のまま終わらせるのも、試みの一つなのか…真相は著者のみぞ知るのでしょう。
驚きこそありましたが、一味違った世界を見させてもらいました。とても良かったです。
優しい心になれる作品にも期待しています。
ありがとうございました。
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世界中が雨だったら
そんな題名に惹かれて 読み始めた。
明るく楽しい話じゃなく 心の中の暗い部分を
描いた本だった。
僕のマイナーな気持ちとシンクロして ついつい一気に読んでしまった。
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市川さんの短編小説。
まぁ、いわゆる市川調な感じの小説ではなかったけど、でもそれが反って新鮮だったよ~。
義父を殺してしまった少女と、その少女に恋におちた少年の話『琥珀の中に』
苛められてた少年が意を決して、苛めた級友に殺される処置をとる話『世界中が雨だったら』
二人の女性を殺めてしまった男が死体を乗せて車で遠出をする話『循環不安』
どれも、市川さんのお得意の『愛』というテーマにはちょっと程遠い『死』と『生』をメインにした3つの短編になってます。
3つの中でどれが一番いい。
とは決められない。。。どれも同じくらいダークで、同じくらい重厚な感じの話になってる。。。
ちょっとミステリってぽい感じもするかな~。
でも、なんか、こんな話なのに、読後感がしっとりするのは、やっぱり市川さんならでは。だよね~。
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『いま、会いにゆきます』や『そのときは彼によろしく』とは一味違った物語。
愛と死は深く関係するもので、人を大きく変えてしまう。
読んでいてすごく恐かった。
けれど、いろんな意味で考えさせられました。
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『いま、会いにゆきます』や『恋愛寫眞』などの
市川さんの切なくて美しい恋愛が好きな人にとっては衝撃的で受け入れがたいかもしれない。
この本で描かれている3つの話は、あまりにも暗くて重い。
切ない、というよりも、悲しすぎる。
どの話も『死』がテーマになっていて、非常にダークだ。
好きになれない人は多いと思う。
でも私は、綺麗で切なくて優しい物語だけを描く作家さんより、人間の狂気的で醜い部分も描ける作家さんの方が良い。
人間誰でも心の中に醜い部分を持っている。
そういう所は見ないふりして綺麗な愛だけでも良いのに、市川さんはそれも描く。
こういう方だからこそ、市川さんの小説はあんなに心に響くのだろうな、と思う。
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市川さんが好きで手に取った本のひとつ。『そのときは彼によろしく』の、温かくも切ない雰囲気かと思えばそうでもなく。想像もしない割とダークな話。読み直したい本のひとつ。
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060222
市川さんの他の小説とは違う感じだった。
「世界中が雨だったら」が一番考えさせられた。
弟がいるからかな。
子育てって難しい。
こどもとはいえ
自分のお腹を痛めた子だとはいえ
やっぱり別の人格なわけで
気持ちを察することは難しいけど
絶対に必要なこと。
わかることはなくっても
想像することは出来るはず。
そして兄弟で比較するっていうのはよろしくないことですね。
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『いま、会いにゆきます』の所為で完全に純粋な物語だと思って読み始めましたが、ダークな話で驚きました。歪んでるとか狂ってるって言葉がしっくりきますが、だからこそ深みがあって面白かったです。
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市川拓司はこういう作風でも文章が書けるんですね。
登場人物や描写の仕方は市川拓司らしいんですけど。
耐えられないのなら
逃げ出せばいいのよ。恥ずかしいことではないわ
多くを望まなければ、生きていくことは、
そんなに難しいことじゃないのに
こういうセリフはいかにも市川拓司という印象を受けました。
他の作品に出てくる登場人物もこんな感じだったので。
やっぱり純愛のイメージが先行しすぎたのかな。
人間の弱さと狂気を並行して書いていることに驚きました。
読み進めれば読み進めるほど。
悲しみが増幅されて重くのしかかってきます。
号泣してしまうような悲しみではなくて。
泣くに泣けない切なさのような。やるせなさのような。
悲しすぎると人間ってうまく泣けないのかな。
こんなに悲しい話はそうないと思います。
それでも、ただ絶望だけでは終わらないところが良かったです。
限りなく絶望に近いところにいたとしても、救いはきっとある。
人生捨てたもんじゃないな。
そう思うことができる人は強いと思います。
本当に強いってどういうことなんだろう。
強くなるためにはどうすればいいんだろう。
いろいろなことを考えてしまいました。
読み終わってからも色濃く残る作品でした。
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ちょっと重すぎです。3つの短編集。3つとも、人間の弱さ、不器用さが際立った話でした。特に表題の話は「自殺」に追い込まれた少年の話だし。「世界中が雨だったら、外に逃げればいいのに」その通りなのだが、その世界から逃げられない人が少なからずいるということ。
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この人の文章ってこんなだったかな。タイトルで選んだからもう少し明るい小説を期待してたから、びっくりというか。
胸がそわそわそわそわした。闇とか死を含んだ不気味とも思えるストーリーなんだけど、でもその主人公たちは残酷ながらも優しい心の持ち主ばかりで、気持ちがわかってしまうところがこわかった。
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3編中2編(世界中が雨だったら・循環不安)は読んだ事があった。
作者のHPで公開されていた時かな。
循環不安はずっと心に残っていて、好みの話じゃないのに再度手に取ってしまった。
彼の行く末が気になって、またいつか読んでしまいそう。
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クラス中の男子を魅了していた深沢真紀は、ある日を境に急激に太りはじめた。
まわりが関心を失うなかで、ぼくは彼女を愛していた。
ふとしかきっかけで彼女と親密な関係になり、知ってしまった事実。
愛していたからまだ17という未熟さや純粋さで、彼女に言葉巧みに飲まれた秋から冬にかけての出来事。
3つの短編集。
著者ってネットで小説載せてたのがきっかけなんだね。
なんか、独特だなあー。
今、会いに行きます、同様、3編とも人が死ぬ話。
ミステリー系が少し含まれるのかなぁ、恩田陸みたいな感じだけど、よくわからない)^o^(
Posted by ブクログ
本の表紙から抱いたイメージのまま読み始めたので、予想外の話の展開で驚きましたが、物語として面白かったです。
市川さんらしい透明感のある雰囲気はありながらも、やはり怖さを感じる3つのお話。
あまりにハラハラして一気に読み干しましたが、共通して切なさと重たい感情が残りました。
Posted by ブクログ
3作からなる短編集。
共通のテーマは、死。
その死のもとになるのは、すべて愛。
『琥珀の中に』・・・愛を見失った少女が犯した罪のお話。
『世界中が雨だったら』・・・両親からの愛情に飢えた少年のお話。
『循環不安』・・・愛情が欲しくてもがいた結果、殺人を犯してしまう青年。
3作とも読みやすくてすらすら読めてしまうけど、読後感は悲しすぎて、今の私には重かった。
この中でいちばんを選ぶとしたら、『世界中が雨だったら』。
少年が死んでしまう悲しいお話だけど、
ただひとり、少年の姉が少年のことを理解し守ってくれていたことが救いに感じたから。
この人の作品を初めて読んだ。
文章的にはとても上品で、優しい感じだから、余計に悲しさが増すのかな。
今度は「いま、会いにいきます」を読んでみようかな。
Posted by ブクログ
久々読書。
ためまくった読みたい本の1つ。
市川拓司さんといえば恋愛小説ー!って思ってたけど、べたな恋愛小説じゃなくて、それぞれ違う悲しげな愛についての短編集だった。
3作あって、「世界中が雨だったら」が1番好き。
すごい泣いた。
Posted by ブクログ
不気味だったり、読んでいて不安になるような3つの物語が入った作品。
表題作「世界中が雨だったら」では、違っていることが個性にも差別にもなることについて考えた。また勉強ができないことが欠点として拡大されすぎてしまうことを痛感した。
「循環不安」はなんともいえない感じだった。不協和音を物語にしたらこんな感じ、というようなストーリーだった。
Posted by ブクログ
○2008/03/01
読み終わってから意外とポピュラーな作家さんだったことに気付いてびっくり。ただまっすぐなだけの愛じゃなくて、透明な人間を書くなぁと思った。
テーマとか、行っていることとかは現実的にすごく重いことなんだけど、語り手の心情なんかが加わって重みを緩和してる。この書き方だと各人物に好感が持ててしまうから不思議。
文章としてこの人の作品を見るのは初めてだけど、ストーリー展開はなかなか好みかもしれない。
でも、ちゃんと物語に入っていけなくて読み飛ばす感じになってしまったので、文自体は合わないのかも。
Posted by ブクログ
結構シリアスな内容で、驚いた…でもキライじゃない!
「ぼくはいつも思っていた。何かしら人生の節目となるような大きな出来事の前には、つねにその予兆のようなものがあって、それとなくぼくらに覚悟を促してくれるはずだと。」
Posted by ブクログ
世界中が雨だったらは実際ネットで読んでた。
どれも恐かった。
ミステリーは苦手。
でもおもろいではないけど、なんか入っていくもんはある・・・。
循環不安が1番恐かった・・・。
何回もあるドキ!にまんまとひっかかったうち・・・。
Posted by ブクログ
「いま、会いにゆきます」「そのときは彼によろしく」でひねりを加えた恋愛小説家だなと思いました。「世界中が雨だったら」には、表題と「琥珀の中に」「循環不安」の3作が納められています。
「琥珀の中に」は高校生の恋愛物の雰囲気が、少女の不可解さで心理物になっていきます。エロティックな場面にはどきって感じ(笑)
「循環不安」にいたっては、哀しき殺人者。純粋で不器用な主人公は死体処理に右往左往し、ドジを重ねていきます。
そして「世界が雨だったら」は、イジメ問題。姉と一人の少女以外からは嫌われる主人公が計画した自殺トリック。それで。。この作品、途中までかどうか。。読んだ記憶がありました。
『著者のHPに1999年2月18日から6月24日まで掲載された「ぼくを殺したみんなへ」に加筆・修正し、改題したものです』
彼のHPに訪問したのかなぁ〜