あらすじ
深田恭子主演のドラマ原作。ドラマ版では主人公が大富豪・神戸喜久右衛門の孫娘に変わったが、原作の主人公は喜久右衛門の息子・神戸大助。キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくわえた“富豪刑事”こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を、次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。
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Posted by ブクログ
あーーーおもしろ!最高。ミステリーにコメディを捻じ込んでるのに、力技かと思いきやかなり精密。さすが筒井さん。
主人公の刑事・神戸大助はホテルオーナーの父である神戸喜久右衛門の財産を使って、難事件を解決していくという一風変わったミステリー。「富豪刑事の囮」「密室の富豪刑事」「富豪刑事のスティング」「ホテルの富豪刑事」の4本からなる。
金はめちゃくちゃ使うが業務には真面目。富豪じゃないと思い付かない解決法ばかりで笑える。
あと、時々筒井さんが読者に話しかけてくるのも掟破りで最高。このキャラクターも本当は濃密に紹介したいのだが、本筋と関係ないので割愛する、とか普通に書いてる。
2005年にドラマ化した時には、なんと主人公の男女を変えて深田恭子さんが主演。 筒井さんも出演していたらしい。
———紹介(公式)———
湯水のように金を使って事件を解決!
著者初のミステリ作品、伝説的ミリオンセラー!
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。
靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。
Posted by ブクログ
[富豪刑事の囮]
大金持ちの刑事が金にものをいわせて事件を解決するっていうと、昔読んだ「ドーベルマン刑事」に出てきた話を思い出しちゃうけど、時期的にいってこっちが本家なのかも。その部分を除くと、推理小説としては残念ながら平凡。ただ、4人の容疑者の状況を連続的に次々と転換していくという手法は、後の「ロートレック荘事件」で使われた叙述トリックの原形なのかもしれない。こういうエンタテインメンでも実験的な手法を使わないではいられない筒井康隆のひねくれ方は好きだけどね。
[密室の富豪刑事]
トリックは簡単なものだったけど、真空鋳造っていう反対のイメージの設定を持ってくるところが推理小説っぽいかな。
事件解決のために作ったはずの会社が儲かってしまうってのはお約束。
[富豪刑事のスティング]
「世の中ややこしいんだ。わかったか」この話はやっぱりこれでしょう。本編の偽装誘拐の方は、時間経過をシャッフルするという特殊な記述をしているわりにそれほど驚くところはなかった。
[ホテルの富豪刑事]
ジョーダンなんて今でこそ有名な名前だけど、たぶんこれが書かれたころはマイナーだっただろうに、なぜこんな名前をつけたんだろうと思ってたら、
「冗談じゃない」
「いいえ。冗談じゃありません」
「どっちが本当だ」
これがやりたかったのね。
ヤクザばっかり泊まったホテルで女性が射殺されたら、当然ヤクザが犯人だと思うってところを逆手にとった話だけど、やっぱりイマイチ甘い。この短編集全体を通してだけど、推理小説として驚くってところはなかったな。それでも全部書くのに2年半かかったって言ってるから、筒井康隆をしても「ロートレック~」までは長い道のりがあったんだな。綾辻行人とか本職の推理小説作家は凄いんだと再確認。