あらすじ
複雑系は、科学が築きあげてきた「近代のパラダイム」を根底から覆した。人間の予想とはかけ離れた、しかし自然のなんらかの真理を表している複雑系が、科学の王道からこぼれ落ちた人々によって発見されていくさまを物語仕立てで描き、複雑系の本質を誰にもわかりやすく解き明かす!
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Posted by ブクログ
生物は無数の化学反応からなる機械だとは認識していたが、どうやってその秩序を保っているのかという疑問が頭のなかにずっとあった。この本から複雑系の入り口を知り、謎めいた秩序が少しだけ解かれたような気がする。
秩序とカオスの間の「カオスの縁」で、影響し合う構成要素のそれぞれが統率者なしに自己組織化する。アミノ酸やヌクレオチドなどのペプチドが、カオスの縁で相転移して最初の原細胞となり、生命が生まれた。身体のなかでは無数の細胞が自己組織的に化学反応を繰り返している。人間社会で統率者なしの秩序を実現できれば平和な世界が訪れるかもしれないな、と淡い希望を抱かされた。