【感想・ネタバレ】完璧な病室のレビュー

あらすじ

弟はあの病室のあのベッドの上で、完璧に優しかった――

病に冒された弟と姉との時間を描く表題作、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」、
第二作品集収録の「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」。
揺らぐことのない美をたたえ、みずみずしい輝きを放つ秀作群。

作家小川洋子の出現を告げる最初期の四篇に、著者あとがきを新たに加え、カバーデザインをリニューアルした新装版。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小川洋子を前にするとどんな自分の文章も気に入らなくて何も書けなくなるな。
読むことができてよかった。新装版を出してくれて本当にありがとうございました……。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作の「完璧な病室」は、大学の自主ゼミで集中ゼミの課題図書になった関係で、8人くらいのメンバーで一段落ずつ音読をして議論していく、というレベルの精読をしたこともあり、かなり思い出深い小説だった。当時は、コピーで読んだので、手元に小説を持っていなかったのだが、自分で小説を書いているときに、まったく書き進まなくなってしまい、何か参考にしたい小説があるかと思い返したとき、自分で買い直すことにしたのが、この本である。
初読の時から、文体と内容が合致しているというのは、こういうことを言うんだろうと思ったことを覚えている。ガラスや水、雪、真っ白な病室といった細かな描写が、常に白く、透明であることが、白血病によって少しずつ命を削られていく弟の体の衰弱に重ね合わされていく様は、物語の展開に文体が常にマッチしているような感覚を与えられる。白血病は、少しずつ弟の身体から血の気を失せさせていく。ある意味、透明に近づいていき、死という形で完全に透明になってしまう弟というテーマが、冒頭から続く、透明なものの描写の積み重ねによって、すでに表現されているのだろうと思う。

だからこそ、汚いものの描写が、物語の中で際立つことになる。手術室でチョコレート膿疱になってしまった内臓が摘出される場面と、夫がビーフシチューを食べる姿が重ね合わされるシーンなんかは、最も対照的になるシーンだろうと思う。人が美味しそうに食べている姿を見て、グロテスクな手術のシーンが語られる様子は、食べるという生きていくために必要不可欠な毎日の行為が、いかに汚いものとして、語り手の目に映っているのかを、よく表している。
それとは対照的なのが、弟がぶどうを食べるシーンだ。そもそも弟は、決まった品種のぶどう以外の食べ物をどんどんと食べることができなくなっていってしまう。それは、真っ白で清潔な病室の中での出来事であり、食べられなくなるということによって、弟の存在は、清潔になっていくように感じられるのである。
なぜ、語り手にとって、生活というのは、そんにも汚く、醜いものになってしまったのだろうか。それは、母の描写として描かれることになる。
精神的な病に罹っていた母が家事をする家の中は、常に混沌として、汚れていた。その最も象徴的なエピソードとして語られるのが、庭に放置されたショートケーキのエピソードである。母は、どういうわけか、お皿に乗せられたケーキを庭に放置してきてしまう。当然のことながら、そこには大量のアリがたかる。その虫にたかられたケーキをしっかりと見てしまい、処理することになったのは、娘である語り手だった。
こんなにも食べ物が、食べるという行為が、気持ち悪いものとして描かれる小説もなかなかないように思う。その気持ち悪さの生々しさが、この小説では凄まじい。

語り手の語りには、弟の死を、美しい記憶として残しておきたいという強い思いが感じられる。そんな感覚に共感してしまい、この小説が、自分の小説の一つのお手本にしたいと思うくらいに、好きになった。大好きな誰かとの思い出は、美しい思い出としてしまっておきたい。
大切なものを、大切なものとしてしまっておくには、どのように過去を語ればいいのか。その語りのあり方を感じ取るのに、最良の一編だと、未だに思っている。

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2026年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとも言えない暗さと不可解さのある短編集だった。情景描写が冗長に感じられ、あまり好みではなかった。

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2026年05月10日

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