あらすじ
「……クローゼットの中から極上の下着を選び出した時から、麻也子の不倫は始まっているのである。レースや絹に触れながら、麻也子は超能力者のように、今夜ベッドの中で行なわれるだろうことを予想する」。結婚6年目、夫の拒絶にささやかな復讐心をおぼえたヒロインは慎重な冒険──昔の男と逢う──に踏みだす。男女の虚実を醒めた視線で描き、反響を呼んだ話題作。石田ゆり子(TVドラマ)、南果歩(映画)主演の映像化も大ヒットした恋愛譚の新機軸。
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Posted by ブクログ
夫に足りないものを求める不倫関係ではなく、自分の心のままに突き進む麻也子の言動に自分を重ねて読み進めた。ごはんを食べることからすべてが始まると思う。
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「私だけが分かってる」っていう、あの陶酔感。世界をちょっと見下ろしてるような感覚。冷静なフリして、一番感情に溺れてるの、自分だって分かってるのにやめられない。
その気持ちよさ、勝ってる」感覚。
他の人は気づかずに踊らされてるのに、私はすべて分かってる。演じてるってことも、退屈してるってことも、損してるってことも。そのうえで「でもそれでも私が主役」って確信してる。
麻也子って私みたいって思っちゃって、本当に私みたいで、それが1番麻也子みたいな私だなって。
Posted by ブクログ
めちゃ面白くて一気に読み切ってしまった。
今の夫に不満がある奥さんが、軽い気持ちでダブル不倫を始める。そこから本当に好きな人ができてしまい、離婚しちゃうっていう話だった。
読み手からしたら絶対幸せになれないって分かるのに、作中に滲み出てくる当本人の気持ちがめっちゃわかってしまった。
今の状況(この場合人)に満足できないで、他と比べてしまう。
自分が損しないようにしすぎて、損してるところばかりに目がいってしまう。
自分の欲望に従順すぎて、自分のことしか考えられない。目の前の餌にすぐ飛びついてしまう。
なのに損得勘定に厳しい。ずる賢い。
若い頃、チヤホヤされていたから、自分にはもっといい男が捕まえられたのではないかと思う。
全部私のことすぎて私って不倫予備軍なのかもしれないと思った。
結局、おかしいと思いながら離婚調停中に不倫相手と密会したり旅行に行く。結局バレて慰謝料はもらえず、再婚相手の悪いところにばかり目がつく。不倫を繰り返す。
きっと世の中にたくさんある不倫のストーリーだからこそ、リアリティがあってゾクゾクしながら読めた。めちゃくちゃ面白かった。
以下私が共感した箇所
・ずっとキープしていた醜男のお金持ちが自分から離れた時、惜しいことをしたと思う。
・自分の若さを有り余らせているのが勿体無くて昔の男を漁る。
・不倫相手に別の女がいて嫉妬する。
・別れる気がないが、不倫相手が自分に夢中じゃないことを怒り狂う。
・離婚調停中に欲望のまま不倫相手と旅行に行く。
・結局現状に満足できずまた不倫をする。
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ともすれば退屈な展開になってしまいがちなストーリーを、一気に読ませる感じに仕上げるのは、流石林真理子先生、という感じがした。女の生々しい感情を文章に表現させたら、この人に叶う人はいないかも。主人公の生々しくてリアルな向上心や人間としての嫌らしさも、清々しく描かれている。決して応援したくなる主人公像ではないけれど、これを手にした読者だって、聖人君子じゃないはずだから、共通点くらいあるでしょうと思う。あまり堅苦しいことを考えず、さーっと読めたので、好きです。
Posted by ブクログ
11/18-11/25楽しいことなんて何もない。最初だけ楽しくてすぐつまらなくなってしまうのだから。という最後の台詞が印象的だった。ラストが予想外だった。もっと上手くやるのかなと思っていたから。大恋愛ってなんでしょうね。
Posted by ブクログ
正直麻也子になってみたいかも思ってしまった。
自分の意思を曲げずに生きて、自信に満ちあふれてるのって憧れる。。
一方、読み進めるうちに、麻也子が結局満足できないのはなぜか、という点はと考えさせらた。欲しいものを手に入れても心から満たされるとは限らないという気持ちかな。
自由でありながらも、承認や共感を求める気持ち、そして孤独や葛藤があるからこそ、満足は簡単には訪れない。彼女のように欲望に際限がなければ満たされることはないんだろう。
あと母たちの描写がリアルで、思わず痺れた。
Posted by ブクログ
主人公の心情描写があまりにも現実的なように思えた。
作者の実体験に基づいているのではないかと思うほどに。
例えば、退屈ゆえに不倫をする主人公が一番の苦悩としている原因が「夫を疎ましく感じても、憎むことはできないから」というのは、実際に不倫するものの夫と別れるに至らない人の多くに、当てはまるのではないだろうか。
主人公が報われたとは言い難い結末にしたのは、不倫をした、もしくは関心がある自身への戒めなのではないかとも勘ぐってしまう。
Posted by ブクログ
個人的に、いま話題になっている『傲慢と善良』より好きです。読者に説教がましくないのが良いです。
後半が面白くなくなる小説が多いけれど、この小説は後半の肉事件からどんどん面白くなっていった。
女性の生々しい欲望をここまで描いててすごい。面白かった。
Posted by ブクログ
ここまで嫌な女性を描写し続ける力量に感服。
読んでいて、気分が悪くなるのは久しぶりでした笑
結局、自己承認というところに主眼を置く人間は一生増え続ける欲求を満たすためにあらゆる手段を尽くすのであろう。と考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
不倫がテーマの物語。20年以上前の作品とは思えないリアルに感じた。麻也子の30歳を過ぎてから「自分は損をしてばかり」と感じで不倫をする気持ちも分からなくもないかなと。後半はやはり不倫の代償は大きい。結局望むものは手に入れたが同じことでまた悩み振り出しに戻る。しかし、年月だけはちゃんと進んでいるところがやるせなさを感じた。
Posted by ブクログ
希望は秘密と同義語だということを、この女は知らないのだろうか。
楽しいことなんかあまりないんだもの。最初楽しくてもいつだってすぐにつまらなくなってしまう。いつもこんな繰り返しなの。
人間は何かをいつも待っている。
Posted by ブクログ
Audibleで聴いた。
林真理子さんを読むのは、「下流の宴」に続いて2冊目。
下流の宴は「家族・格差・愛」をテーマにしていたように思う。
一方こちらは、「男女・夫婦」がテーマかな。
マヤコという女性が主人公。彼女は美人で人妻。結婚して数年が経つが、婚姻生活に満足しているわけではない。
姑とソリが合わず、過去に逃した「ブ男」の弁護士には未練があり…という。
本書では、マヤコの奔放っぷりを見させられることとなる。
先述の弁護士だけではなく、過去に繋がりのあった野村という芸能関係者と会うようになる。
野村とは身体の関係を持つが、「旦那が手を出してくれないのが悪い」というのがマヤコの持論。
要は開き直りなんだけど、ここに拒否感を持つかどうかで本書との相性が大きく分かれそう。
自分の感想としては、まぁそういう女性もいるよな〜という感じ。誰しもが、ルールに忠実なわけではない。
それにしても、こういう「都合のいい女」を書くのが上手いというか何というか…。額面通りに受け取る読者にとっては「女って怖〜いw」という感想になるし、そうでない読者にとっては「なんだこの女は!けしからん!(でも続きが気になるから読んでしまう」となる。
両手取りが得意な作風。
それから彼女はまた、ミチヒコという別の男性と出会う。
彼はいわゆる上流階級的な男性で、音楽批評を生業としている。
野村と違って、ミチヒコに対しては、心まで惹かれていく。
この時点で初めて、マヤコは罪悪感を抱くことになる。
それから結末は伏せるけれど、一応「勧善懲悪」っぽい終わりになったのかな?都合のいいまま終わらなかったのは、小説としてきちんと「オチた」感じがした。
というかそうでなければ、単なる不倫エッセイで終わってしまう…w
1つ補足するなら、元旦那の設定がテンプレすぎるというか…
結婚したら淡白になった旦那。妻よりも母にベッタリな旦那。「別れたい」に真面目に取り合わず、本気を見せたら逆ギレしてく旦那。
ちょっと物語に都合が良すぎるようなw
総評としては悪くなかった。
それなりに楽しめる大衆小説。だけど、☆5つではないかなぁ…。下流の宴のほうが良かったね。
Posted by ブクログ
びっくりするぐらい麻也子の気持ちと通じた。出版から25年以上経っているのに、男女の関係はいつの時代だって変わらないものなんだと思った。
容姿や巧みさでチヤホヤされて過ごしてきた女達は、若さや美貌を失った40〜50代以降、どうやって生きていくのか‥その後が気になる
Posted by ブクログ
男の人はそう違わないと言っておきながら再婚。
でもそういう、恋愛がないとというか男性が近くにいないと頑張れない女子、というか、男性が近くにいるこそ頑張れる女の人っているんだよなぁ私の近くにも。
私は男はそう違わないなら面倒なので(笑)もうそれっきりで他のことに時間をかけたいなぁと思っているけども、そういう人だけではないのよね、世の中。
Posted by ブクログ
やっぱり女心をわかってらっしゃる。女性は特に『私はみんなとは違う!』なんて思いがちではないだろうか。
いや、違わないよ。大なり小なり考えてることは同じ、『私は特別!』なんだから。
物語的には99%起こらない。これはないなと思う。
思考に物語を頑張って当てはめた感がする。
だから、思考は共感できる部分が多い。恋愛をゲームと考え、筋書き通り事を運べるよう誘導、誘惑。あとは臨機応変に。
構成も、半ば手前で次探し…上手いなぁと思う。
みんな一度はテレビドラマの主人公に憧れる事もあったのでは?あ、今私ヒロインかも…なんてそんな空想も楽しいのではないだろうか。
最後の「楽しいことなんかあんまりないんだもの。最初楽しくてもいつだってすぐにつまらなくなってしまう。いつもこんな繰り返しなの」は名言。凄くわかるが、それが生活。
参考にはならず。
Posted by ブクログ
麻也子が人一倍ずるくて計算高いのか?ほんとうに女という生き物は大体こういう感じなのか?(後者だったら私って一体…)
なにか満たされない、常に刺激が欲しいという気持ちは分からないでもないけれど…。人間の怖い一面をエグいほどに描写している作品でした。
Posted by ブクログ
「自分だけがいつも損をしている…」32歳の水越麻也子が吐くセリフが彼女の精神的な幼さを露呈している。
何不自由のない夫との生活に刺激を求め、結婚前の不倫相手、若い男と自身に言い訳をしながら関係を持つ麻也子。彼女が本当に求めているモノを彼女自身も分からないままに求め行動し、挙げ句の果てに放つセリフ。
自分の周りにはいて欲しくない。
Posted by ブクログ
確か高校生の時にドキドキしながら読んだなぁ…と思いながら、改めて読んでみました。こんな狡猾な主人公だったっけ…とエンディングに吃驚、はた迷惑な話だなと思いました。
Posted by ブクログ
林真理子さんらしい文章と内容ですよね。
主人公がとにかく傲慢で狡猾で自分勝手。そして欲望のままに生きてる。刺激がない事に耐えられない、他人からの羨望とか承認がアイデンティティな人生は辛そうだし、これは結果的に高確率で破滅するよなとと思った。こういう人はずっと他人が自分を喜ばせる楽しませる道具でしかないんだろうな。自分に何かの魅力があるうちは良いかもだけど、遅かれ早かれ価値観の転換を迫られるのではないか。
共感ポイントはほぼないけど、縁遠い世界の深溝を覗くのは面白い。
Posted by ブクログ
昔である事を感じさせない作品
どの時代でも不倫は生々しいものである
麻也子のフラフラとした心情や、若い頃美人だともてはやされた女性の性格が、こちらがイライラしてしまうほど上手く描かれている
現状に満足出来ない人間がいつまで経っても幸せになれないのだと言う哲学さえ感じた
Posted by ブクログ
信じられないほど嫌な女を究極までに極めたような主人公の思惑や行動を、これほどまでに緻密に的確に描写できる著者に、唸る。しかし、性格の悪さを細かに読み進めるというのは、実は体力と忍耐力が必要で、途中かなり飛ばしてしまった。映像作品と違い、小説は登場人物の言葉としては発せられない心理描写が事細かに書かれ、それが面白さと魅力でもあるが、一方で、人の心なんてあんまり知りたくないかも、なんて思わされるのである。
これが世で大ヒットした作品というのは、多くの人に共感されたからなのか、それともここまでしてでも不倫がしたいという人が多いからなのか。とにかく後味が悪い。。。
Posted by ブクログ
前半は林真理子独特の下品で嫌な女の描写が凄まじくて挫けそうだったが、後半自体が急転してからは読みやすくなった。まやこは無茶苦茶性格悪いけれど、20代の頃は私にも少なからずこんな考えがあったような気がする。
「唇の厚さや歯並びの悪さに目をつぶり、男の持っている地位や経済力だけで一生共に暮らすことができる。これが才能でなくて何だろう」
「男と女なんて、ごはんを食べるところから全てが始まるのよ」
子育てをしてない既婚女性というのは時間があっていいなとも思った。笑
Posted by ブクログ
不倫.男と女。
内容が過激やって放置しながらやっと読み終えた。
「男の人ってそんなに違わない」
「最初楽しくてもいつだってつまらなくなってしまう。いつもこんな繰り返しなの」←ちょっと共感。