あらすじ
「本書は、悪い習慣を直すための「簡単なコツ」を紹介したりするものではない。むしろ、他の本で紹介されている習慣を変えるための魔法のような解決策のほとんどが、本物の科学の前では意味をなさなくなることを明らかにしていく。……行動を変えやすくするための、科学的な裏付けのあるアイデアも得られるはずだ」(本文より)過食やスマートフォンの使いすぎから、飲酒や喫煙、果ては依存性のある薬物の使用まで、一度習慣づいた行動をやめたくてもやめられずにいる人は多い。一方私たちは、交通ルールや道具の使い方、毎日のルーチンなどが習慣になっているおかげで、いちいち立ち止まって考えずに行動できている。本書では、こうした習慣のありようを最新の科学的知見に基づいて定義づけ、その詳細に立ち入っていく。全二部構成の第I部では、習慣的行動の性質やその形成メカニズムを脳神経科学や心理学に基づいて解説する。第II部では、習慣を変えるための裏付けある方法や、応用の見込みのある研究成果を紹介する。著者は、再現性と透明性の高い科学研究を目指す、オープンサイエンス運動をリードする認知神経科学者である。科学界における「再現性の危機」の先を見据えた研究を通して綴られる、習慣の実像。
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Posted by ブクログ
なぜ悪い習慣を断ち切ることが難しいのか、またどのようにすれば断ち切ることができるのかというテーマを扱っており、タイトルも一見自己啓発本やビジネス書のような趣である。しかし、本書を読んでも習慣を断ち切るための「魔法のような解決策」が与えられるわけではない。神経科学と心理学の歴史を紐解きながら、学習や記憶、意思決定、自制心等についての最新の知見が紹介され、行動変容のための方策が議論される。
Posted by ブクログ
良くない習慣がなかなかやめられないのは、意志が弱いと言うより、むしろ自制心が強いと思われる人が、衝動を抑えるのが上手いのでは無く、そもそも自制心を働かせる必要性を感じない、というのは目から鱗でした。
読んで良かった。
Posted by ブクログ
「習慣」とは何か?どうして私たちはそれを変えられないのか?と科学的に説明しようとする(しきれないのが脳科学の難しさだ)大著。
行動に報酬を与えるドーパミンという一般の理解を裏切るが、実はドーパミンは動機づけの役割の方が中心らしい。いや、役割が多すぎて正確にはわかっていない、というのが実情だそうなのだけど。
「習慣」とはつまり「選択肢を狭めようとする脳の作用」と言って差し支えないかな。選択肢が無限にあっても動けなくなるので、脳はある程度のすることを勝手に決めてしまう。それが意識しなければ実行されるような「習慣」になるわけだな。
それを意志の力でやめようとしても無理なので、環境から変えたり他の習慣で上書きするしかない…という、まぁそりゃあそうですよねみたいな…。
本筋とは関係ないのだけど、科学世界の持つ不完全さをポルドラック氏が誠実に語ってくれる部分も好印象。みんな思ってたけど、それをここまでの人が言ってくれるのはマジで凄いな…。
あとカール・ダイセロス教授が言っていた「光遺伝子学」が至る所で使われていて結構燃えた。fMRIのような主流技術になりそうで期待ですね。
Posted by ブクログ
習慣はどのように作られ、一旦身についた習慣を直すことの困難さを脳科学と心理学の知見をふんだんに活用して解説。習慣を変え行動変容ができるための科学的根拠を持った方法として取り組んでいることを最新情報を交え説明。興味深かったです。一度身についた習慣はそうそう変えられない理由も分かりました。
Posted by ブクログ
専門用語は少なく、平易な言葉で書かれているものの、内容は難しめ。よくある自己啓発本は読んだ後だけポジティブになり、数日経つと元通りになるものが多いが、本書はその逆の印象だった。習慣を変えることがどれほど難しいかを実感し、意識や心の持ち方で習慣を変えることがほぼ不可能だという前提で施策を立てなければならないと感じた。
Posted by ブクログ
「自制心が強いと思われる人は、衝動を抑えるのが得意なのではなく、そもそも自制心を働かせる必要性を回避することが得意である」という部分がものすごく腑に落ちた。
行動変容は容易ではないため悪習慣を断つことは厳しくとも、悪習慣を身につけない/良い習慣をつくる、という考えにシフトチェンジをする方が有効なのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
習慣は、特定の目標と結びつかない。引き金があるというだけで実行される。生み出すきっかけとなった報酬がなくなっても、習慣は続く。そして習慣は強固な持続性がある。最善の努力をして悪き習慣を克服したとしても、その習慣は戻ってくる。特に、私たちが最も弱っているときに・・。
こうした性質をもつ習慣について、脳機能の側面から解説がなされる。また、習慣から脱することが如何に困難かを思い知らされる。
一方、良い習慣・・例えば日常的に運動するなど・・も、脳機能による習慣の軌道に乗せると、上手くいくようにも思われる。が、実際はそうならない。良いことを習慣付けるための脳機能の働きなども知りたい。
Posted by ブクログ
この本は、習慣と脳の関係性を、科学的エビデンスを下に整理し、習慣がどのようにして形成されるか、そして習慣を変える事が如何に難しいかを、これでもかも言うぐらい説明してくれる。
だが、良い習慣(例えば早寝早起き)などを身に付けたい、という方が読んだ場合、肩透かしをくらうかもしれない。本書の主は「悪い習慣が何故止められないのか」を軸として、感覚や精神論には一切触れず、科学事実だけを述べていく。読者はタイトルなどをキッカケとして本選びをするが、タイトルが幅広い問いかけを促しているので、間口は広いが、結果として読者を選ぶ内容になっている。
だからこそ、読解というよりむしろ、「誤読」とも言うべき、内容を取り込み、変換解釈する読書法が必要な本となっている。何度も言うが、本書は科学的エビデンスを述べ、最前線の状況を教えてくれる。過去のセンセーショナルな習慣に関する知識をアップデートしてくれる。ひたすら俯瞰された視点であり、個人に寄り添うための、心地よいフレーズなどは存在しない。「明日からはこうしなさい」という押し付けもない。あるのは「習慣がどのように形成され、止められなくなるか」であり、習慣が形成される脳の仕組みのみだ。
だが、習慣というものが、精神論や自制心などに結び付けられ論じられがちだが、それは脳の仕組みとは関係のないことであり、一歩引いた視点での科学本として、本書はとても骨太である。
悪い習慣を止めたい、良い習慣を身に付けたい、子どもや部下に良い習慣を身に付けさせたい、といった場合に、主観的精神論に陥る事なく俯瞰できるきっかけが欲しい方にオススメの1冊である。
Posted by ブクログ
どのようにして行動が習慣づけられるのか、脳の中ではどのようなことが起こっているのかが脳科学的に説明される。正直いって私には難解な部分もあった。私がそう感じた理由はホルモンや脳の各場所の名前を覚えられないことに加え、複雑なことは複雑なまま単純化せずに提示され、結論を明確に言い切らない書き方のせいでもあるかもしれない。
ただ、一度習慣づけられた行動はなかなか無くならないことや、ドーパミンが単純な「快楽ホルモン」ではないことなどは分かった。また、自制心を鍛えるのが難しいことなども。
Posted by ブクログ
習慣化するための手法の本だと思ったら習慣化する際の脳の働きだったりを説明する本だった。
ハウツー本と思ったら脳の細かい部位がどういう働きをするかなど期待と違った。
Posted by ブクログ
この本は「習慣化」の自己啓発的な本ではありません。習慣に対する脳・神経学による考察と言えるので、読むのに気合いが必要でしょう。
AI(機械学習)の強化学習については、新たな気づきがありました。
Posted by ブクログ
土台になる脳の話多め、実験の説明やら実験がどれくらいアテになるかの説明頑張り過ぎな感じはある。意志の力でやめようとすると失敗するっていう割とスタンダードな結論だが、習慣矯正したい人というより習慣がどういうふうになってるか知りたい人向けかと思うのでその辺はよし。ドーパミンの働きとかは思ってたのと違ってへぇーとなった。
Posted by ブクログ
習慣化のお勉強シリーズ。こちらはより科学的。脳科学、心理学、行動経済学などの論文や学会発表から、習慣化の仕組みを科学的に分析しているもの。人は関心あることを見つけやすい(子供が産まれるとベビーカーがやたらと目に入る)と言う「注意バイアス」、つまり環境やトリガーを意識することが習慣化の一助となる。また、習慣化が進んだものは多少の中断では元に戻らないと言うのも心強い。
Posted by ブクログ
「最新の論文によると」という情報の危うさを気づかせてくれる。
風雪に耐えて本当に価値があると認められるまで「最新」の情報には嘘が混じりうることを肝に銘じて吟味したい。
Posted by ブクログ
すべての教育で重要なことは、神経系を敵ではなく味方にすること=習慣にする。
赤色で書いた青い札=とまどうのは文字を読む習慣があるから。
ドーパミンは快感よりも、動機付けの役割が大きい。
過去の習慣は簡単によみがえる。道具を見ただけでも習慣がよみがえる。
習慣的行動を止めるには、意志力ではなく誘惑をなくすほうがいい。
発表されているデータは都合がいいものしかない。マインドフルネスが有効でない、というデータは世に出ない=出版バイアス。