あらすじ
わたしは物語を作るのが好き.11歳の少女メアリーは,島のだれとでも手話で話し,いきいきと暮らしています.一方馬車の事故で死んだ兄さんのことが頭を離れません.ある日傲慢な科学者に誘拐され,ことばと自由を奪われて…….手話やろう文化への扉を開く,マーサズ・ヴィンヤード島を舞台にした歴史フィクション.
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Posted by ブクログ
19世紀初頭、アメリカのボストン南東部に位置するマーサズ・ヴィンヤード島に暮らす11歳の少女メアリーが主人公。この島では、みんなが手話で会話する。耳が聞こえても聞こえなくても差別なし。ただし、先住民族であるワンパノアグ族への感情は人それぞれだ。
島の住民の4人に1人の割合でろう者がいるという事で調査に訪れた若い科学者アンドリューの偏見により、メアリーは辛い目にあう。
ボストンでは耳が聞こえない人を何もできない障害者とみなし、乞食になるくらいが関の山だと思われていた。まだまだ、先住民族にも黒人にも、人権がなかった時代。アンドリューのように考える人は多かったのだろう。
それにしてもメアリーが救出された時には安堵して、涙がこぼれてしまった。
メアリーのお父さんは人格者だなぁと感心してしまう。そして、そんなお父さんに支えられてメアリーはきっといい影響を与える大人になれるだろうと思う。
偶然にも「ケイレブ」の舞台であるマーサズ・ヴィンヤード島が舞台で、ワンパノアグ族の名前も出てきて、ビックリ!ケイレブよりも後の時代なのだが。
島中の人たちが手話で会話をし、普通に学校に行き、生活していて、「誰がろう者なのかわからなくなる」というようなセリフが出て来るが、素晴らしいと思った。また、あとがきにろう者や手話についての本なども紹介されている。
Posted by ブクログ
ろう者と聴者が手話を共通言語として使う島が舞台。主人公メアリーの、島では耳が聞こえないことを気にすることはなかったのに、ボストンから若い科学者が調査といって島に来たことで偏見を感じるようになり、その後ある事件で更に外の世界の残酷さにさらされる場面にハラハラしました。またそもそも島でも、部族や人種への差別意識を持つ人がいたり、それへの疑問をメアリーは友達や母親と共感できないわだかまりがあったりして、知らないうちに持ち疑ったことのない偏見は厄介で人を傷つけるのだと思った。
手話が共通言語の地域がありそこでの暮らしやコミュニケーションの仕方が描かれていたのも興味深かかったけど、自分の罪悪感や困難に立ち向かう一人の女の子の成長していく姿により惹き込まれました。