あらすじ
「公団住宅を強制退去処分になった私たちは、とうとう所持金も底を突き、新宿区役所を頼ることになった。妻子を預かってもらい、外へ出てみると、新宿の街は思っていた以上の寒さだ。長い夜になりそうだ、私はジャンパーの襟を立てながら、そう考えていた」。幼い娘と高次脳機能障害を持つ妻と離れての、格闘の日々の中で何を思うのか。――作家である以上、住居を失っても浮浪者にはなりたくない。そう言い聞かせ、半年余りの路上生活を生き抜いた作家が再生を誓って書き上げた衝撃のノンフィクション!!
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Posted by ブクログ
再確認したこと。
人はどんなに窮しても拾ってでも、タバコだけは吸うのだと。
役所は安易に主人公を生活保護対象としなかった。
主人公は職を得たかと思うとたちまち<勤め人失格>と自嘲するに至り、人の情けや冷たさに遭遇し、夜の街を歩き、寒さを空腹を耐え忍び、種々の<〇〇失格>を痛感する生活を送る。
あなたの友人・知人は、あなたがホームレスになったとき、助けてくれれだろうか?
それを追体験させてくれる秀作である。
本書は風呂の湯舟で少しずつ読み進めた。
読者は私のように湯舟に浸かりながら、簡単にホームレス生活を追体験できてしまう。ヌクヌクと・・・心苦しいがすみません。
Posted by ブクログ
現実をいろいろ知ったので、面白い部分もありました。
この状況になる前に、異なる仕事で収入を得るベキって思った。
あと、この嫁さんと簡単に結婚しちゃダメですよ。もっと人を知ってから結婚してくださいよ。
読者が1番知るべきは、ホームレスになっても、綺麗な格好をすること、匂わない程度に風呂に入ること。
あと、セドリの技術は役に立つこと。
Posted by ブクログ
僕は以前、この人が路上生活をしているところを追ったドキュメンタリー番組を見たことがあったのがきっかけでこの本を手にしました。『人生の陥穽』というのはその辺にあるのだなということを痛感させてくれました。
僕は昔、この人の路上生活を撮影したドキュメンタリー番組を見たことがある。そして今回、本書を読む機会があった。どんな人間でも、ホームレスになってしまう可能性がある事実。そしてその陥穽が目には見えないけれども無数に自分たちの足元にあるのだと、改めて思い知りました。
そして、作者が路上生活を送る上で最も気をつけていたことはできるだけ身ぎれいにしてしておくことだということでした。そうしないと、たとえばデパートやスーパーに入って試供品をあさるときも、においなどのせいで建物の中に入ることすら出来なくなるからだそうです。なるほどなと思いました。
僕もかつて新宿界隈でそういう人たちを目にしたときに彼らの周りだけ饐えたようなにおいのする空気があって、その空気を吸い込むと舌が妙にしびれたような状態になったことをまるで昨日のことのように思い出します。そして、作者が路上生活を送っていた新宿、吉祥寺、中野などの中央線の界隈。そして、新大久保や大久保の界隈は僕も土地勘がとてもあるだけに、自分にとってとてもリアルでした。