あらすじ
「先生は、幽霊を信じますか?」――国立大学の理科系の授業で、著者は何度もこう質問され唖然とする。彼ら学生は、幽霊が物体だと思って訊いているのか、あるいは現象だと認識しているのか。かように若者の科学離れはもはや危険域まできている。俗説や占い、オカルトなど非科学が横行する今、工学博士で人気作家の著者が、個人レベルの「身を守る力」としての科学的な知識や考え方を簡潔に講義。
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Posted by ブクログ
p37
九九ができることが、数字を取り扱う頭脳にはマイナスになる、と僕は考える。
p39-40
最初は小さな「損」でも、積み重なれば大きくなる。小さなチャンスを見逃し続ければ、きっと経済的な損をするだろうし、もっと重大なことでいえば、自分の健康や、危険から身を守ることにも関わってくる。
p75
科学とは「誰にでも再現できるもの」である。
p90-91
たしかに、18世紀頃の科学は、もっと急進的で、いろいろなものを破壊する大胆さがあったかもしれないが、今はそうではない。
p91
カリスマ的な指導者の発言が国民を動かしたりするようなことは、科学にはない。また、科学は、一部の特権階級にだけ、その恩恵をもたらすものでもない。科学は、経済のように暴走しないし、利潤追求にも走らない。自然環境を破壊しているのは、科学ではなく、経済ではないか。
面白かった。
結構熱めの熱量を感じたり感じなかったり。震災の影響で書くことは変化したように思うし、良くも悪くもそれがドライヴさせる結果になっているような気も。また新書とはいえ10数日で本作を書き上げていることも、著者の仕事人としての凄みを勝手に垣間見ました。
Posted by ブクログ
分かりやすいだけでなく、本質的です。
科学的とは「データ(情報)」ではなく「メソッド(方法)」である?
・森博嗣先生の言い回しを借りれば、この本が示しているのは、「データ(情報)」ではなく「メソッド(方法)」である。だから、この本に書かれている内容を憶えるために、書棚の一等地に置き、7回読む必要はない。「メソッド(方法)」を腑に落としたら、後は、実践あるのみである。何か、疑問に思った時、文学的!?に理解しようとするのではなく、データを比較し、科学的に理解しようと努めよう。そうすることで、私のような文科系?も、少しだけ真の理科系!?に近づけるかもしれない。但し、参照するデータがどのように測定されたか確認しよう。
・私の周囲にも、科学的に理解しなければならないことを、観念的に理解しようとする人が少なくありません。そのような人たちによる伝言ゲームによって事実は間違って伝わるのです。
・意思決定するためには、課題の相関関係を把握し、目的に適合するバランスを見つけ出さなければなりませんが、そのためには、科学的にデータを読む力が必要ですね。
・この本は、ちくまプリマ―新書のような、中高生向けのブランドから刊行されても良いような内容です。分かりやすいだけでなく、本質的だからです。