【感想・ネタバレ】翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいざないのレビュー

あらすじ

中学生の翔太と猫のインサイトが、「いまが夢じゃないって証拠は?」「心があるって、どういうこと?」「たくさんの人がいる中で、自分だけが『ぼく』なのはなぜ?」といった問いをめぐり対話する。「私」が存在することの奇跡性や可能世界、正義原理、言語ゲームなどの諸問題を取り上げる予備知識のいらない哲学入門。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

それが実際の人間の存在であろうが言葉であろうが絵や本や創作物から感じた人間的な概念であろうが理想の未来の伴侶であろうが過去の想い出であろうが動物や真の世界などの非人間的なものであろうがなんでもいいが、たとえばどんなに孤独な人間であってもなんらかの所謂「繋がり」を感じる瞬間がなければ生き続けていられないような気はしている。しかしそれにも関わらず真の意味で「 “本当に” ひとりになってしまった(しまう)」と思い知る瞬間が人生のどこかの段階で必ず来るような気がする。そしてそう考えたりそれを敢えて言葉にしたりすることによってそれ以上のまだ「なにか」があると信じたいということだろうか(そのなんと心強いことだろう!)

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分は頭がいい(猫=永井)という書き方が鼻につくが、私が持っている永井本の中で最も読みやすい。(中学生にも読めるようにとの記載があったが、それでもそれほど容易ではないと思う)
・ウィトゲンシュタイン:語りえぬものについては沈黙しなくてはならない。
・「ぼくらがそれについて語れないものっていうのは、結局のところ、存在、ってことになるんだよ。存在しないもの、って言わざるをえなくなるんだよ」
・「きみの言うその人形みたいなやつが、伊豆蔵翔太として生きているなら、他人は誰もその変化にきづかないだろう?きみから心が抜かれるっていうとき、実はきみは、伊豆蔵翔太って呼ばれているこの少年が、きみでなくなった状況を考えているだけなんだ。その伊豆蔵翔太には、あくまでも心があるんだよ」
・人生の意味:「幸運、不幸、偶然は何の根拠も意味もない。そういう意味のないことがたまたま起こったってことには意味があるんだ。その意味のなさこそをよくよく味わないと。そこでこそ、全宇宙の存在の奇跡と君の存在がの奇跡が出会うんだ。そいういう偶然を味わうためにこと、君は1回かぎりこの世に生まれてきたとさえ言える。」

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2018年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「この本は中学生・高校生向きの哲学の本です。」とのことですが、既にオジサンになってしまった私にとっても、とても難しい理解しにくい内容です。本書は1995年12月25日に刊行されたとのことですが、後の1997年7月に刊行された「子供のための哲学対話」の方が、ずっと分かりやすい内容にです。
 この違いは、対象としている年齢の違いにもよりますが、翔太~の方が、読者自身が読者自身の疑問を読者自身で考えることを促しているのに対し、子供の~の方は、永井均さんなりの答えを明記しているという違いによるものだと思います。
 つまり、哲学的な問いは、その問いそのものの意味を共有することが難しいので、そこに何らかの答えが書かれていることで、ようやく問いの意味を共有するということが、できるからなのだと思います。


はじめにより
哲学に関する予備知識などはまったく不要です。
よくわからないところにあまりこだわる必要はありません。
むしろ、自分にとってよくわかる問題を考えぬいてみてください。
哲学に関しては、色々な学説を知るよりも、ひとつの問題を
考えぬく方が遥かに大切です。

哲学に限らず、自分の中に芽生えた疑問について、
考えぬくという姿勢は、とても大切なのではないかと思います。
何故ならば、他人の欲望を模倣するために奔走しても、
決して幸せになれないような気がするからです。

自分の中に芽生えた疑問は、往々にして哲学的な難問であり、
私たちは、答えの出ない問題を前にして立ちすくみ、
考えぬくことを放棄してしまいがちです。
しかし、その難問を考える苦しみの中に、私たちが、自分の
生をかける価値のあるテーマが隠されているのだと思うのです。


巻末の中島義道氏による解説 正確で清潔な言葉より
「哲学」とは、徹底的に思索し、厳密な言葉で語り続けるという積極的な
営みなのであり、永井さんが本書で提案しているのはこのことだ。
そして、これこそ多数の共感を呼ばず、永遠の負け戦であり、だから
私にはとても潔く見えるのだ。
この書の「はじめに」は次の文章で終わっている。
哲学とは人生と世界に関する深い真理を教えてくれるものだ、
というのも嘘ではないのですが、その真理に触れることができるのは、
この遊び場でクタクタになるほど遊びほうけた後のことなのです。

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2020年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スラスラ読めるような、読めないような。表紙のイラストからすると面白おかしいようなほのぼのするようなイメージを感じたのですが、途中までその気にさせて突き放すようなところがあった気がします。

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2015年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哲学の概念を、対話形式で紐解いて行く。小説というより、若者に向けて書かれた哲学入門書のような本。中学一年生の「翔太」と、言葉を喋る猫の「インサイト」が、二人でひたすら哲学的な話を繰り広げて行く。
「自分以外の人間は、自分に会っていない間は存在していないかもしれない」というようなことは昔私も少し思ったことがある。ただ、内容がけっこう小難しい。そして理屈っぽい。飛ばしちゃったもん。
哲学と小説を旨く融合させると、成功すればかなり面白い。私も愛読している本が一冊だけある。今回の本は期待しすぎていただけちょっと残念だった。
こういう本、もっと増えれば良いのにな。探してみよう。

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2012年10月08日

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