【感想・ネタバレ】翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいざないのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年10月11日

たまに読み返すが、一回目に読んだときより数倍面白い読書体験ができる。スルメ本や。

著者の言っている「哲学」が本当の哲学ならば、勘違いしている人が多い気がする。
私は哲学も好きだが、それ以上に思想が好きだったのかな

著者の言う「哲学」というのは、問いに対して正しく考えていく作業のことだと解釈した。...続きを読む

実在論 懐疑論 可能世界 余人

p37二重スリット問題
「彼女がほんとうは怒りっぽいとか、この部屋は見られてないときには存在しないとか、ぼくたちが培養脳の中の脳だとか、そういうことが主張できるためには、ぼくたちが実際に手に入れられるような根拠がなくちゃいけないってことなんだね!」悪魔の証明、無知に訴える論証
p41「ふつうのひとは誰でも実在論的真理観を持っているね。つまり、人はこっち側に主観的な『考え』があって向こう側に客観的な『事実』がある。その二つが一致すれば、その考えは真理だった、ていうわけだ。」

p88「……最後に生じる味ってものが生じなくても、物理化学的には何の問題もないところだな。味蕾から脳までインパルスが伝達されて、脳に何か物理的な変化が起こるってことは、『味がする』ってこととは別のことだね?」
物理化学的な反応の後に精神主観的な「味」というものがなぜでてくるのかの理由は説明できない。

超越論的観念論……カントが考えたもの。心の外から出て、因果性が心の外の外界で客観的に成り立っていることを証明しようとした。そこでカテゴリーという概念を導入した。
さまざまな感覚的経験にカテゴリーが適用されることによって、はじめて、それが客観的な現実として認められることになる。統覚というはたらきを利用してカテゴリーに従って自分が知覚したり経験したりするさまざまなことを秩序付ける。

五覚では視覚が優先される「幻触」はあまり聞かない。

「ぼく」という存在を起点として「ぼく」の存在証明ができる。「ぼく」という存在に因果は通用しない。
仮に私と全く同じ遺伝子を持ち、全く同じ環境で育った人がいたとして、それは私になり得るか?否。私はここにいる私のみ。こういうことかな。自我で操れないものは自分ではない。

「ぼくらはぼくらの言語とぼくらの理解力の外に出ることはできないんだ。可能性というのはその中でしか考えられない」

p78「色盲っていうのはね、ある色が別の色に見えることじゃないんだよ。ふつうの人が識別できる複数の色が識別できないことなんだよ。」
「意味をちゃんと習得したと認められた後になってはじめて、事実に関して常軌を逸した主張をすることが可能になるんだよ。」

p94「人間の表情や動作や発言は、痛みの本質そのものと直接につながっているんだ。意味そのものを定めているんだから、必然的な関係って言ったっていい。それに対して、中枢神経や脳の状態は、そもそも痛みとは何であるかってことを決めているんじゃなくて、痛みの概念が確定した後で、それがどういう状況と関連しているかってことを言っているにすぎないんだよ」
微笑みうつ病はどうなるのか?

「嘘とはなんであるか、という嘘の意味を考えるときに、嘘発見器を使おうとするようなもの」

夢の本質は眠っている時に見る、ということにある。

恋はその人の持つ性質に向けられたものだが、愛はその人そのものに向けられるもの。p105

存在を定義づけているもの、存在の本質は何であるか?
時空的に連続していること。時空的に連続して生きた人間でありさえすれば、ほかの何が変わってもその人はその人。(自己に限る?)
補足 時空間をテレポートしたとしても、そういうことが現実に起こっていない、ということがぼくらの同一性の概念に影響を与えており、テレポートが起こったように見えても信用しないという前提で人の同一性は考えられている。

勝ったという事実すら消える。現実においては当然のものとなった。人権概念は勝利した。それが「勝てば官軍」の本当の意味

「自分の側からは決して到達できない、相手の固有の価値みたいなものがあることを、どうしても信じたい」……相対主義p183

正義原理は過去思考的、功利原理は未来志向的p146

オウムやナチスに、倫理的な間違いを証明することはできるか?私達が今いる世界が倫理的に正しいと言えるか?
利便性のために交通事故での死や森林破壊や大気汚染を肯定する私達の世界は正しいと言えるか?
分からない。なぜなら人間の倫理性がたまたまその程度にできているというコト以外考えられないから。

「特に倫理的な問題はね、現に生きている大人の多くが、なぜかそれに納得を感じるっていうことによってしか、究極的には根拠づけることができないんだ」p156

「事実判断から価値判断が導き出せないって主張なんだけど……(略)」p164「ほんとうはよくないんじゃないかって、問題にしていけるってことが、事実から価値が導き出せないってことのポイントなんだよ」p165「価値から価値が導き出せないってことが、問題のすべてなんだよ。」

虚偽意識p163

自覚障害と実践障害p187 「意味が分かる」とは 言葉は理解するものではない。使うもの。実際に使えているかどうかでしか「意味が分かっているか」は分からない。

p199三段論法

意思と欲望は同じ

死は体験ではない。受け容れるべき現実。

理性と理由と根拠はもともとみんな同じ言葉p158

ウィトゲンシュタインのパラドクス

ニヒリズム……全てに意味がない = 全てに意味がある

「道徳の存在を前提としたうえで自分を特別扱いする仕方を考え出す」

利他的な行為は無い。すべての行動は利己的に為されている。

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Posted by ブクログ 2022年05月07日


実は、ものごとには、それぞれ、勝手に決め込んでいい方向、決め込まなくちゃいけない方向っていうのがあるのさ。

他人には〈自分と同じ〉細部がない

『正直-不正直』の空間

『今』『ぼく』

人生の全体を意味づける何か
なにからも規定され得ないがらんどうの空虚さを生きる奇跡

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Posted by ブクログ 2021年10月24日

 永井均は、大学一回生の頃に『転校生とブラックジャック』を読んで一目惚れし、それ以来ずっと気になっている哲学者である。とは言え、彼の著作は今までほとんど読めていない。それは、彼の著作に挑むには、かなりの勇気を要するからだ!
 本書は、副題に「哲学的諸問題へのいざない」とあることからも分かるように、哲...続きを読む学の入門書である。読むのに哲学の特別な知識は必要でない。中学生の翔太と猫のインサイトが対話をする中で考えを深めていくという内容になっている。だが、この設定や可愛らしい表紙に騙されてはいけない。入門書と言いつつも非常に本質的な議論が展開され、読者は、普段の生活のなかでは気にも留めなかったがよくよく考えてみると不思議な問題について自分の頭でトコトン考える営みに誘われる。レビューの最初に「永井均を読むには勇気を要する」と書いたのはこれである。つまり、生半可な覚悟で読み始めると目は紙面を滑るだけで議論を追えず、ましてや自分の考えを深めることなどできず、ただ時間を浪費するだけになりかねない(僕自身の経験です笑)。哲学は、決して知識の羅列ではなく、自分の頭で考え続ける営みそのものだ、ということに気づかせてくれる一冊だ。

・p.11 少し前に書いた『鬼滅の刃無限列車編』のレビューと偶然にも関連している。
・p.32 「立花由美」が生まれてから死ぬまでに一度も怒ったことがないのに、(彼女を怒らせる出来事がなかっただけで)彼女は実は怒りんぼうだったということが有り得るかという問題について。「怒りやすさ」のアナロジーとして「才能」が思い浮かんだ。例えば、「何に才能があるか分からないから色々なことを経験するべき」という言説があるが、これは暗黙のうちに才能というものの実在を仮定している。現実としてあるのは、「人物AがあることBをして上手くいった」ということだけで、それを後から見て「AはBに才能があった(だから上手くいった)」と言っているだけなのに。そういう言い方をすると、人の一生は予め決まっているのだ、みたいな決定論・運命論に繋がってくる。あたかも実在があるかのように言っていることは、身の回りにたくさんある気がする。そのほとんどは別に実在的だろうがそうでなかろうが特に困らないだろうが、才能のようなセンシティブな事柄については慎重にならなければならないように感じた。
・p.35「自然な」超越とはなんだろうか?何をもってその自然さは妥当なものとされるのだろう。以前読んだ『科学哲学の冒険』には、科学の一推論手法としての帰納法は、世界の連続性がないと成り立たないと書いてあった。多分、自然さも世界の連続性から担保されるのだと思う。ただ、世界は連続だと言っても、僕たちが感じている世界には不連続性が至るところにあるし、僕たちにとっては僕たちが感じ取れる世界がすべてなのだ。例えば、瞬き(コンマ数秒の不連続)・夜寝ること(数時間の不連続)。確かにそれこそ「寝ている間」にも世界は実在していると思い込むしかないだろう(し、それが自然だと思う)。
・p.56 「H2O」が物質であるのに対し、「水」は現象であるように感じる。「水」というものは、僕たちが普段感じるあの「水らしさ」から定義されていると思う。例えば「水に流す」など、比喩の中で水という言葉が使われることも多いが、そういうとき、水を物質としてではなく、性質から構成されるものとして捉えている気がする。つまり、「水」は「H2O」であろうとなかろうと依然として「水」だ。
・p.110 時空間的な連続性が他者の同一性を保証しているとあるが、普段の生活の中ではそんなことはしていないだろう。ある日友人と別れて次の日また会ったとき、(その間の連続性を確認していないわけだから)ある日あった友人と次の日あった友人を同一であると見なすのは、結局顔や声・体つきだ(もちろん、別れてからずっと監視していれば、時空間的に連続しているかあるいは不連続かが確かめられるけど)。自分がどのように同一であるかを他者にも当てはめているか、見た目で区別がつかない人間が二人現れることは滅多にないという確率的・統計的な推論をしているのだと思う。
・p.135 有名なラッセルのパラドックスに構造が似ている。
・p.206 大学に入ってすぐの頃、数学基礎論を少し勉強してなんか大学っぽいことをやってるなぁと嬉しがっていたのだが、例えばモーダスポネンスといった推論規則は公理として認めることにガッカリした記憶がある。それを最初から認めるなら、全然「基礎」じゃないじゃん、と正直不満だった。大学院生のチューターの方はそれについて「メタ的な議論なわけだね」って言ってたけど。今考えてみれば当たり前で、数学は公理が与えられないとどうしようもない(それは、数学基礎論であろうと)。数学も「言語ゲーム」の一つなわけだ。今となってはそのとき勉強した知識を使う機会もないけど、数学基礎論とか公理的集合論とか勉強して良かったと思っている(唐突な自分語り)。
・p.232 「ここ」と「いま」の違いには、空間は前進・後退ができるけど、時間は一方向にしか流れないという違いも大きいと思う。

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Posted by ブクログ 2020年06月25日

何度も読み返すのに値する本だと思います
他者についての議論がすごく面白かったです。
でも私も本当は作者が言いたいことが分かってないのかも…
分かったと思ったのは全て思い込みであるかも…
ただ自分の貧しい頭を何か面白い考えで満たしたいだけかも…
そうだったら虚しいね
それでも凄い本です
「私」について...続きを読む考えさせずにいられない本です

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Posted by ブクログ 2018年10月21日

深い示唆を促してくれる。そして、読み進めるだけでは理解もできない。自分の頭で考えぬくことこそ哲学なのであってそれ以外ではないと教えてくれる。

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Posted by ブクログ 2018年01月23日

翔太と猫のインサイトの対話形式で進む。
哲学ってどういう考え方で考えて行くのか、各テーマに対するそれぞれの考えは出ているが、あくまでそれはその登場人物が持った答え。
それを眺めだけならば、ただの思想書になってしまうが自分なりの答えを考え始めるならこの本を哲学書として楽しめたと言えるんじゃ無いかと思う...続きを読む
私はまだ思想書レベルでしか楽しめていない

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Posted by ブクログ 2017年01月03日

哲学的な思想に興味を持っていたところ、美術館で発見。小中学生向けとのことできっと簡単に読めるかな、と想定して購入しました。
…非常に頭を使います。
そもそも、哲学とは思想や信条、とおりいっぺんの真理を示すものではないとのこと。この書では、あらゆる哲学的問題を使ってどのように思考を広げるか、猫のインサ...続きを読むイトの誘いで考えていく本。「君は本当に馬鹿だねえ」「君は本当に頭がいい!」と、インサイトの翔太への評価がころころ変わるところも見物(笑)。
学説が体系だって「分かりやすく」説明されている訳でも、物語で「簡単に」理解できるようにもなっていません。
過去の哲学者が提示した様々な問題や説を理解したうえで、それはなぜなのか、どうしてそうなのか、自分で思考していくことがきっと本書が書かれた目的。
にしても難しかった…。何度も反芻しながら読み進めても、何をいわんとするか分からない部分も多くて、考えきれていないなぁと実感します。ただ、想いも馳せなかった問題の見方を知って、考えたこと、そしてあらゆる学問の根底の考え方に触れたことなど得るものは多かったと思います。
また少し時間が経ってから読み直したい。違う実感がわきそう。

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Posted by ブクログ 2013年04月28日

「哲学を学びたいんですけれど何かいい本とかあるかな?」
と聞かれたら、真っ先に本書を読めと興奮して勧めるだろう。

作者自身が自画自賛している通り、「哲学」をするために(「学ぶために」ではない)最適な教科書に他ならない。
もう、誰かに読ませたくて仕方がない。

いきなり猫のインサイトが「今が...続きを読む夢じゃないって証拠はあるのか」とかいって翔太との哲学的対話篇が始まるところがなんとも滑稽だが・・・。

中学生高校生向きの哲学の本などと書いてあるが、内容はそのまま哲学科の卒論のテーマに使える深い深い問いかけである。
哲学を4年間やってきて、実は哲学をしていなかった自分に気がついた。

最初から最後まで、実に面白い!

哲学と思想は違うということ!哲学のエッセンスはねちっこい議論にある。
哲学から学べる一般論は自分の体験を通して本当の知識になる。
世の中で通用することのすべては、大切なことをすべてはしょってあるってこと。


個人的に印象に残っているのが、「勝てば官軍」の話で、ナチスやオウムが非倫理的だったから挫折したわけでなく、もし彼らが世界を征服していたら、倫理観は違っていたかもしれないということ。

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Posted by ブクログ 2013年02月15日

いまが夢じゃないって証拠は?ほかの人って自分が見ていないところでは楽屋で一休みなんかして、本当は登場人物てきな感じにしか存在しないのでは?他人にも自分と同じように心があるの? どれもこれもきっと多くの人が小学生の時考えたことがあるようなシンプルだけれども一人では答えが出にくい疑問を導入に、存在のかけ...続きを読むがえのなさ、言葉はなぜ通じるか、自分は存在している、など哲学していく良書。

永井さんの本は本当に面白いし何より簡単。
すぐに壁にぶちあたって砕けるようなシンプルだけど哲学するには骨が折れる題材をここまで簡単にわかりやすく書いてあるという驚き。

私が小学校三年生のとき漠然と感じた「他者は自分ではない」という断絶感が今になって解き明かされて、進み始めた。

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Posted by ブクログ 2012年12月02日

先日、本屋の中を何の気なしにブラブラ散歩していたら、哲学関係の本なのになんとなく面白そうだし、タイトルもとっつきやすそう(内容も簡単そう!)な本があったので中身も見ずに衝動買い。そのまま喫茶店でコーヒーを注文したあと、軽い気持ちでページをペラペラとめくってみたら、鼻歌を歌いながら会計していた10分前...続きを読むの僕をグーで殴り飛ばしてやりたくなるような作者独特の言い回し、難しい哲学用語の雨あられ、というかもはや嵐。今まで哲学関係の本を全く読んだことがない僕は、本を読み終わる頃には、瞳孔は開き、全身を痙攣させながら泡を噴いていたといいます。嘘です。とにかく、内容を理解するには少し頭をひねりますが、作中で猫のインサイトと翔太が論じていることは実はいたってシンプル。僕自身も小学生のときに布団の中で考えていたことと同じ話題がでてきたときには心底驚いて心臓を口から吐き出してしまったほどです。「人間は死んだらどこへいくんだろう」とか「魂とか心ってなんだろう」とか、僕たちがその昔、漠然と考えていろいろ妄想したけど結局よくわからなかった内容を、本書では哲学的な論点から分析していて、読んでいるうちに、ふむふむなるほどなァ!と喫茶店の中で何度も叫び白い目で見られたい自虐的な方には最適な一冊だと思います。

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Posted by ブクログ 2012年06月16日

この世界の本当のこと、本当に知りたかったことが書いてある。
何度か読んだけど、何度読んでも理解できない所がある。これは自分の知能の問題…。それでも、これは自分の知りたかった本当のことの一片だと思う。僕らも。猫も。自分の中のインサイトも。夏休みも。そこで答えを待ってる。

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Posted by ブクログ 2011年06月16日

「哲学とは何か」。

この本について、僕程度の者がいくら言葉を尽くしても、著者に失礼であるだけかもしれない。

だから、一言だけ。


面白かった。

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Posted by ブクログ 2023年04月17日

哲学について考えるきっかけの本

中学生の伊豆蔵翔太と猫のインサイトによる対話型の哲学入門

今が夢ではない事を証明できるか?
培養器の中の脳が体験している可能性
「自分」という特別性
他者との認識違い
他の人と見ている色は違う可能性
他人が感じる痛みとは?
そもそも他人に心はあるのか?
自由意志と...続きを読むは?
時間と空間は存在するのか?
死を恐れる理由


哲学書を読んで学べるのは「思想」であって、哲学そのものではない
哲学とは、ただひたすら己の中で自問自答することで得られるものなのかもしれないですね

私は今まで哲学書のようなものは読んだことないけど
本書で語られているような事はある程度は考えた事がある

今が夢でない証明もできないし、培養器の中の脳の可能性も否定できないしのはわかる
なので、その時点で考えるのをやめてたな

他人の感覚は自分には想像することしかできないし
他人にも自分と同じような意識体系がある事も若干の疑いを持っている
そもそも自分の意志というものが存在するのかも疑わしい

自由意志なんてものはなくて、どちらかというと決定論寄りの考えかな

空間と時間に関しては、もともと高次元の何かが存在していて、ビッグバンによってこの宇宙のルールが決まったというイメージをしている
宇宙の発生の前には「無」があったというよりは、「何ものでもない何か」だったのではなかろうか


死を恐れるのは、自分という主体の喪失だからでしょうね
どうなるのかを知らないし、想像もできないし、他者の有様から想像するに待っているのは消滅
だからこそ人は宗教というものを発明したのでしょうし
哲学も結局はそこに行き着きますよね


哲学について、今まで本を読んでこなかったけど、意外とそれっぽい事については考えていたんだなぁと我ながら感心した
だからといって新たに哲学の本を読もうとは思わない
本書でも語られているように、哲学書は思想を知るための本に思える
本当の哲学が自分の中にしか答えはないと思うよ

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Posted by ブクログ 2022年01月22日

ねちっこい、ものすごく粘り気の強い本。
考えようとすると考えようとすることを根っこのところからがっつりつかまえてくるから読むのにすごい時間かかった。
なぜなぜ分析どころではない、干した布団をほこり出なくなるまで叩かれる感じ。

おもしろかった!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月12日

自分は頭がいい(猫=永井)という書き方が鼻につくが、私が持っている永井本の中で最も読みやすい。(中学生にも読めるようにとの記載があったが、それでもそれほど容易ではないと思う)
・ウィトゲンシュタイン:語りえぬものについては沈黙しなくてはならない。
・「ぼくらがそれについて語れないものっていうのは、結...続きを読む局のところ、存在、ってことになるんだよ。存在しないもの、って言わざるをえなくなるんだよ」
・「きみの言うその人形みたいなやつが、伊豆蔵翔太として生きているなら、他人は誰もその変化にきづかないだろう?きみから心が抜かれるっていうとき、実はきみは、伊豆蔵翔太って呼ばれているこの少年が、きみでなくなった状況を考えているだけなんだ。その伊豆蔵翔太には、あくまでも心があるんだよ」
・人生の意味:「幸運、不幸、偶然は何の根拠も意味もない。そういう意味のないことがたまたま起こったってことには意味があるんだ。その意味のなさこそをよくよく味わないと。そこでこそ、全宇宙の存在の奇跡と君の存在がの奇跡が出会うんだ。そいういう偶然を味わうためにこと、君は1回かぎりこの世に生まれてきたとさえ言える。」

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Posted by ブクログ 2013年06月18日

話の内容としてはどこかで聞いたことがあるようなものばかりだが、特に印象に残ったのは、「培養器の中の脳」である。小さいころ、巨人がいて宇宙を飼っている(小さな箱のようなものに「宇宙」というものが入っている)持っているのではと妄想していた。雨が降るのは巨人が泣いているからだ、地震が起こるのは箱を落とした...続きを読むからだ、と考えていたが、あながち嘘ではないのかもしれない。
「培養器の中の脳」は、人間の脳だけを培養器で培養され、そこからコンピューターに接続されている。人間が見たり、感じたり、考えたりするのは脳の電気信号だと考えれば、ありえない話ではないだろう。

ただ小説ということで、しつこかったり、少年の考えのプロセスが載せられているのが邪魔である。こんなに面白い内容なら紹介するだけでいい、あるいは批判的な文章がいい。プロセスがあることで、自分が考えることに方向性が出てしまう気がする。

印象に残ったのは次の文章。
「もし、すべての子どもに哲学が必要だとすれば、それは裸一貫でものを考える訓練としてであり、それ以外ではないと思う。われわれの文明はすでに多くの学ぶべき学知を蓄積しており、学校教育は知識の習得のの場とならざるをえなくなっている。だが、ものごとを深く考えるためには、根底に達するまでの理解なしに覚えこんだ知識はかえって邪魔になるのだ。世界があり、自分がいて、他の人もいる。物が見え、体が動かせ、言葉がしゃべれる。それだけでも、思考の素材としてはじゅうぶんすぎるほどなのだ。まずそこからものを考え始め、知識を学ぶのはその後からでも遅くはないのだけれど……。(p.218)」

(まっちー)

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Posted by ブクログ 2013年05月06日

いま、この誰でもない”ぼく”がここに存在している奇跡、これを実感できた、素晴らしい読書体験だった。”存在”という概念の存在。愛についての記述も素晴らしかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年10月12日

 「この本は中学生・高校生向きの哲学の本です。」とのことですが、既にオジサンになってしまった私にとっても、とても難しい理解しにくい内容です。本書は1995年12月25日に刊行されたとのことですが、後の1997年7月に刊行された「子供のための哲学対話」の方が、ずっと分かりやすい内容にです。
 この違い...続きを読むは、対象としている年齢の違いにもよりますが、翔太~の方が、読者自身が読者自身の疑問を読者自身で考えることを促しているのに対し、子供の~の方は、永井均さんなりの答えを明記しているという違いによるものだと思います。
 つまり、哲学的な問いは、その問いそのものの意味を共有することが難しいので、そこに何らかの答えが書かれていることで、ようやく問いの意味を共有するということが、できるからなのだと思います。


はじめにより
哲学に関する予備知識などはまったく不要です。
よくわからないところにあまりこだわる必要はありません。
むしろ、自分にとってよくわかる問題を考えぬいてみてください。
哲学に関しては、色々な学説を知るよりも、ひとつの問題を
考えぬく方が遥かに大切です。

哲学に限らず、自分の中に芽生えた疑問について、
考えぬくという姿勢は、とても大切なのではないかと思います。
何故ならば、他人の欲望を模倣するために奔走しても、
決して幸せになれないような気がするからです。

自分の中に芽生えた疑問は、往々にして哲学的な難問であり、
私たちは、答えの出ない問題を前にして立ちすくみ、
考えぬくことを放棄してしまいがちです。
しかし、その難問を考える苦しみの中に、私たちが、自分の
生をかける価値のあるテーマが隠されているのだと思うのです。


巻末の中島義道氏による解説 正確で清潔な言葉より
「哲学」とは、徹底的に思索し、厳密な言葉で語り続けるという積極的な
営みなのであり、永井さんが本書で提案しているのはこのことだ。
そして、これこそ多数の共感を呼ばず、永遠の負け戦であり、だから
私にはとても潔く見えるのだ。
この書の「はじめに」は次の文章で終わっている。
哲学とは人生と世界に関する深い真理を教えてくれるものだ、
というのも嘘ではないのですが、その真理に触れることができるのは、
この遊び場でクタクタになるほど遊びほうけた後のことなのです。

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Posted by ブクログ 2012年10月05日

インサイトの言っている問題の意味が分かった瞬間、鳥肌が立つ。けれども、肌の粟立ちがおさまるのと同時に、わたしが存在していることの輝きも、日常に埋もれてしまう。でも、このきらめきは哲学のおいしいところで、この本はそこをわたし自身で発見できる不思議な本だったと思う。分からないことが楽しい。

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Posted by ブクログ 2012年07月29日

 中学生の男の子と飼い猫の対話によって進行する哲学へのいざない。かなり「わかりやす」く問題へと導いてくれているが、内容は決して簡単ではない。むしろかなり高度な問いをめぐって問答している。

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Posted by ブクログ 2012年07月27日

会話ができる猫という設定を活かして、
さまざまな疑問を追及していく本書は、
軽く感じる流れでいて、重いッ!

哲学とはこういうものッ!?
と感じる震えるぞハート!作品だッッ!


※ジョジョ語風味に変換しています※

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Posted by ブクログ 2011年07月07日

巷には哲学史・過去の哲学者の研究をした本はいくらでもある。別にそれが悪いということではない。
しかし自分にとって切実な問題を自分で納得いくまで考えたい人間にとっては、そういう本は(無意味ではないが)無力である。
そんな人間にとっては、永井氏(本書を含む)や池田晶子氏の本が、考えるよき道標になる。少な...続きを読むくとも私にとってはそうである。
筆者と問題意識が違う所は勿論あるが、本書も随所で新たな発見があり、十分「考える」ことができた。

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Posted by ブクログ 2011年02月11日

夢の中で、これが夢だと認識する事が出来るか、否か。
昔、自分の中で眠れない程考え続けたテーマについて
書いていました。ちなみに自分でたどり着いた結論と
ほぼ同じ♫
子供向けと見せかけて、読めば読む程、脳みそに汗をかきます。

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Posted by ブクログ 2011年02月06日

こうやって素朴な疑問について悩んだり話し合ったりする事を哲学というのか。

だったら哲学するって楽しい。

生きた哲学が楽しめる物語。

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Posted by ブクログ 2010年12月29日

何かの文学関係の雑誌に載っていた川上未映子さんの推薦文を読んで面白そうだと思い、手に取った一冊。

この世界は現実なのか、何故私は私なのか、誰もが一度は考えた事がある疑問を対話の形式で深めていく。
個人的にこの形式が面白いなと思った。

読んでいるうちに子供の頃によく似たことを自問自答していたのを思...続きを読むい出した。
そしてだんだんと不思議な心地よさに引きずり込まれていく。

考えてもあてなんて無い、答えも無いような問いについて延々と問い続けるという行為自体が哲学なのかも知れないと思った。

ちなみにこの心地よさ、押井守監督の「スカイクロラ」を観ていたときにも感じた。深く深く自分の心の奥に潜っていくような心地よさ。

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Posted by ブクログ 2018年12月01日

読むことを止めて、質問について考えながら読み進めること。著者から最初に提示されるこのルールを守って読んだ方が間違いなく面白いし、理解しやすいように思います。

筆者の方は大学の講義でこの本を使われているそうですから、哲学の教科書ですね。1回読みましたが、数回読まないと完全には理解できない内容でした。...続きを読む

自分は哲学に興味がありそうだ!と思って読んでみたものの、哲学の基本がわかっていなかったんだなぁ・・と学ばされる本でした(笑)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月15日

スラスラ読めるような、読めないような。表紙のイラストからすると面白おかしいようなほのぼのするようなイメージを感じたのですが、途中までその気にさせて突き放すようなところがあった気がします。

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Posted by ブクログ 2013年05月05日

哲学へのアプローチの手ほどき。「ソフィーの世界」は単なる思想史であって哲学書ではないと。哲学はお金と時間がある人の遊戯だと思うが(普通は日常雑事を捌くだけで精一杯)、今立脚している「常識」があやふやであるという認識は救済にもなりうる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年10月08日

哲学の概念を、対話形式で紐解いて行く。小説というより、若者に向けて書かれた哲学入門書のような本。中学一年生の「翔太」と、言葉を喋る猫の「インサイト」が、二人でひたすら哲学的な話を繰り広げて行く。
「自分以外の人間は、自分に会っていない間は存在していないかもしれない」というようなことは昔私も少し思った...続きを読むことがある。ただ、内容がけっこう小難しい。そして理屈っぽい。飛ばしちゃったもん。
哲学と小説を旨く融合させると、成功すればかなり面白い。私も愛読している本が一冊だけある。今回の本は期待しすぎていただけちょっと残念だった。
こういう本、もっと増えれば良いのにな。探してみよう。

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Posted by ブクログ 2011年05月19日

読んでいると、哲学の世界にどんどん引きこまれていく。
ちなみに、本書によると猫のインサイトは黒猫である(ブックカバーのイラストは白猫になっている)

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