あらすじ
「カテーの問題」と言われたら、その「カテー」が家庭か假定かあるいは課程か、
日本人は文脈から瞬時に判断する。
無意識のうちに該当する漢字を思い浮かべながら……。
あたりまえのようでいて、これはじつに奇妙なことなのだ。
本来、言語の実体は音声である。
しかるに日本語では文字が言語の実体であり、
漢字に結びつけないと意味が確定しない。
では、なぜこのような顛倒が生じたのか?
漢字と日本語の歴史をたどりながら、その謎を解き明かす。
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Posted by ブクログ
前半では、文字の裏付けに依存している日本語という言語的特性が他の言語と比べていかに特殊であるのかという点を、その特性が形成されていった経緯と共に解説しており、後半では、国語改革の不適切性という切り口から、明治以降の日本に蔓延った極端な西洋化志向の問題点を説いている。
我々日本人が無意識のうちに非常に高度な言語処理を行っている点を意識させられ非常に驚かされた。「日本語にとって漢字は、相性は悪いもののもはやそれなしには生きられないものであり、漢字を捨て去ることなどできない」との筆者の主張も非常に説得力があった。語りかけるような文体のおかげで内容もよく理解でき、非常に面白い本であった。
Posted by ブクログ
漢字の取り扱いについて、中国と日本における歴史的な事情を記述している。
韓国で漢字を排斥した理由がよくわからない。
日本でも漢字を減らそうとした経緯、
中国で漢字を減らそうとして経緯が書かれている。
それが成功したとは言えない。
混合文化の利点にも光りがあたるとよかったかもしれない。
ps.
JIS(日本工業規格)に対する誤解が少しあるのが気がかりだ。
該当するJISはX分類というコンピュータで文字をどう扱うかを決めています。
すべての漢字をコンピュータで表現しようという今昔文字鏡の活動を支援している人も、経済産業省の工業規格関係の人にもいます。また、今昔文字鏡を作った方も、JISの委員会にはいっていただいました。
JISを作っている人の中には、驕った人もいるかもしれません。
また、JISは、コンピュータがあれば、インタネットで無償で見られるようになっています。ぜひ、改訂の際には、追記いただけると幸いです。
Posted by ブクログ
十一月の三日は、祝日でちょうど日曜日です。
本書にある、日本語がいかに具合の良くない状態にあるかを示す一例だそうだ。
よく考えてみると、まぁ確かに。
明治維新以降の国字の扱いがまずかった。とする点はぼくもそう思う。が、彼の「漢字をアテたのは重荷」という主張は違うと思う。
日本語母語話者には重荷になってない。
非日本語話者が日本語を学ぶときに障壁になる?なりますよそりゃ。
漢語を取り入れたことで、"本来迎えるはずだった独自の言語体系変化"は無いものになった。
これも違うと思う。非母語の語彙を母語に混ぜて使う、変化できることばなんだ。
取り入れて独自に発展させるのが特色なんだ。漢文化的思想になった、大いに結構じゃないか。
と、不勉強から思う部分がおおく、非常に刺激的だった。まさに碩学でした。文字学?というものが確立されてるか分かりませんが、書記に関して理解したいと思う足がかりとなりました。