あらすじ
芸術(アート)という名のタイムカプセルが、いま開かれる――。京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、レイモンド・ウォンと名乗るマカオ博物館の学芸員が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてそこに記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。天才絵師・宗達の名画〈風神雷神図屏風〉を軸に描く冒険譚。「縦横無尽な想像力に操られたマハさんの筆致にすっかり魂を持っていかれた。カラヴァッジョと宗達を繋げてしまう発想には脱帽です」漫画家・文筆家・画家 ヤマザキマリさん推薦!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
学芸員が主役で、俵屋宗達の絵の謎を解いていく話だと思っていたら全然違った。
大部分は天正遣欧少年使節の原マルティノ目線で進んでいく。
それにしても第一章、長すぎないか…?!
何気なく本をパラパラしてびっくり。ほぼ一章じゃん。歴史ものみたいだし、飽きずに読めるかなあ。
ハイ杞憂でした。
マルティノだけじゃなく、俵屋宗達や狩野派の面々の体験に話が移ったり、イメージ通りの織田信長が出てきたりと目まぐるしく展開していく。
後半も楽しみ。
Posted by ブクログ
プロローグの、現代で絵の研究者同士が会話してカラヴァッジョ云々と言ってたシーンなんてとうに忘れるくらいには、織田信長治世の京都の扇屋の息子俵屋宗達と有名な絵師一家の狩野永徳、他方有馬のセミナリオで学ぶ少年たちと宣教師の、戦国時代のキリシタンや芸術、南蛮貿易にかかわるストーリーや描写が想像しやすく没入感があった。
セミナリオで学ぶ子達の、敬虔な信仰心とそれにより深くキリスト教のことを知りたいという好奇心と情熱、時を同じくして信長に買われた絵師の宗達の変わったものや初めて見るものに触れてこの手で描きたいという好奇心と情熱。それらが交わってローマへの船旅に旅立つというのがロマンがある。
そんな想いがが海を越えるのだと思うとワクワクするし、海を渡るのがかなり困難だったこの時代に、志と好奇心と情熱がそこまで人を動かすのか、と。
p438 マラッカに寄った時、宗達を筆頭に4人が象を近くで一目見ようと走って行くさまが、この子たちは少年なんだなと心がほっこりした。きりしたんとしてセミナリオで学び、よく躾けられた真面目な子たちが、宗達のような好奇心あふれる子と過ごして良い意味で影響されてるのかなとか。好奇心に駆られたロヨラ(彼らの教育係)が少し気まずそうにヴァリニャーノの許可を得てから後を追うのもクスッときた。セリフが可愛かったのでメモ。
-ヴァリニャーノ「あの者たちは若い。彼らの心にはみずみずしい好奇心が宿っている。それは神からの大切な贈り物なのだ。」
-ロヨラ「私もまた、彼らを追いかけていきたい気持ちに抗えないとしたら…神からの贈り物は、この私の心にも届けられたということなのでしょうか?」
あとは、序盤で、宗達がいかに絵描きとして天才なのかが描写される時、「絵を描く時はまるで水を得た魚」と表現した後、狩野永徳と作った洛中洛外図の彩色の時に屏風の金色の海に潜って泳ぐ=集中して色を塗る、という比喩の使い方に表現が素敵だし技巧的だなと思った。
やはり原田マハは、史実を使いながらのフィクションで人をワクワクさせるのに長けているなと感心してしまう。