あらすじ
実の娘である芹をさんざん蔑み、挙句の果ては自分と母を捨てた父親が、喧嘩沙汰で命を落とした。しかし亡骸となった父の懐には「少女カゲキ団」の錦絵が入っていたという。ろくでもない父だと思っていたはずなのに、本当は大切に想ってくれていたの──困惑し、気持ちとは裏腹に涙が止まらない。そんな中、カゲキ団の最後となる飛鳥山での披露の日が迫ってくる。縁談、出自、新たなる望み──。幾多の試練と様々な想いが交錯しながらも、少女たちは強い決意を胸に秘め、舞台の幕開けに挑む!! 芝居をとおし、懸命に生きる少女たちを描いた物語、感涙の完結巻!!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
五冊まとめて。
一冊づつ読み切りスタイルかと思ったら、なんと5冊の続き物だった。
読みやすく一気に読み終わった。
田沼意次の時代の江戸に生きる町娘が、正体を隠して芝居をする。大店の娘たちと、長屋暮らしの娘、存在を隠さなければいけない娘など、江戸時代の女性の生きづらさが、色んな角度で描かれている。
軽く読めるが、時代にも即していておもしろい。蔦屋も出てくる。
Posted by ブクログ
女は自由に未来を決められない江戸の時代に、
踊りの師匠についていた大店の娘たち。
一人は眉目秀麗、一人は元気いっぱい。一人は戯作者になりたい夢がある。
そんな少女たちが偶然しった長身の少女。
踊りの師匠の庭先で漏れ聞こえる音を聞きながら踊りを練習していた貧しい少女。
そんな4人が練習して花見の有名な山で披露するや、少女たちの憧れに。
この最終話。
家族に不幸があって、嫁に行かされそうになって、、、と。あとどのくらいできるのだろうと訝しく思う頃。
最後のゲリラ的路上公演に青春をかける!
Posted by ブクログ
江戸を舞台のジェンダーギャップ物語。
全5巻、1300ページを超える青春小説のの最終巻は大団円かと思いきや、ほろ苦いものでした。
数日前に『日本のジェンダーギャップ指数が146カ国のうち125位で過去最低となった』との報道がなされていて、タイムリーだなぁと思いながら読みました。
江戸を舞台としている以上、女歌舞伎が認められることは無いと分かっていましたが、やはりこの時代のジェンダーギャップの壁は厚かったようです。
なんとか乗り越えられたのは仁と静のペアのみ。才と紅はしたたかではあるけど、枠内に収まります。そして芹は、
最終巻はジェンダーというより、親子の問題がクローズアップされました。
芹の父親は第1巻からなかなかの毒親ぶりでしたが、最終巻に来て母親のそれを上回るモンスター振り。なかなかの胸糞です。これでは頑張った芹も報われません。
中島要の小説には、皆が一目置く粋でカッコ良い女性がよく登場します。今回は花円師匠。後を継ぐ芹にも女だてらに粋でいなせな姉さんになって欲しいものですが、時代は天明の大飢饉を経た寛政の大改革時代。まだまだ辛い世の中が続きそうですね。