あらすじ
押伏村には、六十歳を越えると蕨野という丘へ棄てられる掟がある。だが、死を待つ老人たちは悲惨で滑稽な集団生活を送りながらも、生への意志を逞しくしていく。死してなお魂は生き永らえるのか? 棄てられた姑と嫁の心の対話を通して、人間の「生」の本質に鋭く迫る、平成日本によみがえる衝撃の棄老伝説。
恩地日出夫監督、市原悦子主演で2003年に映画化。
解説・辺見庸
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Posted by ブクログ
嫁と姑の関係に希望があるところがいい。
年を取ってもコミュニティから排除されても、生きる意欲や恋をする気力があるところがいい。
何より、厳しい土地厳しい状況の中でそれでも生きようとする人々の姿が美しい。
余談だが、ワラビたちは「寒の夏」でさえなければ、秋になって収穫を迎えたときに再び村に帰ることができたんだろうか。できたんだろうな。できたと信じたい。
Posted by ブクログ
姥捨山に捨てられた老人達のサバイバルの物語!…はちょっと違うけど。(と思ったら、解説の辺見庸さんも「老人たちが余儀なく突入していくサバイバルゲーム」と表現していてびっくり。)
里の若い者達の食いぶちを減らすため、もう里には戻らない覚悟で自ら山にはいるが、それでも山で鳥やウサギを採ったり魚を捕まえたりしながら必死に生き延びようとする年寄りたちの姿が印象的だった。そのうえ里が飢饉にみまわれると、里に残した子や孫に山の肉をやろうと必死に罠を仕掛けるおじいちゃん…。生きるってこういうことだ!というものをどーんと見せつけられた気がする。そこには「姥捨」の伝説から受けるネガティブなイメージは、ない。
みんなが生きるために、社会を継続させていくために、老人たちが後続の若い人たちにすべてを委ねて道を明け渡そうとする姿に、心打たれました。