【感想・ネタバレ】新編 銀河鉄道の夜のレビュー

あらすじ

貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である『銀河鉄道の夜』や、『よだかの星』『オツベルと象』『セロ弾きのゴーシュ』など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、『北守将軍と三人兄弟の医者』『饑餓陣営』『ビジテリアン大祭』を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく集めた一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ようやく読みました。

以下表題作について。

序盤:おお、余り居心地よくないね……これどうなるんだろうな。おいザネリお前。お前。おまえら。
中盤:銀河鉄道だーー! 幻想的。大学士に思わずときめき鳥捕りがなんか、何か好き。私もその鳥食べたい。
終盤:まあ死後の世界的なあれだと思っ、まって。待って? 待って。待ってわかってて覚悟してるのになんか。え? なんか凄いわかってたのにハラハラする。まって。お父さん。お父さん帰ってくるのあのあのあのあのあの、さぁ!!!!!!!!!!

ジョバンニの不幸は「父親が帰ってこない/仕事による疲労/ザネリという馬の合わない存在」が原因なのですが、父親が金持って帰ってきてザネリもこの件で大人しくなる、となると、最後の二ページ程度で彼の問題はあっという間に片付いているんです。
カムパネルラはいません。
あの友人はそこに居ません。
でもカムパネルラは別に、助けてはくれなかったんです。
曖昧な笑顔と「いじめに加担しない」という立場にいただけなので、プラスの行動はしていないと判断しています。
むしろその態度に傷付いているのが冒頭の質問シーンです。

あの旅は夢に限りなく近くて、一緒に旅して対話したというのはジョバンニの理想でしかないとも見れます。
だとしても、ジョバンニがカムパネルラに対して強い感情(依存にも踏み込みかねない友情)を向けているのは、女の子との会話で不機嫌になったあたりで描写されています。
ジョバンニは自分と向き合ってくれる友人が欲しかったんじゃないかと思います。

カムパネルラの死と同時に三つの問題が好転したことが示唆されます。
うち一つは、カムパネルラが居なくなったからこそザネリが何も言えないだろう、という部分になっています。

あの蠍のように、カムパネルラは「本当の幸い」の為にその身を捧げたのでしょうか?

本当の幸いってなんですか?

ほんとうのさいわいって、なんだ。
■最後に

「カムパネルラ、僕達、ずっと一緒に行こうねぇ」
少なくともあの瞬間において、これがジョバンニにとってのほんとうのさいわいだったんだと思います。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

17歳になるまでにちゃんと読んだ2冊の本のうちの一冊。読書の原体験であり、大人になって初期バージョンを読んでからこの作品の深層に触れ大きな衝撃を受けた。子供時代と今の自分それぞれに別の覚醒を喰らわされた日本文化の特異点、それが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」だ。

原作および映画版「ウォッチメン」
是枝裕和の「怪物」
映画版「キャシャーン」
そして浦沢直樹の「モンスター」

共通するテーマは「最大多数の最大幸福を求める」
そして人は必ず間違える「原罪」を背負う

子供の頃読んで魚が舞う天の川の景色にうっとりした読書体験が今だに自分の創作活動の原型となっている

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有名な作品ですが、ジョバンニとカムパネルラの仲の良さが伺える描写が少なく、こちらが想像する2人の関係性と、物語の中での2人の温度感が結構違っていて、個人的にあまり感情移入できませんでした。少なくともジョバンニはカムパネルラのことを好きで仲良くしたいのだろうなとは思えたのですが、カムパネルラからのアクションが無いので、そこまで深い絆があるようには思えない状態で銀河鉄道での旅が始まってしまい、不思議な気持ちでした。自己犠牲を幸せとするのも個人的には共感できませんが、宮沢賢治は優しい人だったのだろうなと、なんとなく思いました。

そのなかで、印象に残った言葉があります。
「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」
灯台守のこの言葉です。最初はただ良い言葉だと思っただけだったのですが、自分の人生の中で割と大きいといえる失敗の経験をつい最近したときに、この言葉にかえって傷つけられました。結局、何かしらの形で成功に辿り着いたものにとってしか、道中の苦難を、それも幸せへの過程だったと言うことはできないと思ったんです。
それでもよくよく考えてみて気づいたのは、ここで失敗したことで自分はほんとうの幸福を得られなかったし、ここまでの苦労もすべてただの苦労に終わってしまったと思っていたけれど、実際はそうではなくて、ほんとうの幸福というのはもっと先にあって、自分の今のこの失敗も、そこへ続く道のまだ途中にあるものなのかもしれないということです。こうやって無理やりにでも明るい方向へ意識を向けないといけないのかもしれません。生きていかなければいけないから。そしてその答えは、死ぬ時にならなければわからないのだと思います。

自分の勉強不足で、文章がとても読みにくく、読み終わるまでにものすごく時間がかかったのですが、読んでよかったと思いました。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集の読んだやつだけ残していく
双子の星
率直な感想は不思議な話だった。
どこかで出会ったことのあった星めぐりの歌は、この作品だったんだ……(銀河鉄道の夜にもでるらしい)
この話によって、さそり座と双子座が近くのあることを知った。双子は幼いから、疑ったり、関わらないことを選ぶのが難しいのかなと思った。
最終的に海に落ちた彗星は、実際の彗星のかけらが隕石になることとか、動いていて海に落ちたように見えることからその立ち位置なんだろうか……?

よだかの星
QuizKnockであらすじを聞いたときよりももっとずっと悲しい話だったなと思った。
よだかには全く非のない「名前」でいじめられていた彼は、どういう気持ちで空へ飛んだのだろうか。悔しい、見返したい一心だったのか、ただ自分が受け入れられる場所が欲しかったのか、ただ逃げて死のうと思ったのか。どれであっても、まだ、今でもずっと、タカよりもずっと生き続けて光り続けている彼が、幸せであってほしいと願っている。

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2025年07月16日

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