あらすじ
子ども9人と大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルタ島から無人島へと出航した。孤島で海鳥を獲る旅が、この島の少年たちにとっては、大人への通過儀礼なのだ。だが、約束の3週間が経っても、迎えの船は一向に姿を現さず、このまま島から出られないのではないかと、不安が皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年のひとりクイリアムは、密かな決意を胸に、希望を捨てることなく仲間を励まし、生きのびるために闘うのだった。果たして迎えは来るのか? カーネギー賞受賞作。YAの名手が実際の事件をもとに描いた、勇気と成長の物語。
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Posted by ブクログ
・あらすじ
スコットランドのヒルタ島から鳥漁のために大人3人、子供9人を乗せた船が離れ岩へと出航。3週間で島へ戻るはずがいつまで経っても迎えが来ず、そこでサバイバルすることになる。
主人公は14-16歳?の想像力豊かな男の子。
資源や食べ物もろくにない岩に取り残された過酷な状況で心身が擦り減る日々を想像力で皆の心を和ませ、勇気づけてこの局面を脱しようとするクイリアムが良い子だった。
癖がある他のメンバー、閉鎖空間で起こる人間関係の軋轢、縋るものや信じるものがあるとはいえかなりキツイ
かなり過酷な状況だけど淡々としてる文章で読みやすかった…けど私のあんまり詩的な文章得意じゃないから所々であんまりピンとこなかったり。
しかし最後がかなり衝撃的だった…所詮オーナーにとっては代えのきく取るに足らない存在なんだよな。
ヒルタ島は今はもう無人島で、グーグルマップでみるとこんな島に人が住んでたのかと驚くレベル。
実はこの事件は1727年の夏に実際に起こったことらしい!(記録が残ってないから詳細不明)
ヒルタ島に伝わる「世界が終わっても、音楽と愛だけは生き残る」という言い伝え通りクイリアムの世界は一度終わってしまった。
Posted by ブクログ
舞台はスコットランド西のセント・ギルダ諸島。3人の大人と9人の子供たちが、陸地から離れた海上の岩山で海鳥を捕まえる伝統の鳥猟を行っていたが、約束の日になっても迎えの船が現れず、何もない岩山でのサバイバル生活が始まるというお話。
読みながらどんなところなのか気になって実際の場所の写真を見たのだけれど、こんな岩山で遭難生活を送るなんてあり得ないようなところで、しかもこれが実話ベースというところに事実は小説よりも奇なりというのを強く感じました。
ヨーロッパのこの手の話はやっぱり信仰が重要な位置を占めるので、哲学的な深さがあるのが興味深いですよね。
漂流した少年たちのサバイバル作品としての目新しさは正直なかったのだけど、この地域独特の風習なんかが面白い作品でした。
Posted by ブクログ
実話を元にしたサバイバル小説。
(実際は子供8人・大人3人で、全員無事帰還)
信仰から雲行きが怪しくなってきた。
大人(校長)でさえロープのせいにして自殺を図ろうとしたり、いじめっ子の足の指が凍傷て壊死してしまい切断したり、針の番人に拘る余り死んでしまったり、無事帰還したものの住民の殆どが天然痘で死んでおり、12人が帰ってきたことでようやく人口が倍になったり。
ウイリアムの〜の番人とそれぞれに名ずけてやる気を与える考えは素晴らしいし、自身の物語の番人っぷりも凄い。音楽の番人、時間の番人、ロープの番人など。
同じく、ウイリアムはマーディナの空想に救われている部分が強く、他の人から魔女だ妖女だと言われるも(ジョンも女と発覚してから色々言われたが)、信頼のおける空想の喋り相手を作るというのは、考えの整理にもなるし、緊急時は真似てみたいものだ。
ジョンは生理すら母親に教えてもらっておらず、いくら男として育てるにしても、極端だと思った。ウイリアムはマーディナと結ばれるが、ジョンもウイリアムのことを想っていたのもあり、苦楽を共に過し生き抜いた仲間という意味でも、女と初めて見破ったという意味でも、ウイリアムとジョンに結ばれて欲しかった。
ジョンは女というだけで、やはり帰還後は、誰かと結婚して子供を作らざるおえないのだろうか。