あらすじ
「私は、彼女のことを、秘密にしたくないの」。長女が同性の恋人の存在を告白したのは、次女の結婚式の夜だった。戸惑う父は、娘にふつうでいて欲しいと願ってしまう――。日本で外国人として育った娘、外省人の祖父、日本・台湾・中国で生きる父。いくつもの境界を抱えた家族を、小籠包からたちのぼる湯気で柔らかく包み込む感動長編。
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Posted by ブクログ
単純に娘を受け入れるか否かという話ではなく、人間味を感じる父の複雑な心境の描写は、とても興味深かった。
自分は娘の良き理解者という立場であり続けたいと思いつつ自信を無くし、娘を避ける明虎。
また、固定観念も相手を理解しようとする明虎の邪魔をする。
「年頃になると異性と結婚して家族を持ち、我が子を育てることが人生」といった価値観の社会の中で生きてきた明虎。固定観念が強すぎると、足枷にもなるということをまざまざと感じた。
ー 娘が「正常」でない。家族でそう感じているのは自分だけのようであり、自分の気持ちを誰とも分かち合えない。ー
同性が好きだと告白する娘にはもちろん苦労があっただろうが、告白をされる側にも葛藤が生まれ得るということを教えてもらった。大切に思う人を、もちろん受け入れてあげたい「けれど」、複雑な気持ちを抱くこともまたあり得るのだと。