あらすじ
いま最先端のエビデンスでわかった!
科学的に正しい「健康になるための技術」
「食事」「運動」「習慣」「ストレス」「睡眠」「感情」「認知」
長生きするための健康習慣の身につけ方が、これ1冊ですべてわかる!
健康法を知っているだけでは健康にはなれません。本当に正しいとされている健康法を、きちんと行動に移し、毎日無理なく続けるためには技術が必要です。
本書で伝える「健康になる技術」とは、健康でいるために必要なことを実践するスキルです。簡単に言うと、健康になるために「What (何)」を「How (どのように)」行ったら良いのか、自分の環境や特性(弱点・強み)に合わせて実践する技術を指します。
この本には、著者の個人的な経験や持論、専門家個人の意見などではなく、これまでの研究からわかっている「エビデンス(科学的根拠)」にもとづくこと、つまり、もっとも確かな、本当の話が書かれています。本の鍵となるのが「エビデンス」。実は、エビデンスには強弱があります。「テレビで◎◎先生が言ってたから」とか、「XX委員会の報告書によると」というのは、それが権威のある人や組織でも、きちんとしたデータや研究の結果などを引用していない限り、数ある「根拠」の中では一番弱いものです。この本では、各分野の現在の最新のエビデンスに基づいた健康に関する情報を集めました。
著者は、ハーバード大学の公衆衛生大学院の社会行動科学部で、日本人女性として初めて、人がより健康で幸せに生きるための方法について研究・実践するためにパブリックヘルス(公衆衛生)の博士号を取りました。同時に、ニューヨークに本社があり、世界100カ国以上の国に支社がある広告会社に14年勤務。現在は、自身の会社を起業し、実務と研究を続けながら、国際機関や自治体、企業に向けて健康関連の施策の戦略開発やコンサルティング、そして研究活動を行っています。
本には、「食事」「運動」「習慣」「ストレス」「睡眠」「感情」「認知」のテーマで、最新の健康になるための技術がまとめられています。これらのテーマで何をしたら良いのかが書かれている健康本はたくさん出ていますが、健康法は実行して初めて意味があります。この本には、何をしたら良いのかはもちろんのこと、健康のための習慣づくりに欠かせない考え方や、悪習慣を断ち切るためのコツ、健康習慣をスムーズに身に着けるための感情との付き合い方などを、行動科学やヘルスコミュニケーションのエビデンスに基づいて、丁寧に解説しています。今まで、健康のために何かをやめたい・始めたいと思ってもできなかった人、健康のために何からどのように始めたら良いのかわからない人、家族や友人などの身近な人が良い健康習慣を身に着けるための後押しをしたい人など、健康で元気に日々を過ごしたい、すべての人に送る一冊です。
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Posted by ブクログ
普段いかにマスコミ情報に踊らされているのかと思い知らされました。テーマは多岐に渡るためすぐの実行は難しいところもありますが、個人的には食事、ストレスのところから着手してみたいと思いました。
Posted by ブクログ
著者が7年かけて完成させた大著。健康について余すところなく書かれている。
まず「エビデンス」の説明をしているのがいい。
そこから、行動、習慣、食事(穀物、野菜果物、オーガニック、肉魚、卵、
牛乳乳製品、油、砂糖、酒、サプリ、塩)、運動、睡眠、ストレス、感情(怒り)
と、健康について思いつく限りありとあらゆることに触れている。
根拠のあるものないもの。
習慣、運動、睡眠の大切さは素直に受け入れる。
ストレス、感情の悪いところいいところ。
そしてやはり気になるのは食事。
白米が悪いってわけではなさそう。
酒も、適量ならいい、というが、その根拠はJカーブ。
全く飲めない人より少し飲んだ人の方が健康というデータ。
これは呑めない人はそもそも体に問題がある場合があるから参考にならない。
肉はよくないようだ。赤肉加工肉。食べるなら鶏。魚はいい。
卵も直接は関係ない。コレステロールの意味が違う。
砂糖も塩も摂りすぎ。
サプリは医者がススめた者以外はわからん。
などなど。
しかしやはり一番大事なのは習慣かねえ。
Posted by ブクログ
エビデンスとは、から説明してくれて、食事や運動といった知識だけではなく、知識を持っていても人間は感情に左右されること、その感情との付き合い方、習慣化するための方法まで書いてあってたいへん満足。「感情は選ぶことができる」という言葉がとても印象的。
そして「おわりに」を読んで、著者さんに対してめちゃくちゃ信頼感が増した。
折に触れて読み返して参考にしたい。
Posted by ブクログ
本書との出会いは、SNSで精神科医の樺澤紫苑さんが紹介していて知りました。書店で実際に手に取ったら、500ページ弱という分厚さにたじろぎ、その場は退散したのですが、書店に行くたびに気になり、とうとう買ってしまいました。
実際に読んでみると大満足な内容でした。これまでに健康に関する本を数冊読んでいましたが、いづれも睡眠や食事などひとつの領域に特化していました。一方、本書はタイトルの「健康になる技術 大全」とあるとおり、研究結果から得られた知識だけでなく、それを実現するためのノウハウが詰まっていました。
特に、WHOの健康の定義である「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態にあることである。」に基づいて、食事、運動、睡眠だけでなく、習慣、ストレス、感情にまで領域を広げて、健康との関連性からコントロールの仕方まで身につけることができます。
その中でも「習慣」に関する記述は、健康に関すること以外にも応用できる内容で、普段の仕事において習慣化したいことにも使っていこうと思いました。
Posted by ブクログ
7つの習慣以来のこの分厚さ。
健康に関しての探究心と熱量が素晴らしいと思います。私にとっては最後の章が印象的でした。
総じて思ったことは、人間は感情の生き物であり健康意識のある人はベースが健康的な行動をとる傾向にあるし、逆に意識が低い人は少し健康にいいことをしただけで、その行動には魔法がかかっているかのような捉え方をしている気がします。すっごく私は今いいことをしたぞと。だから、このあとちょっとくらいはいいよねと。客観的に考えると面白くて、ゾッとしますね。
私も健康と幸せは深くつながっている気がします。例え、不健康な生活を送ろうが、その人がそれで幸せならそれは健康なのかも。だから将来どのような状態になっていたいか?どのような状態が自分にとって幸せなのか?日々健康と幸せのバランスを考えて、将来の自分のための投資と貯金だと思って生活していこうと決めました。
読み応えバッチリの本です。
Posted by ブクログ
単なるハウツー本ではなく、いかに続けるかモチベーション持続というキーワードに惹かれ、多くのことが得られると期待して手に取りました。
結果は、想定よりも多くのことが得られて読んでよかったと感じました。最近、○○大全というタイトルが流行っていますがその中でも良書だと思います。
著者がパブリックヘルスの専門ということもあってか、「習慣」と「食事」は出色の出来だと感じました。
◇印象的だった部分
・「現状維持・現在志向バイアス」に起因する考え方によって行動が支配されること
・行動は必ずしも自分で決定しているわけではなく、周囲の環境によって決定されることも多いこと
・習慣するためには、必ず実施する行動とセットにするなど具体的な設定が肝になること
・今の世の中には、食品Aと病気Cの間に直接的なエビデンスはないにも関わらず、栄養素Bをとれば万事OKという間違った考えが蔓延っていること
・ストレスを感じると、何らかのゴールを持っていてもそれを無視し、いつもの習慣的パターンをとりやすくなること
食事について現時点でもわかっていないことが多く、その記載があるだけでも真摯な本だと感じました。
健康に興味があるものの、これまで行動を変えれず自己嫌悪に陥った経験がある人には気づきがある一冊になっています。また、100年寿命と言われる若い人にも手に取って欲しい内容です。
Posted by ブクログ
健康になるためには、知識があるだけでは足りないことを以前から感じていた。
この本では圧倒的な量のエビデンスをもとにした、健康になるための具体的な行動方法が記されていた。すぐに取り組めるような方法も多くある。
また、世の中に氾濫する適切でない健康法を見抜く力も身につけられる本である。
この本で得た知識を活用し、健康の悩みを抱える人たちに、看護師として生活習慣改善の助言ができたら良いと思う。
Posted by ブクログ
習慣が大事だということ。
ストレスもeustressという前向きなストレスがあるのでそれを楽しみ、乗り越えると良い。ディストレスについても処理するのが大事。
睡眠は大事。
ストレスの種類別の4分類の職業分類があるのでそれも大事。
Posted by ブクログ
まさにタイトルの通りの内容だった。
メディアで取り上げられる時のような断定的な表現は少なく、最新の研究データに基づく確かな情報を正確に書いたんだな、ということがよく感じられる丁寧な文章だった。
章構成も第一章が「エビデンス」で、とにかくエビデンスを重視していることが読み取れた。
続いて「行動」→「習慣」→「食事」→「運動」→「睡眠」→「ストレス」→「感情」と続く。
「食事」「運動」「睡眠」についての健康本は多いが、「行動」「習慣」「ストレス」「感情」にまで言及している健康本はあまり見ないので、ここが他の本との違いだと思う。
■具体的に取り組むこと
・日々の情報のインプットではエビデンスの強弱まで参照する
・人の行動は「環境」の影響を受けやすい。行動変容の障壁を意識する。(現状維持バイアス、現在思考バイアス、バンドワゴン効果、ピーナッツ効果、リアクタンス、メンタルショートカット)
・行動は習慣にする(①決意→②行動→③反復→④習慣化、②のハードルが高い、スモールステップでOK、歯磨きなど日々の習慣に紐付けることで習慣化の成功率が上がる)
・食事はより多くの種類を満遍なく食べる
・砂糖、塩は減らす
・座りっぱなしはたばこと同じくらい健康に悪い。スマートウォッチのアラートに従って起立、ストレッチを行う。
・睡眠に入るためのルーティンを作る(食事→休憩→風呂→ストレッチ→読書→睡眠)
・日頃から寝室で寝る以外の行動をしない
・感情的になっている時は理性的な行動が取れないことを意識する
・感情的になったな、と気づいたときは6回深く深呼吸する
Posted by ブクログ
参考になったこと。
・野菜だけで385g、果物だけで400gくらいまでは、約80g食べることに、5~6%ほど死亡率が低くなる。
・果物の摂取量が多い人ほど脳卒中や循環器等の病気の死亡率が低い。
・豆の摂取が多い人ほど、循環器等による死亡率が低い。
Posted by ブクログ
500頁近い大著なのだが比較的読みやすく、さらに大事な箇所はマーカーがあり、各章末ごとに「まとめ」があるので先に「まとめ」を頭に入れてから気になる項目について本文を読んでもよいかもしれない。
特に食事についてなど何を食べ、何を控えるとか最終判断は自分なのだと感じる点もある。
1.エビデンス
●エビデンス(科学的根拠)には強弱がある。
●「エビデンス」と呼ばれるためには、複数の専門家が、客観的に質を判定する過程(査読)を経た上で、信頼のおける学術誌に掲載されている必要がある。
●エビデンスは日々の研究の積み重ねとして蓄積されていく。分野によって、どの程度のエビデンスが最新なのかは異なる。
●専門家・有識者の意見、専門家会議の報告書・動物実験・試験管の実験は、エビデンスとしての質は低い・または論外。データや研究は出典に注意する。
●エビデンスと呼ぶには、科学的なプロセスや決められたやり方にのっとっている必要がある (信頼のおける学術誌で発表しているかどうかは最低限確認したい)。
●健康寿命という、人が日常的な生活を、健康で自立した状態で送れる期間を示す指標がある。日本人は、男性で一生のうち平均約9年、女性で約12年は、医療や介護などを日常的に受けながら過ごすことがわかっている。
●日本人の半数が、がん・心疾患・脳血管疾患のいずれかの三大死因で亡くなっている。
●パブリックヘルスでは、病気の原因をさかのぼって、上流にある健康を害するリスク(危険因子)に着目する。
2.行動
●健康的な行動がとれないのは個人の責任ではない。社会経済的な環境が健康に与える影響は大きい。一見、自分で選択していると感じる生活習慣も、職業や住んでいる場所、友だち、 メディアが、直接的にそして間接的に影響を与えている。
●職業や収入、教育年数を含む社会経済的な状況は、健康的な習慣をとれるかどうかにも影響を与える。
●健康習慣を変えることが難しいのは、変えにくい人間の特性があるためである。例えば、人は基本的に現状(デフォルト)を変えることを好まない(現状維持バイアス)、遠い先の未来の良いことよりも、今すぐの喜びに圧倒される(現在志向バイアス)、などが挙げられる。
●健康習慣を変えたい時に、知らないうちに自分の行動に影響を与えている考え方の癖に気づくことが大切。自分が選択する行動の正当化(認知不協和)、周りがやっているから大丈夫と思う(バンドワゴン効果)、目の前の行動があまりにも些細なことに感じられて行動効果を結びつけられない(ピーナッツ効果)、強制されたり押しつけられると逆のことをしたくなる(リアクタンス)、感情や直感的な判断により物事を決めたり、行動したりすること(直感的な判断・メンタル ショートカット)がある。
3.習慣
●習慣にすることは実は一番楽なことである。なぜなら一度習慣になれば、その行動を考えなくても「自動的に」行えるようになるためである。
●習慣に関しては、①そもそも習慣を変えるには時間がかかる、②一人ひとりの習慣化までの道のりのばらつきが大きい、③習慣を変えたいと意気込んでも、習慣が根づくまできちんと遂行できるのは半分程度、④最初が肝心、⑤身につける過程で所々失敗しても大丈夫、ということがポイントである。
●習慣とは、ただその行動だけで成り立っているのではなく、何らかの状況、つまり行動が行われる環境に合わせる形で、何度も行われることで形成される。したがって、習慣を作るための鍵は、「繰り返し」と「状況」である。
●習慣化のために重要な4つのステージとは、①決意(その行動をするという明確な意図を形成する)、②行動(決意を実行に移す)、③行動の繰り返し (日々同じ行動を繰り返す)、④習慣の形成 (行動が自動的に繰り返されるようになる)である。
●何らかの決意をすることはとても重要だが、人間はやろうとする意志の力があっても、周りの環境や感情に影響を受けてしまうことがある。そのような人間の限界や性質を認めた上で、習慣づくりを進めていくことが重要である。
●具体的には、今の生活環境の中に、新しく習慣づけしたいことを組み込む。その際、何らかの日々のやらないことがない安定した行動にくっつける。そして、行動の実行率を高めるような、アクションへのキュー出しを仕掛けておくこと。特に、最初の行動のハードルを低くし、その行動がスムーズに続くような流れを作ることが大切。
●習慣づくりのコツは、同じような状況(場所・時間)で繰り返しの行動を行うことである。1つの習慣に対して、1つの身につけたい習慣をくっつけることが重要である。
●やめたい習慣は、できるだけその習慣が起きやすい状況を丸ごと避ける。状況が変わっているのに、自動的に普段の行動をとってしまい、意図しない行動をとることを「アクションスリップ」という。アクションスリップが起こる状況をできるだけ作り出さないようにする。
●やめたい習慣がある時に、目標設定が効かないことはよくあることと理解する。特に、強く根づいている習慣は、目標設定を通じて実行意図を発揮しようとしても、その力が効きにくい。悪習慣を作り出す状況や合図に気づくことが大切。
●悪習慣は、普段の生活の中に組み込まれている。したがって、よほど意識しない限り、悪習慣のスイッチが何かはわからない。一方で、誘惑は、もととなる「刺激」が明確に存在する。この違いに気づき、自分のやめたい行動はどちらなのかを判断することが大事。習慣の場合は、場所を含めた状況の設定を変える。 誘惑の場合は、行動を刺激するものを生活から排除することが重要。
●新しいことを始める方がやめるより簡単。何かをやめたい時は、「~しない」ことを考えるのではなく、「~する」に置き換える。
●新しい習慣を身につけるには、環境が変わる機会を有効に使う。 就職・入学(卒業)・進級進学・引越し・結婚(離婚)、子どもの誕生、異動、昇進などの人生のイベントや、ちょっとした変化を味方につける。その際、良い習慣が絶たれてしまうことのないようにする。
●習慣化のコツとしては、①内容をとことん具体的にして、自分の満足感をインセンティブ(報酬)にする、②インセンティブを与えるのであれば、ある一定期間の成功を以て報酬とする(例:習慣づけしたい行動を3ヶ月続けられたら、ご褒美を与える)。
●健康的な行動がとれない根本の原因を探すことも重要。睡眠不足やストレスは、決断力や意志の力を鈍らせ、習慣づくりに重要なセルフコントロール(自制心)に影響を与える。心に余裕がない時は、習慣づくりがしにくい。時間的に余裕がある時に習慣化を始めることが重要。
●習慣づくりをやりやすくする方法として、行動計画を作ることも推奨されている。「~の時は、XXXしておく」と、自分がとりたい理想の行動を計画しておく。1つは、「If-thenルール」といって、「もし~だったら、XXXする」ということを決めておくこと。もう1つは、「コーピングプラン(難しい局面を乗り切るための計画)」といって、自分の習慣づくりに邪魔が入ってしまいそうな時に、どのように対応するかを決めておくことである。
●リマインダーや、記録をつけること(セルフモニタリング)、健康的な生活をしている人のつながりを味方にすることも有用である。
4.食事
●昔は、日本や欧米でも飢餓などの食べられないことが原因で死ぬことが食における大きな問題だったが、現在、先進国では食べられないことで死ぬ人たちは減りつつあり、その代わり食べることが問題となることが増えている。実際、世界の死因の中で、食べ物が原因で亡くなる人は、たばこについで2番目に多いと推定されている。
●食事に関する行動を変えるのは、パブリックヘルス学的にも難しいことがわかっている。
●食事の考え方として、①何か1つ食べれば病気にならないという考え方から脱却をすること、②1つの病気を予防する考え方から、健康でいるための発想へ:食事に関して何を目指すのかを改めて確認すること、③食事の話でありがちな飛躍に気をつけることが重要である。
★穀物
●全粒穀物の摂取は色々な疾患と関連しており、疾患の予防・健康に良さそう。ただし、ここでいう全粒穀物は、主に麦に関する研究のことであって、穀物といっても様々であることに要注意。玄米を含む全粒穀物の摂取と死亡率や病気の発生率との関係を調査した日本人を対象とした大規模な研究はまだない。 一方で、精製された穀物が死亡率や疾患のリスクを上げそうだという研究結果もまた限られている。
●白米に関しては、より多く食べる人ほど、糖尿病のリスクが高い傾向がある。これはアジア人においてもいえる。一方、白米と糖尿病以外の他の疾患のリスクとの関連は認められていない。また、白米を食べている人ほど死亡率が低いことを示す報告もある。
●細かい成分に着目した考察・研究によると、玄米や白米、他の穀物にもメリットとデメリットがある。
★野菜と果物
●食と健康を考える時には、栄養素・食品という個々の要素に着目した還元論にとらわれず、食べ方(調理法や食事の環境)を常に考えることが大事。
●野菜や果物の摂取の量を増やすことが難しい理由の1つには、その人の生活習慣に影響を与える「社会経済的な状況や環境」の要素が大きい。
●どのように野菜摂取を増やしたら良いかのエビデンスはまだ限られている。色とりどりの野菜を並べること、また、盛りつけや料理、容器などを工夫することで、野菜摂取を無理なく増やせる可能性がある。子どもの野菜摂取を増やすには、野菜を自分で育ててみたり、野菜について学ぶ経験をすると良い可能性がある。
★オーガニック食品
●研究上の限界から、人を対象にした長期にわたる質の高いエビデンスはまだ不十分。
●オーガニック食品を考える際には、①残留農薬など自然界にはない物質が食品中に残存しているかどうか、また、あるとすれば健康への影響、②農薬や抗生物質、遺伝子組み換え技術などを制限することによるバクテリアなどの発生とその健康への影響、③オーガニック食品が栄養学的にプラスかどうかが重要と考えられる。しかし、現在の研究ではこの3つに関して、長期的な視点での人の健康に対する影響や効果は、まだはっきりとはわかっていない。
●オーガニック食品に関しては、健康の観点だけではなく、自然環境や生産者への配慮も考慮に値しうる。値段や手に入りやすさに応じて自分の生活における優先順位で決めたり、残留農薬が残りやすい食品についてはオーガニックにしたり、部分的にオーガニックを取り入れたりして、自分の価値観やライフスタイルに合わせたりするのも1つの方法である。
●「オーガニック」という言葉に人は影響を受けやすいようで、「オーガニック」という言葉が入っていると、感じる味や食べる量、食べ物自体の価値に影響を与えやすい。「オーガニック」という言葉が与える効果に注意する。
★肉
●還元論的な考察、肉を多く食べる食生活に関する研究から、赤肉と加工肉の摂取が多くの疾患のリスクを上げることが認められつつある。
●肉の摂取だけに気をつけるのではなくそれに伴う食生活全体を意識することが重要。赤肉や加工肉を減らしつつ、たんぱく質の摂取を意識したい場合には、動物性たんぱく質なら鶏肉・魚・卵、植物性のものでは、豆類、穀物、ナッツ類などを考えたい。
●肉の摂取を減らしたり、代替品を食べるには、肉に関する知識を持ったり、肉の新しいイメージを持ったり、代替品をデフォルトにするなどがあるが、エビデンスはまだ強くない。
●肉に添えてあるレタス、パセリなどの緑の野菜は、人にその食事のエネルギー量(いわゆる「カロリー」)を低く見積もらせる効果がある。
●卵に関しては、卵を摂取することで疾患を患うリスクが上がるかもしれないという研究結果があるが、アジア人、日本人についてははっきりしていない。どのような食べ方をするか、何と一緒に食べるかも工夫することが重要。
★乳製品
●乳製品をとっているからといって骨が強くなるとは限らない。病気の予防の観点で見ると、摂取している人ほどリスクが高くなる疾患、低くなる疾患が出てくる。牛乳や乳製品と健康の関係は、カルシウムだけでは説明できないことが多いことに留意する。
●カルシウムの摂取を意識するなら、乳製品以外の食材もたくさんある。干し海老、煮干し、畳鰯、しらす、干物などの魚類、海苔やひじきやワカメ、昆布、青のりなどの海藻類、小松菜や大根やかぶの葉、つまみ菜、バジル、パセリなど緑の葉っぱの野菜、豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆食品・豆類もカルシウムが豊富。
★あぶら
●脂肪酸は、大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。飽和脂肪酸の摂取量が多い人は、他のもので代替することを考えてみることが大事。一般的に不飽和脂肪酸(魚や植物由来の油)の方が体に良いと考えられている。
●バターや肉類の摂取によって、飽和脂肪酸の摂取が高めの食生活を送っている場合は、何かの別の食材で代替していきたい。
●ココナッツオイルなどは、メディアの影響で注目されたが、今の時点では、わからないことも多い。健康にマイナスに働く可能性が指摘されている。
●工業的なトランス脂肪酸ともいわれる、不飽和脂肪酸から人工的なプロセスを経て作られたあぶらに要注意。トランス脂肪酸を含んだ加工食品は、安価で長期間の保存が可能なため使いやすく、食感が良くなる。日本では、特に政府主導での規制は行われておらず、食品会社による自主的な規制の推進にとどまっているため、気をつける必要がある。具体的には、マーガリン・ショートニング・ファットスプレッド(マーガリンの一種で油脂の割合がマーガリンよりも少ないもの)・クッキー、パイ、ケーキなどのビスケット類・スナック菓子・洋菓子、揚げ物などに比較的多く含まれている。
●あぶらは、家で料理をする人以外、どのくらい何が使われているのかわかりにくい。デフォルトとしてトランス脂肪酸の少ない植物油を考えたい。
★砂糖
●WHO(世界保健機関)では、砂糖などの糖類の摂取に関する新しい指針を発表した。具体的には、砂糖などの糖類を1日に摂取するエネルギー(単位:カロリー)の5%未満に抑えるべきとして、平均的な大人について約大さじ2杯分の糖類 (25g程度)を上限とすることを推奨している。
●人工的に食品に添加
●糖類、人工甘味料を添加することを最小限にし、野菜や果物、穀物といった食品群に重きを置いて、これらに含まれる糖分に頼ることが重要。
●糖分のとりすぎには、食品表示に注意を払うこと。日本の食品表示は、材料の重量が多い順に書いてあるので、上位に来ているものに糖類があれば注意。また、砂糖やシロップが添加されていることが多いため低脂肪や低カロリーをうたっている、一見健康そうに見える食料品、きんぴらごぼうなどのお惣菜、煮物、梅干しなどにも注意する。
●少しずつ砂糖を減らせば、人は砂糖が減らされてもある程度までであれば、許容できることが報告されている。
●人工的に食品に添加された砂糖などの糖類は、そもそも穀物や野菜から炭水化物をとっていれば必要ない。過剰摂取によって肥満や糖尿病、虫歯の原因になり、さらに重篤な疾患(心臓の病気など)を引き起こすと考えられている。
●ステビアなどの人工甘味料に関しては、今の時点でエビデンスがはっきりしていない。
●糖類、人工甘味料を添加することを最小限にし、野菜や果物、穀物といった食品群に重きを置いて、これらに含まれる糖分に頼ることが重要。
●糖分のとりすぎには、食品表示に注意を払うこと。日本の食品表示は、材料の重量が多い順に書いてあるので、上位に来ているものに糖類があれば注意。また、砂糖やシロップが添加されていることが多いため低脂肪や低カロリーをうたっている、一見健康そうに見える食料品、きんぴらごぼうなどのお惣菜、煮物、梅干しなどにも注意する。
●少しずつ砂糖を減らせば、人は砂糖が減らされてもある程度までであれば、許容できることが報告されている。
●入手可能な状態をできるだけ制限すること、そして、一度に食べるサイズと量を小さくすることも重要。
★アルコール
●アルコールの摂取による病気の予防効果は限られる。お酒が飲めない人や、今飲んでいない人は、無理に飲む必要はない。
●飲むお酒の種類で健康への影響が変わるというエビデンスは弱い。
●お酒の良し悪しの判断には「何を食べるか」に関して注意が必要。「適量」を守るにしても、不健康と考えられそうな食品の摂取に気をつける。
●知らずしらずのうちに飲酒量を左右するものとして、アルコールの広告が挙げられる。飲酒量や、飲み始める時期に影響を与えることが示唆されていることから、アルコール習慣に関しては、自分の意志の力だけではどうにもならないところからの影響があることに留意する。
●アルコールの量を減らすには、背の高い細めのグラスを選ぶと良い。
★サプリメント
●サプリメントの常用に関するエビデンスは乏しく、健康のためにと思っているものが仇になる可能性もある。①薬とは違って安全性や有効性が厳格に確認されないまま市場に出回っている可能性、②栄養素だけ補おうとしてもそれが結果的に病気の予防や健康の増進につなが らない可能性、さらには別の病気のリスクを生み出す可能性があることに留意する。
●サプリメントの代わりに、食事で補うことができないか考えてみると良い
●サプリメントの常用に関するエビデンスは乏しく、健康のためにと思っているものが仇にな る可能性もある。①薬とは違って安全性や有効性が厳格に確認されないまま市場に出回って いる可能性、 ②栄養素だけ補おうとしてもそれが結果的に病気の予防や健康の増進につながらない可能性、さらには別の病気のリスクを生み出す可能性があることに留意する。
●サプリメントの代わりに、食事で補うことができないか考えてみると良い。健康に不安がある場合や、サプリメントの摂取が必要かもしれないと感じる場合は、まず医師や管理栄養士に相談する。サプリメントが必要な人(例・妊娠前や妊娠初期の女性など)は基本的に限られ、必要か否かは医師や管理栄養士に検査や食事指導をしてもらうのが適切。
★塩
●塩分のとりすぎは、日本人の死亡率を上げる要因のランキングで第6位、食品の中では第1位に位置づけられている。
●日本では、男性7.5g未満、女性6.5g未満が推奨されているが、平均で男性は11.0g、女性は9.3g摂取している。WHOでは、さらに厳しく、1日5gを推奨している。
●予防のためにできることとして、まず、今、自分がどのくらい塩をとっているのかを知ることが重要。塩分摂取で特に注意が必要なのは、加工食品。普段、味噌汁や醤油は、明らかに塩分が多そうなので気をつけていても、パンや麺自体にはそんなに塩味を感じないために注意が必要。先進国では、過剰な塩の摂取の70~80%以上が、料理の時に自分で入れる塩ではなく、サンドイッチやピザ、スープなどのような加工された食品からだといわれている。
●減塩については少しずつ減らしていくことを日常で心がける。穴の数を減らしたソルトシェーカーのような容器や、だしなどをとることで調理の工夫をするなどして無理なく減らしてみることを心がける。
5.運動
●運動だけが体を動かすことではない。健康のためにやらなければいけないことは「運動」ではなくて、「体を動かすこと」である。
●運動不足は「死ぬ」原因にもなりうる。体を動かすのはたとえ少しだとしても、全く動かさないよりは、死亡リスクが下がる。体を動かす量がとても多い人は、運動のしすぎにも注意する。
●運動していても、座りっぱなしだと死亡リスクが高まる。座っている時間が長いと、様々な病気のリスクや、死亡の危険性を増やす。体をよく動かしている人で、座っている時間も短いのが一番良い。
●有酸素運動、筋力増強運動、柔軟運動、バランス運動の4タイプの運動を組み合わせると良い。
●体を動かすための習慣づくりでは、①楽しい・嬉しい・面白いを味わう、②目標を持って記録する、③スポーツのコミュニティに所属する、④どんなに忙しくてもルーティーンは、やめないことが重要である。
6.睡眠
●睡眠は、体の健康や、脳と感情の健康的な状態を保つため、また起きている間の生産性と深く結びついているため、重要である。
●睡眠は、環境的な要素(寝室の環境、家の周りの環境、仕事環境など)・社会的な要素(家族や婚姻の状況、パートナーとの関係、仕事と家庭のバランスなど)・個人の要素(年齢的な要素・ストレスレベル、 食事などの行動的な要素など)が関わり合っている。
●略
●個人レベルでできることとしては、①起きる時間を一定にする、②口に入れるものに気を配る、③心地よく眠れるための体を動かす習慣を作る、④心を落ち着ける「儀式」をするなどがある。
●ビジネスパーソンの出張による健康リスクも近年注目されている。普段の生活+出張での特別習慣プランで対応する。具体的には、食事であれば、野菜や果物など減ってしまいがちなものを意識して食べるようにする。運動に関しては、運動の条件付けとなる「グッズ」をスーツケースに詰め込んで、出張中の特別な環境に備える。時差ぼけの予防は、睡眠と休息を適切な時間とタイミングで取ることが重要。
●社会的時差ぼけという、旅行が理由ではない時差ぼけにも要注意。これは、普通に生活をしていても、タイムゾーンを超えるくらいの睡眠パターンが生じるために、それによって起こる時差ぼけのような状態のことを指す。健康や、健康習慣にも影響を与える可能性が報告されているので、当てはまる人は注意が必要。
7.ストレス
●ストレスが、健康的な習慣の邪魔をし、不健康な習慣を助長する大きな要因になる。
●すべてのストレスが悪いわけではない。短期間に起こり、何か障害を乗り越えたりするために力を発揮するストレスのことを、ポジティブなストレスという意味の「ユーストレス(eustress)」と呼ぶ
●ストレスを感じると、何らかの行動のゴールを持っていても、それを無視し、いつもの(昔 の) 習慣的なパターンをとりやすくなる
●仕事(職業)のタイプごとに、陥りやすい不健康な行動や病気のタイプを区分した有名なモデルがある。仕事の裁量権と要求度に基づいて、一般的な職業を「能動的な仕事」「負荷が大きい仕事」「負荷が小さい仕事」「受け身な仕事」の4つのタイプに分ける。
●家庭でのストレスに関しては、男女のストレスの感じ方の違いを理解することが重要である。特に、家庭での女性の負担感をなくすことが重要。
●仕事を変えることが難しければ、仕事のやり方を変えられないか検討する。
●自分なりのリラクゼーションや、体を動かすことなど、ストレスに対応するための方法を 持っておく。
●人とのつながりはストレスの軽減に役に立つことが多いので、つながりの力を活用する。
8.感情
●感情は、①何かするための「きっかけをつくる」 意思決定に直接影響を与える点、そして、②習慣を「維持する」ための意思決定に影響を与える点で、健康にとって重要である。
●「プライド(誇り)」の感情を持つことで、1つには面倒な仕事に対しての我慢強さが増す。「誇り」は、定期的な運動、食事、性生活などの分野で、健康的な生活を送るために鍵とな る感情の1つ。また、自分自身に「誇り」を持つことで、人と違う行動をとることを恐れなくなり、より自分のことを優先的に考えるようになる可能性がある。
●「感謝」の気持ちは、ポジティブな感情を引き起こすだけではなく、困難を乗り越える力を与えたり、良い人間関係を築けるようにもなることが報告されている。また、感謝の気持ちを持つことで、人への信頼感も増す。
●お礼状を書いた人たちは、書いた直後から、幸せな気持ちを表すスコアが上昇し、うつの症状を表すスコアが減る。
●「怒り」は、健康の選択において、人を信頼しにくくなることと、リスクを軽視してしまうことで、健康に大きな影響がある。
●「悲しみ」の感情は、擬似的なものも含め、自分の存在をちっぽけに感じ、自分がコントロールできることは小さいと感じさせる。そして、「何かを失ったこと(ロス)」の状況を変えるために、甘いご褒美のような利益を求めて行動を起こす傾向がある。
●「幸せ」の感情は、気が大きくなってしまって、怒りと同様リスクを過小評価する傾向がある。
●「恥(shame)」の感情を持つと、他の人に対して自分の面目や名誉を失ったという気持ちになることから、自分のことを中心に考えるようになる。
●「罪悪感(guilt)」は、自分が行ったことに罪の意識を持たせるため、人の意見をより取り入れやすくさせる。
●呼吸と姿勢を整えて選びたい感情を作り出す環境を作る。
●行動科学の分野でも感情が健康に与える重要性は近年言われており、感情と仲良くすることは健康になる、また健康習慣を身につける上で重要である。
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非常に興味深い本である。
論文などを書いたことのある人には非常に納得がいく内容である。エビデンスベーストからのインプリケーションは、たった1つと言う事はありえない。
アクションキューと言うワードは初めて聞いたが、非常に納得感と発見があったから今後に生かしていきたい。
特に興味深かったのは第2章、健康的な行動ができなくてもあなたがダメなわけじゃない。それと第3章、できるだけ苦労せずに良い習慣を身に付ける技術。そして第7章、ストレスに負けずに心を休める方法。第8章、感情が健康を作る。
特に後半はエビデンスベースの無味乾燥なものから1歩踏み込んで、行動経済学などを持ち出し、人間が合理的判断のみで生きのではなく、感情により行動してしまう側面もある生き物であることに言及し、無味乾燥なエビデンスベーストからヒューマンセントリックな感情ベースでの健康的な生き方について語っていて、とても良い構成だと感じた。高齢の母に送ろうと思う本である。
Posted by ブクログ
年齢を重ねるにつれて、健康であることの重要性を実感しています。
関連する書籍をこれまでも読んできたのですが、新しい知見が見出され、古い知見が否定されることもあるので、話題になった新作は読むようにしています。
この本は、題名に「大全」という文字が入っていることから、健康に関して網羅的に書かれているだろうと期待して、読んでみることにしました。
本書は全8章で、構成されています。
第1章は、エビデンスについて。
冒頭に「エビデンスのピラミッド」の図が掲載されています。
健康についての情報は玉石混交だなあと思っていたのですが、この図を思い出して、信用するかどうかを決めていきたいと思います。
第2章は行動、第3章は習慣について。
生活している環境の影響については、これまで読んだ本でも紹介されていましたが、本書で紹介されている鉄道駅密度と1日平均歩数のグラフを見て、「馬鹿にできないレベルだな」と再認識しました。
また、やめたいと思っていることをなかなか断ち切れないでいるので、本書に書かれている進め方を、試してみたいと思います。
第4章は食事について。
何を食べたら健康に良いのか、悪いのかというのを統計的に示すのは難しいのだと理解しました。
その中で、赤肉と加工肉、そして糖類、アルコールなどが、「摂取しない方が良い」、「摂取するとしたら何g以下にすべき」とされていることは、重く受け止めたいと思います。
また、サプリメントについては、これまで読んだ本の中でも否定的に書かれていたので、向き合い方を見直したいと思います。
第5章は運動について。
第6章は睡眠について。
これらについては、専門に書かれた本を何冊か読んできたので、書かれていたことの裏付けを得られたように感じました。
第8章はストレスについて。
第9章は感情について。
本書を読む前は、これらを健康と結びつけて考えていなかったので、新たな視点を持つことができました。
自分自身、「〜は健康に良い」という知識は持っていても、感情(欲望?)に流されて、反対の行動をしてしまうことがあると自覚していました。
誇り、幸せ、恥といった感情が、どのような行動を取らせるかも教えてもらったので、客観的に自分の感情を観察して、行動を選択するようにしたいと思います。
読み終えて、「題名の通り、健康に対して網羅的な視点を与えてくれる本だなあ」という感想を持ちました。
読んだ人には何かしら、自らの行動を変えるきっかけになる部分があると思います。
自分自身、本書を読んでいる途中で、「やってみよう」と始めたものがいくつかありました。
また、本書の中で興味を持った分野について、より詳しく書かれた書籍を読む、という使い方もできるかと思います。
海外で発表されたものが翻訳された、と思って読み始めたのですが、日本人が書いた本なのですね(個人的には嬉しい)。
この本を読んで実践し始めたことが習慣になるように、まずは取り組んでいきたいと思います。
続けられていないな、健康に対する意識が下がっているな、と感じた時は、また本書を読み返したいと思います。
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Posted by ブクログ
健康になるための方法をエビデンスを元にまとめた本。なるほどと納得出来る内容が多く、今後健康的な充実した生活を営むためにも是非身につけておきたい内容だと思う。ただ中々難しいのは、いくら知識があって分かっていても感情によって実行出来なくなること。人間って本当に難しい生物だと思う。
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公衆衛生学の専門家の養生入門。やたらと厚いが巻末のまとめにエビデンスにとあるからしょうがない。一読するとまとまった話を聞いた気になる。やはりトランス脂肪酸は減らした方がいいらしい。くらいかな。
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健康ブームの昨今、これは健康!こっちは不健康!とはっきり断定するものが多いと感じる。
本書はそうではなく、しっかりとしたエビデンスに基づいた生活への取り入れ方を含めた助言という形で進んでいく。
食事や運動が健康に寄与するものは多いと知っていたが、精神的なものーー仕事や家庭環境ーーがここまで健康に影響するとは思わなかった。
先にも述べたように、自身の生活への取り入れ方、心の持ち方にも言及してくれているので、無理のない程度に実践していきたい。
あわせて、これまで信じてきた健康法について、何のエビデンスがないものは、継続すべきか再考するきっかけになった。
Posted by ブクログ
エビデンスの考え方などは理系で研究かじってない人には参考になると思う。
全体的先に断定的な物言いでないのが、単一の影響を優位な差がわかるレベルまで結果が出ているものは多くはないことの表れとして理解できれば世の中の健康メソッドのいかがわしさもよく理解できる。バランス感覚を身につけるのに良い本。
以下メモ
健康に対する悩み
1. そもそも健康法そのものへの迷い
2. どうやったら実践できるか
エビデンスベースで答えていこうという本
死因ではなく、死因リスクを見るとほとんどが、たばこ、食事、運動、アルコール、ストレス
健康の習慣作りは個人の意思では難しいことが多い。
習慣化の鍵は今の生活環境の中でやらないことがない安定した行動にくっつけ、実行率を高めるアクションへのキューを仕掛けることで行動ハードルを下げた上で、同じ状況で繰り返し行うこと。
食事
1. 何か一つ食べれば病気にならないという考え方から脱却
2. 1つの病気予防から健康的に歳を重ねるヘルシーエイジングへ
3. エビデンスの飛躍に注意する(メディアで多いのは、A食品は健康指標Bに良い、Bは病気Cに効く、だからAはCに効果ありというもの。しかしAからCのエビデンスが存在しないものが多いためこれは正しくない
・白米が悪いのは糖尿病に対してのみ、とはいえ世界的に全粒穀物は良いとされており、可能なら玄米の方がベター
・色とりどりの野菜と果物をたくさん食べるのは良い、果物は1日200g推奨、みかん2orりんご1くらいの量
・加工肉はなるべく控える、赤身肉は週500g以内、大腸がんリスクがあり食べ過ぎないようにする
・タンパク源としては、鶏肉、魚、卵、大豆、ナッツなどが良い
・血中コレステロールと食べ物のコレステロールは別物、卵を食べてすぐ血中値が上がるわけではない。
・乳製品さまざまな研究があるが、1日2回牛乳、チーズ、ヨーグルトのいずれかを摂取するのが無難
・脂質の主成分が脂肪酸、飽和脂肪酸(動物性、油)はとらなすぎと取りすぎも良くない、不飽和脂肪酸(ナッツ、オリーブオイル)
はたくさんとったほうが良い
・ココナッツオイルはよくはない、トランス脂肪酸(ショートニング、マーガリン、揚げ物、クッキーなどのお菓子)は避ける
・砂糖やシロップは栄養素を出さないのにエネルギー摂取量を増やす空のカロリーで不要。隠れ砂糖に注意、人工甘味料は不確かなので避けた方が良い
・お酒は適量は良いとされるが何に対してかによって違うし無理に飲む必要なはない
・サプリメントはエビデンスがない、妊婦の葉酸のように医師から勧められる場合を除いて取らない
・塩分のとりすぎは注意、元々10g以下から女性6.5、男性7.5以下に下がっている。加工品、コンビニの惣菜に注意、毎年10〜20%ずつ減らしてと気づかない
運動
・運動しないと死ぬ、消費カロリーが大きく増えるわけではない
睡眠
ストレス
・男女で感じ方が異なり、女性の場合社会的に責任ある立場ほどストレスが上がり健康を害する
・仕事の柔軟性、裁量が高い方がストレスは低い
感情
・良い効果、プライド(誇り): 我慢強さが増す、感謝、幸せ
・悪い効果、怒り(人を信頼しにくくなり、リスクを軽視)、悲しみ(即物的に快適な何かを欲する)
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エビデンスのレベルを示しながら非常に正確さに気を遣いながら健康情報を記載している本である。科学的に正確なのだろうけれど、「野菜を食べれば人生が変わる!」「運動をすれば脳が変わる!」くらいのインパクトをうけるような文体ではなかった。研究者らしい本。
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日本人の半数は、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎で死んでいる。老衰も第三位。これらにならなければ老衰で死ぬ確率が高い。
できることは限られている。職業が与える影響、近くにスーパーがあれば健康なものを食べられる。
現状維持バイアス、現在思考バイアス、からどうやって逃れるか。
自己正当化、バンドワゴン効果、ピーナッツ効果、アマノジャク、直観的な判断、などに惑わされない。
心に余裕がないと習慣作りはできない。
戦略を練る=起こりうる場面を想定して備える。
モデリング効果=健康な人をお手本にする。
玄米を圧力鍋で炊く。
野菜や果物を摂取している人ほど死亡率が低い。
じゃがいもは野菜ではなく炭水化物。
オーガニックが体にいいというエビデンスはない。
赤肉(哺乳類の肉)は週350g以内、加工肉はほんの少し。鶏肉は白い肉。
動物性たんぱく質は、魚、鶏肉、卵を考える。
ミートレスデイ=肉を食べない日を週に一回作る。
一日2回牛乳チーズヨーグルトを食べる。
ココナッツオイルは飽和脂肪酸。盲信は危険。
マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、は避ける。
油は、菜種油、ごま油、オリーブオイル。
目につくところには野菜を置く。クッキーは棚の上に。
WHOの指針では、糖類は単糖類と二糖類、糖アルコール。空のカロリー。栄養素はない。一日25gまで。
お酒を飲まない人のほうが死亡率が高くなるのは、もともと理由があって飲めないという可能性もある。
ワインのポリフェノールはエビデンスがあるわけではない。
高尿酸血症は、ビールでも日本酒でも変わらない。ビールのプリン体が直接悪いわけではない。摂取量のほうが大事。
アルコール会社、たばこ、ギャンブル、武器などはシンストック=罪作りな株と呼ばれている。
グラスの量を小さくすることで飲む陵を減らせる。背の高い細いグラスなど。
塩分は、男性で7.5g、WHOでは一日5g。
カップラーメン、がダントツ。コンビニのおにぎりはナトリウムが500㎎=塩分が1.5gに相当する。
味噌汁一杯1.2g。薄めて飲む。
弁当箱に仕切りがあると、小さなおかずを入れやすい。
白米と玄米双方にメリットとデメリットがある。
狩猟民族でも一日の消費カロリーは変わらない。
運動しないと死ぬ原因になる。
座っている時間が長いと運動していても死亡率は高い。
身体をよく動かして、座っている時間が短い人。
掃除、炊事、洗濯は一石二鳥。
運動を記録する。
忙しくても体を動かす時間を優先する。言い訳はいくらでも思いつく。
睡眠不足が続くとマイクロスリーブが起きる。
アルコールは喉の筋肉を和らげで脳の働きを鈍くするためいびきをかきやすい。
「比べると絶望する」アメリカのことわざ。人と比べることを止める。
感情が意思決定に直接を影響を与える。
健康になるには、プライドを持つ。自分を大切にする感情を持つ。
自分で変えられるもののひとつが感情。幸せを選ぶ。
呼吸と姿勢を整える。深くゆっくりした呼吸。イライラしたらゆっくりした呼吸をする。
ありがたい、と思ったことを書くと楽観的になり前向きになれる。
お礼状を書く。実際に出さなくても効果がある。
怒りがあると行動のリスクとベネフィットを見誤る。
Posted by ブクログ
Twitterで見かけて、その引用文献の数が話題になっていたので、読みました。食事、運動、睡眠、感情とそれぞれの領域で現時点での確からしい情報が示されていて、読みやすいです。科学的にはほぼなにもわかってない(実験的には示すことが困難)ということが改めて真摯に書かれており、そんな中でも健康に効きそうなことが端的に示されています。結局、簡単に健康になる単一的な方法がある(本書曰く還元主義)わけではなく、よく寝てよく動きよく食べる、「健康的」な生活をすることでしかないということがわかりました。個人的には、感情や感謝といった精神面での豊かさをより充実させていきたいと思いました。一点、食事と比べて他の分野についてはやや甘めの書かれ方をされているように感じました。