【感想・ネタバレ】M8のレビュー

あらすじ

28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ……。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本著は、阪神淡路大震災後、東日本大震災前に書かれたものである。地震予知の技術的及び心理的な難しさというのがよくわかる。我々は地震の恐怖について、どこまで実感しているのか。私の住む北海道でも大震災があり、電気が数日に渡りストップしたものの、自分の身の回りは電気が復活したとたんに通常を取り戻した。どこかに「あのクラスの地震があっても、生活にはそんなに大きな支障はなかった。」という油断の気持ちがないだろうか。油断自体を悪と言っているわけではないが、結局油断によって身を亡ぼすのは自分たちなのだ。生き残るために、常に備えを万全にしておかなければならないことを感じた。
物語としては、地震の中でもそれぞれのポジションで役割を必死で果たそうとする人々を見事に描いており、楽しく読めた。結局みんないい人になってしまったので、もっと悪役がいてもいいかな、とは思ったが、全体的には面白かった。

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2018年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

所々で人間のやるせなさを感じた。
まず1つは地震が起こる前、地震シミュレーションに対して全く見向きもしなかったところだ。阪神淡路大震災が起こる前に失敗して以来、シミュレーションに対する信頼が無くなったのか、1ヶ月以内に地震が起こるという差し迫っている状況でも耳を傾ける人間は少なかった。人間は過去の失敗の怖さから新しい技術に対する不安感を払拭できないのだ、ということを突きつけられ、やるせなさを感じた。
また、実際に予告ができたとしてもあの時こうすれば良かった、というように後悔が残ってしまっており、全体の数字で見て被害を減らすことができたとしても、被災者遺族にとっては何も意味がない。マクロ的に見てよくても、ミクロで見た時にどうしても後悔が残ってしまうということに結局人間は無力なのだということを感じてしまった。
しかしこの本を読んで、地震に対する危機感を思い出すことができた。
非被災者は東日本大震災のことを忘れかけていて、地震に対する危機感が薄くなっていると思うので、防災について考えるきっかけになってよかった。 

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2020年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることを予知してしまったら、、、。いつか起きると認知しながら起きて欲しくない心理で見なかったことにしてる『今』読んでおきたい一冊。

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

瀬戸口誠治、28歳。
10年前、阪神淡路大震災で家族を亡くした経験から、地球物理学を学び、学会では異端視されている地震予知を可能にするシミュレーションプログラムを研究テーマとしている。
12月3日、瀬戸口は静岡の研究施設で観測した群発地震のデータから、約半年後にマグニチュード8(M8)クラスの首都直下型地震が起こると予測するが…


この著者の作品は初読。
林檎飴甘さんのレビューを読んで、手に取った。
あらためて、『いいね!』させていただきました。
いい本に出会えました。感謝。

瀬戸口、亜紀子、松浦の、阪神淡路大震災当時高校生だった3人。
当時50代の働き盛りだった、遠山教授、植村教授、堂島議員。
家族を失い、心身に大きな傷を負いながらも、それ以上に『次の震災』には負けまいと心に刻んだ10年だったのだろう。

阪神淡路大震災、東北震災と原発事故。
そして今現在、熊本の震災に続いての集中豪雨が、またたくさんの人々の運命を断ち切り、また生き残った人たちの心に運命を刻み、変えていっている。
大災害に限らず、事故や病気や…あらゆる悲劇は、いつ起こるかわからない。
いま、何だかんだ生きて動ける幸運な私が、何を言っても…という気持ちもあるけれど。

それでも、いつか来る災いからは誰も逃れられないのなら、受け止める力、再び立ち上がる力、誰かのために差し伸べる力を持ちたいと思う。

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2017年07月12日

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