あらすじ
人は「推し」に夢中になると昼夜を忘れ、やがて「沼」にハマってしまう。その鍵を握るのが「脳内快楽物質」ドーパミンだ。恋愛、セックス、買物、ゲーム、SNS、酒、ギャンブル、薬物……快楽をビジネスにする「ドーパミン経済」の渦中で、現代人が陥る依存の対象は数限りなくある。スタンフォード大学医学部教授で、かつて自身も依存症を経験した第一人者が教える脱出法と、心豊かに生きるための防衛術。
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Posted by ブクログ
【「好き」より「欲しい」】
・世界は物が足りない場所から、強い報酬刺激がありすぎる場所へ変わった。ドーパミンは報酬を得た快楽そのものよりも、報酬を求める動機、つまり「好き」より「欲しい」に深く関わる。動画やSNS、ゲームをもう一度見たい・続けたいという衝動も、この仕組みから捉えられる。
【快楽と苦痛のシーソー】
・快楽と苦痛はシーソーのように働き、快楽側へ傾くと、脳はバランスを戻すために同じだけ苦痛側へ揺り戻す。刺激を繰り返すほど快楽を感じにくくなり、反対に苦痛には敏感になる。楽になるために快楽を求めているのに、長期的には退屈や不快感に耐えにくい状態をつくるという逆説が印象に残った。
【不快感をすぐ消さない】
・人間は快楽の追求と苦痛の回避に熱心になりすぎた。退屈や不安を感じるたびに動画・SNS・ゲームで埋めるのではなく、その不快感をすぐには消さず、少し待ってみたい。高刺激な娯楽を完全に排除するのではなく、自分で距離を調整し、快楽を感じる力を取り戻すことが大切だと思う。
【身体を動かして報酬を得る】
・適度な苦痛に身を置くと、その反動で快楽を感じやすくなる。運動は気分を前向きにするだけでなく、本来なら身体を動かして手に入れていた報酬を取り戻す方法でもある。ゲーム内のキャラクターを走らせたり跳ばせたりするだけでなく、自分の身体を実際に動かすことを意識したい。ただし苦痛も強く求めすぎれば、仕事依存など別の依存になり得る点には注意が必要。
【正直さが親密さをつくる】
・人との親密さもドーパミンを生む報酬になる。高刺激な商品が他者との関係から得られる喜びの代わりになると、孤立や無感覚につながってしまう。自分の弱さや失敗を隠さず、正直に打ち明けることで、相手も心を開ける余地が生まれる。親密さをつくるのは完璧さではなく、互いの不完全さを認め、一緒に間違いを直そうとする意思なのだと思った。
【今後の実践】
・動画・SNS・ゲームを無意識に続けず、退屈や不快感を少し味わう。刺激が欲しくなったら、運動など身体を使う行動へ置き換える。そして人間関係では、良い自分だけを見せようとせず、弱さや失敗も正直に話す。快楽を増やすより、快楽をきちんと感じられる状態を守りたい。
Posted by ブクログ
人間の快楽とはなんなのか。そして資本主義が今後デフォルトだとしたら、身の回りの物とどう付き合っていくかみたいな本でした。
今後の人間社会が個人主義にどんどん寄っていくことを考えるととても万人に勧められる内容だと感じました。
でも読んでいて面白いという感覚は最初はしないかも。
この本に書いてあるDOPDMINは一人では無く精神科医とか、他の誰かが私に訊かないと難しいのではないかなぁ。というのが少し引っ掛かりのポイントです。
Posted by ブクログ
これを読んでいる中で、自分がスマホから離れる時に不安を感じていることに気付かされた。これも依存症であり、日常の小さな幸せに気づけなくなっているのならば治したい。
苦痛と快楽のシーソーのシステムでは、苦痛を受けることで快楽を得ることができるという話が印象的でだった。
Posted by ブクログ
ジェイコブが性の欲望に駆り立てられて色々な装置を発明するのが、単純に「面白いなあ」と滑稽に思ってしまった…が、本人は自身の欲望に振り回されて酷い思いをしているんだよな。
ジェイコブだけでなく、色んな患者さんのケースが描かれていて読み応えがあった。
著者も読書依存症のようだったが、読書にハマってるなんて正直羨ましいと思った(まあ日常生活に支障が出てるなら改善した方がいいのかもしれないけども…)。
動物実験でラットを使っている場面が何度か出てくるが、そこが正直きつかった。
可哀想だと思う…けども、彼らがいてくれているおかげで、薬を飲めたり、手を洗えたり、食器を洗えたり、肌を保湿できたり、他にも知らないだけで色んなことができるようになっているんだよなー…。
改めて、動物たちには感謝せねばならないな…と、ちょっと的のズレたところで考えさせられた。
依存症に関してたくさんの情報が書いてあり、なかなかいい本だなと思った。
でも…海外の著者の本あるある・日本語訳が微妙に読みづらい!
せっかくいい本だったので、もう少し滑らかな文章で読んでみたかった気もする。
⭐️全ての人が最初から水平なシーソーを持っているわけではない。うつや不安や慢性的な痛みを持っている人たちは、苦痛の側に傾いたシーソーから始まる。だから精神疾患がある人たちは他の人たちより依存症になりやすいのかもしれない。
⭐️世界中に膨大に蓄えられているどのビールにも手を出さないなどという絶対無理な課題に取り組むのではなく、たった1本のビールを飲まないことに集中すればいいだけだ。
⭐️患者が自分を語る時に自分を被害者として語ることが多く、起こってしまった悪い結果に対してほとんど責任がないというような話し方をするならば、その人の健康状態はあまりよくないことが多く、その先もうまくいかないことが多い。彼ら/彼女らは人を責めるのに忙しく、自分を回復させることに本腰を入れて取り組むことができない。対象的に、自分の責任を明確にしながら物語を始める場合、症状がよくなっていくことが多い。
⭐️母や祖母ならこうあるべき、と私が思っていたように生きることを母に要求することで、私には母の欠点しか見えなくなっていた。母にはいいところがいっぱいあるのに。
⭐️マーク・エプスタインの言葉
「周囲をなんとかしようとすることをやめると、爽やかな気持ちになってきて、いいバランスが見つかり、自発的に動いている自然界や自分の中にある自然とつながっているという感覚が持てる」
⭐️苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする。