あらすじ
末期ガンの患者たちの闘病と死に立ち合って思った。
一般の病院は、人が死んでゆくのにふさわしい場所だろうか。
医療者にまかせるのではなく、自分自身の意思と選択で
自分の死を迎えるにはどうしたらいいのか。
人間らしい、おだやかな時間と環境の中で生き、そして最期を迎えるために――
人間の魂に聴診器をあてた若き医師の厳粛な記録。
「ホスピス」の思想を広く知らしめる契機となった名著。
解説・柳田邦男
※この電子書籍は、1996年5月に刊行された文春文庫を底本としています。
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医師でもある著者が幾度となく末期がん患者たちの闘病や死に立ち合い、医師としての延命至上主義の立場から、病院で死ぬという事はどういう結末を迎える事になるのか、実際の症例を交えながら考えている。
人生の締めくくりとしての尊厳ある死については、どうあるべきなのか。この書籍が書かれた時代から、かなり経過し、現実はかなり変わってきているとはいえ、やはり病院では延命が目的である事に変わりなく、誰もが考えるべきテーマである。
必読書の一冊。
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消化器外科からホスピスへ転向した経緯や、キュブラーロスの死の瞬間を読んで緩和ケアに興味を持ったというエピソードに、似た境遇を感じて共感した。(大若輩である。)
初版から20年以上が経過している今も、一般病院における終末期医療の問題点は大きく変化していないと感じる。特に、日々の診療で感じる違和感に忙しさで蓋をしている医療者に突き刺さる内容である。
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末期ガン患者の終末医療に関する話。もう30年近く前に出版された本なので書いてある内容自体はさほど目新しい感じでは無いですが、出版された当初はかなりインパクトあったんだろうな~。
こういう本って、元気な時に読んでこそだと思いますが、とにかく読んでみて良かった♪とりあえず、僕が末期ガンだったとしたら映画「最高の人生の見つけ方」みたいな感じが最高だとは思いますが、あそこまで行かなくても、この本の後半に紹介されていたように残された時間を大切に過ごし、嘘偽りなく最期の時を迎えたいと思いました☆
あと、なにげに施設内に幼稚園を持つホスピスの話も良かった♪2年前に読んだ「夏の庭」という本にも少し似た感じの話があったのですが、患者にとっての喜びだけでなく、子供たちにとっても、人の命には限りがあるという事を実感を持って体験する事って意外と大事じゃないかなと思ったりしています。この辺りは賛否両論ありそうですが、昨年の秋に読んだ「エンジェルフライト」にもありましたが、日本人は死というものに対して過剰に隠したがる傾向にあると思いますし、もう少し身近に知っておく必要があるように思いました。まずは元気なうちにもう少し詳しく現在のホスピス事情について調べてみようと思います☆
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出版は今から23年前と古いが、ガン末期と言う終焉間際の方々のノンフィクションが短編で10作+著書であるお医者さんの考え方が変わった時の短編と、今後の取り組みについてのそれぞれ1作づつの計12作。
短編ですごく読みやすかった。
はじめの5作は患者が望んでも、告知されず
患者自身の最期が孤独なものが、多い。
なんの誰のための治療なのだろう。
読みながら、胸が苦しくなった。
間に1作著書(お医者さん)の考え方が変わったきっかけあり、
その後残りの5作が描かれている。
前の5作とは違い、自身の死を受け入れ、自らの意志や家族との話し合いの結果、安らかで人間としての最期を迎えられている。
読みながら、ふと10年近く前に他界した、おばを思い出した。
急死だった為搬送された病院での蘇生行為をみながら、
生きて欲しいという私の願いと、
このまま眠る方が良いので無いかという不思議なふたつの感情を持った。。。
蘇生行為で苦しめないで欲しいと思った。
自分が死を迎える時は、延命治療で自由なく生きるより、限りある命を最期まで自分らしく生きたいと思った。
ホスピスにも記載があり、詳しく調べて、何かお役にたてるか考えようと思った。
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終末期医療に関する本。尊重すべきは患者の意志という大切なことが、医者である著者が体験した生々しいエピソードを通して伝わってくる。この本を読んだ人は恐らく「もし自分や家族がこのような状況になったら・・・」と想像を及ばせることになるだろうが、その時どうしても金銭や時間のコストがどうしても頭にちらつくと思う。実際問題、そのあたりは不可避の課題であるため、ホスピスがどのくらいの期間、どのくらいの費用で行われるのかということについても言及されていれば、尚良かった。
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身近に死期のちかい人がいるなら読むべき。
死に際の人工呼吸は
生きてるものの自己満足にすぎない
尊厳を保ったまま送り出してあげよう
そんなことが書かれていた。
本当におすすめ!
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今ではインフォームドコンセントは当たり前になってきたけど、そうでなかった時代の悲しい死に心が痛む想いでした。
最後のガンのお父さんのような暖かい死が病院でも当たり前になればいいのに・・・
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この本は実際のところすばらしい。人々の生死感というのは時代によって変わるものであることが分かる。そもそもそこを避けて通ってきたわたしたちは、もう一度深く考え直す時だろう。
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本書の前半に紹介される悲惨な終末期医療のエピソードは、医療の発達とそれに伴った医療者の倫理観の変化が、皮肉にも人が人として死んでいくことを許さなくなってしまったことを示しており、非常に衝撃的である。
著者は、従来の医療の常識を覆す緩和医療のあり方に気づく。がん告知の問題から出発して、患者・家族との信頼関係を築き、尊厳ある死を選ぶ道もあることを、医療を受ける側にも、提供する側にも提言している。
今でこそ医療倫理が注目され、終末期医療のあり方も盛んに議論されるようになったが、本書が世に出された頃は、医科学の奢りともいうべきか、緩和医療について真剣に考えられることも、ましてや組織的な取り組みがなされることも、ほぼなかったのであろう。それが当時の「空気」であったのだろうから。
著者が意図したとおり、本書が医学書ではなく一般書として世に出されたことは、時代に大変なインパクトを与えた。読者を意識してのことだろう、文章が非常に洗練されており、さながら短編集のように「死」のエピソードが一つ一つほどよい長さにまとめられていることが、本書をより魅力的なものとしている。
それにしても、本文中ですでにこのころには聖路加国際病院の日野原重明氏ががん告知についての問題に取り組んでいたことに触れられていることに、改めて感銘を受けた。さすが、戦後間もない時期から臨床一筋で、外国に目を向けて日本の医療を拓いてきた方である。
なお、著者は私の高校の大先輩でもある。このようなすばらしい仕事をされる医師を先輩に持つことができるのは、非常に誇らしい限りである。
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医師である著者が終末期医療に関して書いた本。
初めて読んだのは単行本で、もう10年以上も前。
その後文庫で買いなおし、本当に何回も読む。
「死」「尊厳」について深く深く考えさせられる。
読むたびに泣いてしまう素晴らしい本。
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十代の頃は「死」についてよく考えていたな・・・と思います。その始まりの本だったと思う・・・・・・それから、エリザベス・キュブラーロスへいって(地元の本屋には無くて、京都に行って始めて買ったのは彼女の「死ぬ瞬間」でした)。
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19年3月 購入
終末期医療について考える。
医師として、患者が最期の時を迎えるにはどうした対応が好ましいかを記している。
最期まで人としての尊厳を保ち、死を迎える大切さ。
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医師の視点から、病、病院、家族、医療、そして死について書かれている。死ぬということについて深く考えさせられ、また涙が止まらなくなるすばらしい1冊。
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高校生の時読んで、看護学生の時読んで、看護師になり先週読みました。それぞれ感じることが微妙に違っているように感じるけど、看護師として働きだして死が身近になって悩んだときまた読みたいと思います。死について真摯に向き合うことはたやすいことではないですが、著者の向き合い方には共感できます。私もそんな医療者でありたいです。
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(事実だとしても)あまりにも作為的で読んでいて恥ずかしくなる「息子へ」章を除けば、星5つレベルの名著でした。現役医師が書いた本ですが、とにかく文章が素晴らしい。病院関係者はもちろん、一人でも多くの人に読んでほしい作品です。
さて、本書のメインテーマは末期ガン告知についてです。実態として、多くの医療者も家族も、患者に真実を伝えることがタブーとなっており、たとえ確実に死が近い状況でも、闇雲に励まし、とにかく患者の命を1分1秒でも延ばすことが最優先されています。その弊害は、患者が死を受け入れる為に必要な準備期間を奪い、患者自身の置かれている体の状態と医者の説明とのギャップを埋められない不安や疑問と、そこから派生する医者や家族への不信感が募ることです。その結果、患者は闘病に加えて、得体のしれない別のモノとの闘いも強いられます。
そして、何十人もの患者の死に立ち会った著者はこう考えるようになります。
「明らかに死期の迫った患者への蘇生術は、患者が安らぎの世界に入ることを強引に妨げているだけかもしれない。それら蘇生術のほとんどが医療側の一方的な自己満足だったのではないか。病気に対する最後の抵抗を示すことで、患者へではなく、家族へのせめてもの誠意を見せようとする見せかけの行為なのではないか。主役は死んでいく患者で、それを見守るのは家族や親しい者たちであるべきなのに、医療者は、患者とその家族にとってもっとも厳粛で人間的であるべき最後の別れの場に、三文役者のように我が物顔で登場し、大切な家族の時間の大半を、蘇生術で奪っているのではないか。」
こうした医療関係者の真摯な言葉を聞くと(既に四人に一人ががんで亡くなっている現況下で)、果たしてがん告知をためらうことで、正常な意識のうちに家族と向き合う機会を先送りしたり、意識のない状態での延命処置自体が本当に患者の為になっているのだろうか、という疑問は湧いてくる。
ちなみに、海外での告知問題はどうなっているのだろう?
例えば、訴訟大国アメリカで、逆に真実を告知しないことで奪われる自己決定権という人権侵害の可能性もありそうだし。
結論的には、日頃から家族間でこうした点を率直に話し合って置くべきというあたりに落ち着くのかな。
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題名だけは知っていたけれど避けていた本。
読み始めてやっぱりな、でした。
病院って、人の最後はこうだよね、と。
読み進めていくうちに希望が持てるようになりますが、実際には金銭的な事、家族の負担を考えるとと思ってしまいます。
自分には何が出来るか、自分の最後には他にも選択肢はないのかなど色々と考えてしまいました。
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病院で死ぬのではなく、ホスピスに入りたい、最期は自宅で死にたいという思いを改めて強く思った。今はこの本が出た当時より告知をするようになっているのでは?とは思うけど、私の場合は、やはり周囲からたとえ心からの善意であっても本当の病名や余命について隠されるのはかえって辛い。
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20年ぶりくらいで再読しました。
当時と比べると、癌は治癒することも珍しいことではないものになり、告知も当たり前となりました。
意外と告知への移行はスムーズに進んだ気がします。
終末期をどのように生きるかということは、まさにその人の生き様を表現することになる。
さて、どう生ききるか。
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数多くの患者を見とってきた医者による死に方に関する考察本。
100%死ぬ。死から逃れることができる人類は居ない、死は誰にも訪れる。
医療等が進み病院のベットで死ぬ人が増えた昨今。病院で死ぬということはどういうことかを看取ってきた患者の例とともに考えていく。
この手の話に「正解」はあるわけないが、死、それも病院で死ぬ場合即死はあまりない。つまり死ぬまでに猶予があることになる。それがどういうことか、自分だけでなく身内等にいざその時が来た時に慌てないためにも考えておきたいと思う。
Posted by ブクログ
医師と患者の葛藤(前半)
著者の体験・実践(成功例)
医師と患者の間に、人間としての信頼関係があるならば、やすらかな死を迎えられると思える。
そんな思いが、著者の終末期への考え⇒ホスピスへつながって行くと思える。
雑記
病院で死ぬということ
18
書き方表現方法が、本人の心情はわからないがマイナス。事実のみを記す?著者の心情は表現記載の
32
臨床患者に対する蘇生術。医療者の義務と考えている。救急と末期では違う。死に行く人に対する、優しさも、畏敬の念も、哀悼も無い。延命至上主義の医学教育、人間の尊厳を冒す行為。
38
脅迫
実話なのか?
日野原医師の病理解剖、82%、すごい!
52
解剖⇒移植へ話を変えたか。
66
主治医と患者。痛みに関する、心理の脚色のしbyすぎではないか?家族への影はないなあ。
68
徐痛方法を知らない。時代背景がありそうだ。物語から、麻薬系鎮痛薬、1ショットだろうか?疼痛管理の現状では、知らないということはありえない。また、大学病院で末期、これも無いのではないか?とともに、心理的な影響から、量が減る例は、自身でも聞いたことあり。
82
長期入院では、家族の(心が)疲労する。自分を理解できないという表現は、適切なのだろうか?
84
治療法の問題があったのか、システムに問題があったのか、(家族との)コミュニケーションが問題か、エピソードの意味は理解に苦しむ。(押入れでの死、年金を受取る見舞い)
89
病院での個人の死、医療システムの中に埋没してしまう。
96
死ぬ瞬間
キューブラロス
97
医師は一般人と考えが違う
99
医師の義務とは。蘇生術を行うことなのだ。(当時は)
100
臨終という戦場。
蘇生術。
そして、戦う相手が違うということ。
103
患者の=死への尊厳はあるのか?
112
その人固有の人間としての存在が尊重される。
126
現実にあるかと驚く。意志は生命を輝かせる、気力、根気、つきた。価値ある時間。夫の病状はどうなったかも気になる。
174
臨終間際は入院は、家族のエゴでは無いだろうか?ホスピスの前進と教えた。
206
「息子へ」
家族の信頼、医師と患者の信頼、素晴らしくも、美しくもあり、清く尊いと感じた。妻の看護も献身的であったのだろうが、遺書を渡されたのが娘ということで、16歳、重圧ではなかったのか?と思えた。しかし、それを乗り越えてられた程に、愛があったのだろう。泣けました。
220
宗教観、著者は良く見て、真情を捉えている。ホスピス⇒行き着くところなのか?という想いである。これが病院ではないところの、著者なりの回答なのだろう。
Posted by ブクログ
初めてこの本に触れたのは受験勉強をしていた時で、先生が小論文の練習として読ませてくれた。今看護学生になって、また読む機会があり、その時読んだのは一部で続きが気になったので、読んでみることに。
たった20年前でありながらも、医療の在り方についての考えが今とは大いに異なる。少しでも長く生きられるように、それだけであって生命の質が見えていない。その時代にあった悲しみが、事例を通して伝わってくる。患者の目線でものを見ることの大切さを感じた。
Posted by ブクログ
医師が、死を迎えた人に対し、どう対応すべきか、家族はどうすべきか。
できるだけ無駄な延命を行わないこと、穏やかな最後を迎えること。
そのためには、ホスピスを。
ということを事例を交えながら書いてある。
前半の事例は、そうはなりたくない事例。
後半の事例は、参考にしたい例。
事例は、末期がんであった人々であるため、告知が重要なキーになっている。
以前は、告知はして欲しいと思っていた。
告知されると、否が応でも体調を気にしなければいけない。
そう気がついてから、告知はしてくれなくていい。と考えを変えていた。
これを読んだら、さて、どうするかなぁとまた考えることになった。
Posted by ブクログ
高校時代、この本に出逢いました。ホスピスで働く医師の記録です。今思えば、当時のsakiの教科書のような、そんな大きな影響を与えてくれた本でした。
Posted by ブクログ
とにかく重い。ただ必要なこと、医療系の学校に通っている自分には目を瞑っては行けない問題がそこにはノンフィクションで書かれていた。
読むたびこの本から逃げたい。はやく違う本を読んで楽になりたい。でも逃げちゃいけない、そう思いで読み切り終末期医療の現場、命の尊さ、人権とは?考えさせれあっという間に過ぎていく時間や人、色んな事象を受け止めもっと深く考えなくてはいけないのだと考えさせられる作品であった。
医療人になる方はぜひ読むべきものであると思います。
Posted by ブクログ
令和の時代になり少しは変わったのであろうか
前半は読み進めるのも辛いものがあった
同じ死を迎えるのでも壮絶な最期なのか静かにその時を迎えるのか、全く違うものになる
自宅で自然に亡くなることが本当に難しい世の中になった
家族にしても苦しそうにしているのは黙って見ていられるはずはなく、症状によっても限られるのではないか
主治医と本人、またその家族との信頼関係がないことにはお話にならない
静かな死を迎えたいものである