あらすじ
本に挟まれた暗号。謎解きに挑む姉妹。忘れられない夏が始まる。 会員が2名しかいないクイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラス内で「じゃない方」と呼ばれている。ライと同じ姓で、ダンス同好会に所属する人気者・成田清春(キヨ)がいるからだ。クラスで「成田君」といえば、キヨのこと。「役立たたない」ことが好きなライと、大学受験に向けて効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。性格も対照的で、クラスでは決して交わることのなかった二人だが、夏休みの間、ひょんなことから、謎解きに挑む姉妹を手伝うことになる。謎解きの先で待つものとは――。 すべての謎が明かされた時、切なさと温かさが胸を満たす、青春恋愛ミステリー。
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Posted by ブクログ
クラスの中心にいる男子とおなじ名字のせいで「じゃない方」と呼ばれる主人公。
趣味はクイズ。知らないものを知る、知識を増やし、体系化することで知識は無敵になる。
だが、それを一緒に楽しんでくれるのはやっぱり「じゃない方」な友達一人だけ。
「中心」の彼らに「それ、何か役に立つの?」と言われ、役に立たないからなんだとも言えず。
やりたいことも見つからない。かといって友達もいない。
予定のない高校二年17歳の夏休み。ただずるずると時間を過ごすだけ、と思っていたのに。
ミステリーや謎解きが好きな人間にとって、一番興奮する瞬間とは何だろうか?
それは謎が解けた時よりも、むしろ謎と出会ったときではないだろうか。
日常を非日常にしてくれるかもしれない、特別な謎と出会うこと。
もしそれを一緒に考えてくれる人がいたら、それ以上なにも望むことはないかもしれない。
甘酸っぱい青春と、謎解きの興奮と、美少女と非日常と夏休み。
読み終わったら、ひと夏の冒険を探しに、出かけたくなるはず。
Posted by ブクログ
序盤から暗号を解くのは諦めて読み進めた。
場面が想像しやすいし主人公も感情豊かで良い。
毎日読むには疲れるけど、
たまに味見したくなるタイプの本。
ミステリー=誰か死ぬ
という考えが根付いてるせいで「この姉妹はどのタイミングで裏切るんだろう。主人公はいつ誘拐されるんだろう。いつ怖い人が出てくるんだろう 」とヒヤヒヤしながら読んだ。最終的にはしっかり恋愛モノだった。
人の死に方にまで価値をつけるのはおかしい。というようなことが後半に描かれていて、「わかるわかる!」と共感していたら…笑
Posted by ブクログ
もともと何も書いていなかったカレンダーが、夏休みに入ったからといって突然埋まるはずがなかった。
「これでいいのか。これが正しい高校2年の夏休みなのか」
モスバーガーで偶然出逢い、パズルを解くことで一緒に行動しながら(キヨも特別参加?)カレンダーの空欄が埋まっていく。
提示されるパズルはキヨにならってサラッと読み進めてしまいますが、一生懸命な様子は伝わってる。
ワクワクする。
ライが最後の謎を解き、賞品をもらいにいく…いいなぁ…じーん…
ライと七輝のミライはわからないけども、今のふたりが幸せなのが救われる。
Posted by ブクログ
相変わらず読みやすくて面白い作者。忙しかったせいで手を付けるまでが長引いてしまったが、夏の間に読んでおきたかったなと思う。
本の主人公に本を読むような人種の内心を語らせたり、別人種への理解を深めさせるのはなかなか面白い読書体験。登場する暗号はほとんど部分的にしか解けず。出題者の正体は早めに予想できたが、動機だけがわからずに読み進み、余命が出てきて少しがっかり。そうとわかって読み返せば得心の行く描写はいくつかあったし、夜の湖あたりは露骨にほのめかされていたが、病室の映像あたりはまだこれが引っ掛けで平和に落着するのではとも思った(病院の近くに高圧電線ってどうなの? というのもあり)。
別に読後感が悪いとまでは言わないし、余命の話が当たり前に出てきてもいいとは思うが、出題の動機付けは「わるいネット」のくだりで十分だったので、どうにも蛇足の感が否めない。
とはいえ久しぶりに長々と文字量多めで語りたくなる本だった。すぐにでも読み返そう。
Posted by ブクログ
初めましての作家様です。後半少し辛くて読み進められませんでしたが、やっと読み終わりました。
やけに千葉の京葉線沿いや内房線沿いに詳しい描写多いなーと思っていたら、作者様は千葉大出身なのですね。そりゃ聞き覚えのあるのが多かったです。
ジャンルは青春ミステリーですが、謎解き( 暗号系 )がメインで全体的に炭酸のようにシュワシュワ爽やかな青春のお話です。
一緒に暗号を解きながら冒険している気分で読んでいたのですが、真相はあまり好きじゃないかもです。
なにかあるとは思っていましたが、余命がある指定難病になると全く印象の違うお話になってしまうな、
と。
自分は〝難病になってしまった側〟の気持ちしか分からないので〝難病の子を好きになってしまった人の気持ち〟が分かったのは嬉しかったです。
そうだよな…どんな未来だとしても会いたい気持ちが我慢できないものですよね。
私自身、他の方から『可哀想』とよく言われるのですが、可哀想は何よりも言われたくない言葉なので七輝の言ってること分かるなぁ…としんみり。個人的に『可哀想』は自分が同じ立場だと絶対に言わない言葉だと思っているので、寄り添ってくれていると言うより下に見られているように感じてしまうんですよね。『この子は可哀想な子だから優しく〝してあげないと〟いけない』みたいに。違うように取る方の方が大多数だと思うので、言葉って難しいなぁと実感してます。
最後のその後のお話は割と入院あるあるなのかな?私にも経験があり「やったわ…」とか「わかる…!」など、最後の数行に親近感を覚えました。
恋愛が主軸( ? )なのかなと思いましたが、どちらかと言うと友情の方が主軸に感じました。2人には今後も仲良くして欲しいな。
陽キャには陽キャの悩みや苦悩があるのだなと新しい発見もあった、とてもいい読書体験でした。