【感想・ネタバレ】ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

うしろ姿が美しい男に恋をし、銀色のダンベルをもらう。掌大の小さな人を救うため、銀座で猫と死闘。きれいな魂の匂いをかぎ、夜には天罰を科す儀式に勤しむ。精神年齢の外見で暮らし、一晩中ワルツを踊っては、味の安定しないお茶を飲む。きっちり半分まで食べ進めて交換する駅弁、日曜日のお昼のそうめん。恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18編の物語。※本書の解説は紙の本にのみ収録されています。電子書籍版には収録がございませんのでご注意ください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

短文だけど、とっておきの一文が来る感じ。小説と詩の間みたいな文章だった。展開もロマンチックで、一話は短いものの、満足度が凄い。後味が残るから、すぐ次に行かずに、暫く余韻を感じていたいと思えた。

お気に入りの話は二百十日、土曜日には映画を見に。

p200
弱いってことは、とても強いことなんだな。

p216
好物じゃないネタの回転寿司のお皿が流れ去る、みたいな感じだな

p238
あのころ、わたしは小西さんと知りあったばかりで、小西さんとセックスしたり共に生活したりするさまを、ほんのぽっちりも想像できなかった。小西さんはでぶで汗かきでオタクで全然魅力的ではなかった。
でもわたしは、小西さんのことをなぜだか「いいな」と思ったのだ。今まできちんと考えてみたことはなかったけれど、たしかにそうだったのだ。

0
2024年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

寂しくてあたたかい不思議な短編集だった。
誰を好きになってもいいし、歳の離れた友人がいてもいいし、自分の気持ちを大事にしていいんだよと気付かされるような、自由な感覚を取り戻させてくれる作品が多かった。
特に印象に残ったのは6作品。二百十日、ルル秋桜、ぼくの死体をよろしくたのむ、土曜日には映画を見に、スミレ、廊下。どれも劇的な展開や強い感情や、そういった派手なものは書かれていないのだけれど、悲しくて優しくて胸がざわざわして惹きつけられる。
作者の書く、ミステリアスで余裕のある魅力的な女性が大好き。

0
2025年01月15日

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