あらすじ
トーマと呼ばれた美しい下級生から、ユーリに届いた1通の手紙。それは、彼からの遺書だった――。そこへトーマに生き写しの転校生・エーリクが現れ、オスカーは、遺された想いに縛られた親友・ユーリを憂慮する。揺れ動く心を捉える生と死、そして愛……。苦悩する少年たちを色鮮やかに描いた、萩尾望都の不朽の名作に、森博嗣が、今、新しい息吹を吹き込む。
※本書は、2012年4月にMF文庫ダ・ヴィンチより出版されました。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
原作の漫画を基に、森博嗣さんが小説家したもの。
設定など少し違うようだが、とても素敵だった。漫画を読んでみたくなった。
温度、風の騒めき、空…美しい文章に魅せられてあっという間に読んでしまった。繊細さ、脆さにはらはらし、透明感にハッと息を飲んだ。
出逢えて良かった本の一冊、イラストも美しかった。
Posted by ブクログ
「彼にとって死とはなんだったのか」
重いテーマだなと思いながらも一気に読み終えた。
自殺、他殺、事故。。。死は病死が原因とは必ずしもならないということ、いろいろと考えさせられる1冊。
Posted by ブクログ
萩尾望都「トーマの心臓」の小説化作品
メフィスト賞「すべてがFになる」の森博嗣
かなりのファンらしい
あとがきで 具体的なものから抽象化
使命は 原作を読みたくさせること
舞台は日本の理系の全寮制中高一貫校(予測、具体的には書かれてない)
オスカーを語り部として 主なストーリーは踏襲され 原作よりも理性的な物語になっているように思います
原作で描かれた キリスト教的何かは 避けたように思います
そして 友情に落とし込んだかなとも思います
森博嗣さんのスカイ・クロラは、いつかしっかり読みたい
Posted by ブクログ
これがぼくの愛、ぼくの心臓の音。
物語の核となる部分(トーマの死やユーリの葛藤)がベールで覆われたままの幕引き。多くのことがぼやけていて、儚くもあるし不完全燃焼でもある。トーマは命を投げ出すことで、永遠に覆ることのない愛を証明してみせたのかな。神父を目指すってことは神を心から信じるということ。ユーリがそんな風に前を向けたのは、トーマに不変の愛を貰ったおかげだと思いたい。
原作に誘導するために敢えて詳細を書かなかったのだとあとがきで分かったけど、それなら原作から読むべきだったかも。
Posted by ブクログ
トーマの死んだ理由がこの作品の核になるものだと私は思っていたから、そこが殆ど触れられずに終わってしまったのがかなり残念だった。
漫画版とは完全に別物として読むものだったな。そもそも舞台が違うしキャラクターの性格も若干違う。っていうか日本が舞台だったらユーリはまだ分かるけどエーリクって名前は変じゃ。。?エーリクは完全な日本人って設定だよね確か。。。どうしても萩尾望都先生の描くブロンド髪の美少年たちで想像してしまってチグハグを感じてしまった。
オスカーの弱さや、純粋で美しいエーリクに対して眩しさを感じる気持ちは漫画版よりもよく伝わってきた。
淡々とした静かで冷たい文体が、合間に挟まる詩を際立たせていて良かった。
Posted by ブクログ
原作の萩尾望都先生の漫画が大好きで、森先生が萩尾先生のことがすごく好きだと聞いてとても嬉しかった。好きな人が好きな人を好きなんて!
そしてこの小説化を知って、表紙を見て、とてもうれしかったことも思い出しました。
眺めて楽しんでいるうちに、読まないまま今に至り、やっと読むことに。
まさかの日本が舞台!
はっきりとは書かれてない(はず?)けれど、たしかそんなことを雑誌で見たなと思い出す。
けれど読んでいるうちにすぐに背景や人物は萩尾先生の原作の絵に近づいていってしまう。
そのたびに「ちがう、ちがう」となんとか離れようとがんばりましたが、読み終えた今、どっちでもよかったように思います。
章のはじまりに書かれるトーマからの手紙の文章は、年齢を重ねた今の方がみずみずしく、美しく、切実に感じます。
漫画よりも落ち着いた雰囲気のエーリクは森さんタッチになっているなと。
ユーリのやさしい面を描いた実験中のケガの話は、この小説版のほうが好きだな、伝わるなと感じた。
なんだかずっと天気が悪くて、寒い季節が続いてるような気がしてくる。
やっぱり日本ではないのかな?
ユーリがどうしてトーマを受け入れなかったのか、どうして牧師を目指したのか、この小説だけで分かるのかなぁとちょっと心配になった。
オスカーの目線で描かれる物語というのが新鮮でよかった。
エーリクの手紙に対して怒るラストは本当に可愛い。