あらすじ
家族で食卓を囲んでいたら、突然、テレビ局からの電話。法王のクリスマス・メッセージが英語でなくイタリア語で送られてきた! 通訳はいないのに、オンエアまであと20分! 電話で必死に音声を聞き、訳した紙を持って6歳の息子がFAXまで走る…聖夜の椿事を始め、最強のイタリア語同時通訳が明かすエピソード満載。地方名門女子校の優等生がシモネタ好きの妖艶な(?)イタリア語通訳になるまでのストーリーと、著者をシモネッタと名づけた米原万里の名解説も収録。
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Posted by ブクログ
イタリア語通訳の抱腹絶倒エッセイ。めちゃくちゃ面白い。前に読んだようだが初めてのように楽しめた。(何も覚えていないのが怖い)
1970年東京外語大の学生のとき、イタリア人30人をアテンドして東京、日光、箱根、伊勢志摩、京都、神戸、大阪を12日間回る地獄がデビューだったという話が一番印象的だった。その後通訳技術も日本の名所案内もうまくなっていったはずなのに、貰ったチップは最初が一番多かったというのは何やら含蓄深い。
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「シモネッタ・ドッジ」の異名を持つ日伊同時通訳者のデビュー作になります。筆者が同時通訳の現場で日々、感じていることや、その舞台裏。そして、イタリアの男性たちの『出会いを求める』その積極さに脱帽でした。
彼女のことは米原万里さんの『ヒトのオスは買わないの?』というエッセイで最期の解説を書かれているということで彼女の親友であるということを知り、『オナペットかバター犬か?』という場所を考えるとギリギリの下ネタをかっ飛ばし、米原女史から「シモネッタ・ドッジ」の名前を下謁されたというエピソードから彼女の存在に興味を持って読み始めた、というのがきっかけです。
この本は彼女のデビュー作ということで、日本語とイタリア語の同時通訳の現場でのスリリングな現場の舞台裏の話に始まって、タイトルにもなっているパーネ、アモーレ、ファンタジア(パンと愛と夢)で生きているイタリア人と、リーゾ、ラヴォーロ、フィロソフィア(米と仕事と哲学)で生きている日本人。現在ではその差異が国際化によって縮まってきたそうですが、彼女の中のイタリア人の『お盛ん』ぶりや、いくつになっても男も女も現役で恋愛や人生を楽しむという姿勢には敬意を感じました。
中盤以降に収録されてある『シモネッタ以前』というくだりで彼女が回想録的に『いかにして自分が通訳になりしか』ということを振り返って綴られており「でもしか通訳」としていきなり華麗なデビューを飾った米原万里と、日本に来るイタリア人のガイドから一つ一つ階段を上って通訳になった筆者との対比が面白かったです。
エッセイとしても、イタリアという国を知る上でも参考になられるかと思われます。
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前回読んだ『シモネッタのデカメロン』よりエッチくなかったです(笑)。
ロシア語通訳だった米原万里氏の著作を幾つか読んだのですが、お国柄の違いか此方は政治とお酒の話、『パーネ・アモーレ』はファッションと男女関係の話が多かった気がします。
でも“通訳”という職業のアプローチの仕方というか見解というかは、両氏で似通っている気がしました。それはどちらも余り日本ではメジャーな言語ではないからかな。
英語の通訳の方の著作は読んだ事がないのですが、両氏もそれぞれの著作の中で触れていたように、また大分事情が違う気がしました。
他言語を学習するならドイツ語かイタリア語がいいなぁと何故か思っていたんですが、イタリア人の彼女がいる知人の話と、田丸氏の著作を読んで、イタリア語を習得するのは全く不可能のような気がしてきました……。
逆に米原氏の本を読んだ後は、特別興味のなかったロシア語を習ってみたいと思ったんですが。
どちらの氏の著作もとても面白かったので、要は私の先入観の問題でしょう。
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最近、私の中で、通訳界が熱い! 英語は優等生、ロシア語は暗い、フランス語は勝気、などなど、どの言語の通訳かによって、自然と性格がカテゴライズされるらしい。
田丸さんは、イタリア語通訳者である。イタリアらしい、おいしくて、明るくて、お色気ムンムン(死語?)の通訳奮闘記、「笑いながら、一気によみました」となること、間違いなし![2004.09.27]
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"先日、森永卓郎さんの講演を聴いた。経済学の専門家なので、昨今の経済状況をわかりやすく講演していただいた。森永さんは、日本をイタリアのように明るい国にしたいという妄想?(森永さんごめんなさい)を抱きつつ、日夜奮闘されている。(私も、森永さんの計画に100%賛同している。)イタリア人のように、明るく飲んで、唄って踊って、恋をしよう!と必ず講演の時にお話をする。
そこで、ふと思い出したのが、米原万里さんの本に出てきたイタリア語通訳の方の話。シモネッタという愛称を持つ田丸公美子さん。この方の本を読みたくなり、本屋で購入して読んでみた。イタリア人の気質、文化の一端を田丸さんの体験談からかいま見られる。男の人がナンパしまくる国民では、女性はそんな男達の中でどんな気持ちでいるのか気になる。そんな疑問にもふれている。口説くのが礼儀と思っている男性、そんな男性達から毎日「きれいだ」「かわいい」「すてき」と言われ続ける女性達は、ますます美しくなる。とのこと。
このほかにも、子育て、とんでもない通訳の仕事、ご自身の成長記など楽しいエッセイが詰まった本。楽しいひとときが過ごせた。"
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さわやかに面白いです。
サブタイトルの通訳奮闘記からか、語学コーナーにありましたが、普通に翻訳に興味がない人が読んでも楽しめると思います。
昔は英語が話せるだけでも貴重だったとあります。その時代と比べると、英語を話せるのが普通になっているので、少し寂しい思いがしました。
あと、驚くのが、いかに著者の英語力が優れているかです。イタリア語については、現場でのたたき上げの機会を得たことによって、非常に上達されたものと思われますが、下地となる英語力があってこそだと思いました。
また全編を読むと伝わってくる、今も勉強をつづけられている姿勢は、やはり見習わなければと思いました。
Posted by ブクログ
なぜかさかのぼって読んできてとうとう田丸女史第一作。
他の著作と比較してプライベートで遭遇した話題が少なく、
通訳という仕事に軸をおいたエピソードがほとんど。
後半、どうしてイタリア語通訳になったのかの自伝部分もあり、新しい顔を見た気がします。
処女作ということで文章が少しぎこちない(といってもかなりレベル高い)部分もあるけど、
笑える(下)ネタ多く、
また通訳という仕事に真摯に向かい合っていて、一人の働く人として尊敬。
時代に恵まれた部分は決して小さくないけれど、
田丸さんはいつだってきっと輝けるパワーがある人だと思う。
それにはもちろん根気と努力と体当たりの精神が不可欠。
つまりそれがあれば人生何とかなるのかも。
見習いたいものです。
好きこそ物の上手なれ。愛し続けるのもまた才能。
こんなに愛せるものを見つけ、ともに生きていける、とても幸せな人だなと思ふ。
Posted by ブクログ
魅力的な仕事だけれど、現実は過酷で辛い部分も多い。
そんな通訳業の裏も表も詰め込まれている本だった。
巧みな表現、人を惹きつける文章にはさすが、なるほどと唸った。
登場する人物や仕事の舞台から、著者がいかに優秀な人物か
というのが、嫌でもわかるのだが、読んでいて嫌味に感じないのは、
著者の表現力、文章力の巧さが理由な気がする。
(書き方が悪かったら、最後まで読まなかったでしょう)
この本をもっと早く読んでいたら、きっと通訳を目指していた・・・
かもしれない・・・
Posted by ブクログ
お友達からご紹介いただいて、この本と、そして著者の田丸さんに出会えました。 前書きの後、最初に、「通訳はその言語の文化に同化する」と、いきなり興味深いタイトルが。 私自身、少ないながらも複数の欧米言語を話しますが、うんうん、とナットクしてしまいました。 イタリア語を学び始めの頃、感じていた違和感は、文法(あいまいな時制、例外だらけの前置詞など)のせいかと思っていましたが、原因は別にあったのかもしれないです。 語学の達人なのに「イタリア語は好きになれない」という友人、逆に英語もろくにできない(失礼!)なのに、イタリア語になると生き生きする友人、不思議だと思っておりましたが、言語との相性は、文化との相性なのだとあらためて思いました。
著者と同じ大学を目指す長女に、「偏差値にみあった語科を受ければ」というのは、見当違いのアドバイスなのかもしれないです。
30年以上も、通訳として活躍されている著者の方の体験はおもしろく、また、彼女自身が「イタリア語通訳」は天職なのだなぁ、と感じました。 いかにも「イタリアっぽい」お人柄も、とても魅力的に感じました。
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イタリア語同時通訳の筆者による楽しいエッセイ。通訳に求められるのは幅広い知識、どんな場合でも即座に対応できる機転力、そしてくそ度胸らしい(笑)この本を読んでいると、著者がイタリア人と日本人どちらの愛すべき欠点も美点も大好きなのが伝わってくる。生活の拠点は便利で清潔な日本がいいが、やっぱりラテンの大らかさを愛してやまないのだろう。数知れない通訳の経験は常に真剣勝負、失敗が許されない戦場だが、どんな苦境に陥ってもそれを新たな勉強と捉えて挑戦していく筆者の心意気には乾杯だ(笑)日本とイタリアを同時に学べるとても楽しい奮闘記だった。
Posted by ブクログ
4/1「シモネッタ」で文章が気になりすぎて他の著作を探してみた。これが処女出版らしい。「デカメロン…」よりも通訳事情等の話が多くて別の面白さがあった。なによりも本業ではないと思えないほどキレのよい文章(説明的すぎる箇所はややあるが)、意地悪でも卑屈でもない、「おもしろがっている」視点が魅力的。あと「言葉」や「外国語」が好きな人にはたまらないと思う。他にも著作あるのかなー。。。
Posted by ブクログ
米原万里さんのエッセイからリンクを辿って読んでみた一冊。シモネッタの名に恥じぬ、痛快エッセイ。もっと読んでみたいけど、米原さんほど文筆業にコミットするつもりはないようで、ちょっと残念。
Posted by ブクログ
飛行機の中で読むものが無くって、あわてて空港の本屋で購入した一冊。イタリア語通訳の第一人者、田丸公美子氏が面白おかしく、イタリアという国について、通訳という仕事にまつわる話等々書かれてます。機内で読むにはちょうど良かった。
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面白い!こんな方と一緒に暮らせるご家族が羨ましいです(笑)
でもお仕事サイドのお顔はプロとしてとても格好良い。実は凄く真面目な方なんだろうなぁと思います。
日々是勉強なのですね。。
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あまり興味を持てない部分もあったが、「シモネッタ以前」は面白かった。同時通訳さんは遺伝的に優れていないとなれないのではと思っていたが、とくにそういうことでもなく、家庭環境というわけでもなく、ただ中学から英語教育に熱心な私学に入って鍛えられたことが大きいようだ。教育の大切さを改めて思った。
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通訳という仕事の激務ぶりとか、イタリア人のちゃらんぽらんさ(?)などなど色んな要素を差し置いてこの作者の強烈な個性が際立っております。この人の旦那様と御子息は大変そうやなぁ、こんなに弾け飛んでいると。イタリア人にまつわるエピソードがほのぼのしたものに思えて気さえするのは気のせいではないはず。
Posted by ブクログ
留学経験のない著者がイタリア語通訳者として活躍する日常を描いたもの。
やはり高校生時代から英語はかなりできたようだが、東京外国語大学イタリア語専攻に入ってからも留学経験がないのに通訳者になれる程の語学力を身につけられたのは凄いと思った。
ただ、語学万能というわけではなく、初心者の頃は分からないという苦しみを感じたようで、ベテランになってからも分からないことは多いということ。
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露語通訳の女帝・米原万里より「シモネッタ・ドッジ」の名を下賜された日本イタリア語通訳の女王、田丸公美子女史によるイタリア語通訳事情エッセイ。
まさしく米原万里の『魔女の1ダース』と双璧をなす通訳エッセイといえるだろう。
豊満な胸元をさらに強調するドレスを華麗に着こなし、真っ赤なルージュに染めた唇からあけすけもなくシモネタが弾丸のように飛び出る様は圧巻の一言。
シモネタで周りを気まずくさせることなく場を盛り上げられるのは言葉の魔術師にしか不可能なテクニックなワケで、彼女の才能を裏付けることに他ならない。
なぜなら、世界中どこでだって通じるのは人間の3大欲求なわけでして、その国の文化に繋がる手っ取り早い方法であり、そういう話題の共有すると人はなぜだか仲良くなれるものなのだ。
(分かり合えないヤツは居たら居たでスルーしよう)
一人息子さんの達者な成長ぶりが非常に楽しい。
『シモネッタのドラゴン姥桜』って本も最近刊行されたことだし、いよよ華やぐお年頃のシモネッタ・ドッジ。
イタリア語を習ってみたくなる一冊だ。
Posted by ブクログ
米原万里の通訳関係のエッセイを読んでいると
よく登場するのが著者。
気になって気になって仕方がなかった。
華やかな外見とは裏腹に
繊細な、でも力強い人間性が浮かび上がってくる。
通訳ガイド時代の苦労話では
はらはらドキドキ応援しながら読んだし、
イタリア人のアプローチをかわすシーンでは
羨望の気持ちが高まる。
そして隋所に垣間見られる彼女の聡明さ。
言葉を大切に、それを仕事にしている人は
いいなぁとつくづく思う。