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Posted by ブクログ
久しぶりに再読。
すっかり大人になってしまった自分には素直すぎて眩しすぎるけれど、ぜひ中高生に読んでもらいたい本。
試合のシーンはドキドキして、先に結果を見ないように隠しながら読んでしまう。そういう本です。
ただ、児童書の場所に置かれることもあるようですが、高校生の登場人物が年上の彼女とセックスにふける、という部分があるので、小学生にはちょっと早いかな。生々しくはありません、全く。
Posted by ブクログ
スポーツの世界でも、美しい花を咲かせようとすればするほどに、どこかにゆがみが生じるものかもしれない、と知季はこのごろ思う。そのゆがみは選手自身の体だとか、心だとか、周囲との人間関係だとかに反映し、何かを損なわせる。何かを奪い去る。テレビで活躍する一流の選手たち。彼らもあの満面の笑顔や、りりしいまなざしや、まばゆい白い歯の下に、激しくよじれた大木を秘めているのだろうか。
「で、なんだおまえ、クラブの仲間にうらまれたのか」
「友達だと思ってたのに、せちがらいよね」
「友達だからだろ。友達だから先こされるとくやしいしうらめしいし、嫉妬もするんだよ。赤の他人ならどうってこともないさ」
三回半にも歯の立たない自分に、一体、何があると言うのか?要一には見本のように正確な美しい舞があり、飛沫には型破りな個性を宿した力強い舞がある。知季は自分が何を持っているのか知りたかった。
だれとも共有できない悩み。
一人で抱え込む重さ。
自力で解決するしかないしんどさ。
「でも、それって飛込みだけじゃなくて、なんでもそうなんだよ。ぼくたちの生活って、いつもなんか採点されたり、減点されたりのくりかえしなんだ。いろんなところにジャッジがいてさ、こうすればいい人生が送れる、みたいな模範演技があって。試合で勝つとか、満点をもらうとか、そんなんじゃないんだよ。もっと自分だけの、最高の、突きぬけた瞬間がいつかくる。そういうのを信じて飛んでるんだ」
目をかけていた教え子に裏切られるのは初めてのことじゃない。コーチの気持ちなど顧みず、彼らは簡単に飛込みをやめていく。怖いから。痛いから。寒いから。勉強がおくれるから。両親が反対するから。飽きたから。だれもがうらやむ宝石のような素質の持ち主でさえ、どこにでも転がっている石ころみたいな理由で飛込みをやめていく。大切なのはすばやく頭を切り替えること。去ったセンスを引きずらず、残った選手に専心すること。
「あたしもおんなじ。なんにも知らない飛沫より、東京のことも知って、競うことも、負けることも知って・・・そんな飛沫のほうがいい」
Posted by ブクログ
坂井知季(さかいともき)
MDC(ミズキダイビングクラブ)に在籍している。中学生。飛込み歴は6年。ダイヤモンドの瞳を持っている。
丸山レイジ(まるやまレイジ)
MDCのクラブメイトで知季と同い年。同じ頃に飛込みを始めた。
大広陵(おおひろりょう)
MDCのクラブメイトで知季と同い年。半年遅れで飛込みを始めた。
富士谷敬介(ふじたにけいすけ)
MDCで中学生と小学生の両方のコーチ。要一の父。元飛込みのオリンピック選手。
中西
元コーチ。クラブが潰れそうだから他に移った。と思われている。
水城真之介(みずきしんのすけ)
MDCを創設。元飛び込み選手。持病の肝炎が悪化し志半ばで死んでしまった。夏陽子の祖父。大手スポーツメーカー、ミズキの元会長。
富士谷要一(ふじたに よういち)
MDCのエース。富士谷コーチの息子。桜木高校の高校生。小学2年生から飛込みを始める。3年連続中学生チャンピオンの実績。
阿部
桜木高校飛込み部顧問。
吉田幸也(よしださちや)
サッチン。知季たちよりひとつ年下。趣味はママさんシンクロの人間模様の観察。選考には参加せず、「サポーター」を務める。高所恐怖症である。
大島力(おおしまりき)
MDCで小学生のコーチをしている。津軽から上京してきた飛沫と同居している。よく喋る。
麻木夏陽子(あさきかよこ)
MDCに新しく来たコーチ。中学生の担当。MDCの創設者水城真之介の孫。アメリカでコーチング技術を学んだ。
坂井弘也(さかいひろや)
知季の年子の弟で、早生まれなので同学年。
坂井恵(さかいめぐみ)
知季、弘也の母親。
野村未羽(のむらみう)
知季、弘也と同学年。中学一年の春に知季に告白して付き合いだした。後に弘也と付き合う。
チクワ
飼い犬。弘也が拾ってきた捨て犬。
坂井 久志(さかい ひさし)
知季、弘也の父親。
沖津 飛沫(おきつ しぶき)
幻の高校生ダイバー。昭和の初めに天才ダイバーと騒がれた沖津白波の孫。
沖津白波(おきつしらは)
伝説のダイバー。出漁中に台風の大波に襲われ転覆し、長男の大海と共に死亡した。
松野清孝(まつのきよたか)
安定した骨太で基本に忠実な演技をするが華がない。高さやスピードに欠ける。
ピンキー山田
本名は山田篤彦(やまだあつひこ)。ショッキングピンクの海パンをトレードマークにしている色白の優男。素質はあるが素質を使いこなす力がない。練習嫌いの我慢知らず。精神的にも弱い。
辻利彦(つじとしひこ)
もともとは器械体操の選手。セコい飛込みをする。
炎のジロー
本名は平山二郎(ひらやまじろう)。失敗率100%のスーパーダイブに挑み続ける。
寺本健一郎(てらもとけんいちろう)
日本飛込み界のエース。実力が突出しており、代表は確実といわれる。精神的に弱い面がある。
西川恭子(にしかわきょうこ)
飛沫の二歳年上の恋人。祖母の文と二人暮らし。以前は男を漁るような恋愛をしていたが、飛沫と付き合いだしてからは一本気になり、その悪癖も止んでいる。
文さん(あやさん)
恭子の祖母。飛沫の味方。
美由紀
飛沫の母。
岬
飛沫の妹。
美波
飛沫の妹。
Posted by ブクログ
家にあったから。夏だしちょうどいいかなという軽い気持ちで
読みやすいし、先がきになる。
飛び込みってこんなにマイナー競技だったのね…たしかに、競泳に比べるとあんまり人気ないかもしれない
わたしの拙い想像力ではなかなか飛び込みシーンの想像がうまくできないけど、登場人物はみんな個性的な飛び込みをしてるんだろうなぁ〜
割と知季が好きかもしれない。スポーツ選手っぽくなく、飄々としてるところが好き。でもみんなに失恋に失恋してる話をしまくるところも好き。
飛沫が帰ってから彼女とイチャイチャしてるのは頂けない。青春スポーツ小説としてはわたしは許さない。。(笑)
下巻で、どれほど話が盛り上がるのかに期待!