あらすじ
箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。(解説・最相葉月)
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Posted by ブクログ
竹青荘というオンボロアパートに住む10人の学生。大半は陸上経験無し。そんな彼らが箱根の頂点を目指す物語。
とにかく熱い。心も身体もアツくさせてくれる。
自分も部活をそこそこしっかりやっていた事もあって共感できる部分や尊敬できるところがあってとても面白かった。
良いシーンは山ほどあるけど一番好きなのはハイジが走に対して「お前は最高のランナーだ」と、言ったシーン。その前のセリフ含めて最高すぎる。
読み終わってから割とすぐにこれを書いてるけど興奮しすぎて上手く言葉にできない。
今すぐにでももう一回読みたい。号泣不可避。
Posted by ブクログ
1. 前半と後半の構成の面白さ
前半はハイジと走を中心に物語が進み、二人の関係や葛藤が軸になっていた。ところが駅伝パートに入ると、各メンバーにスポットライトが当たり、それぞれの背景や走る理由が明かされていく。読み手としては、その掘り下げが面白い一方で、駅伝の行方が気になりすぎて「早く次を!」とじらされる感覚もあった。この“焦らし”は、物語を一気に読む没入感を高めていたように思う。
2. 喧嘩の場面の熱量
特に印象に残ったのは、メンバー同士が感情をぶつけ合う喧嘩のシーン。言葉を選ばず、ストレートに相手に向けて本音をぶつける様子からは、青春の衝突の眩しさと痛みが同時に伝わってきた。『舟を編む』の静かな熱意とは対照的で、こちらは炎のような熱量。自分は普段、感情を抑えてしまうタイプだが、時にはこんな風にむき出しの気持ちを出せたらと思わされた。というかあの時に戻りたい。。
3. 「走る意味」をめぐる会話
「きみの価値基準はスピードだけなのか、だったら走る意味はない」「走ることに理由や動機は必要ない。ただ呼吸するのにも似た、俺が生きる為に必要な行為だ」こうしたやり取りが繰り返され、物語全体に「走ることは何か?」という問いが響いていた。大人になると、行動には必ず目的やインセンティブを求めがちだ。だが、この小説は「理由などなくても、自分にとって欠かせない行為は存在する」と教えてくれる。自分にとってそれは何かを考えたくなった。