【感想・ネタバレ】秘密の花園(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。記念碑的青春小説。(解説・穂村弘)

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Posted by ブクログ

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女子校に通う3人の物語。タイトルから勝手に甘く危険なお話的な感じかと読み進めたら全然違った。特に那由多の痴漢のシーンは衝撃。読むのを戸惑ってしまった。
3人それぞれの思い、抱えたもの、交わりそうで交わらなくて。物語のラストがどうなるのか、気になりつつもふんわり余韻を残して終わる感じも好みです。あとがきになんだか救われました。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女子校に通う3人の主人公。男性を巡る女同士のぶっちゃけトークが強烈で、「うわっ、女子校トーク来たか」と序盤から面食らってしまった。
「私はなにをしているんだろう?」「どうしたら私でいられるんだろう」と、掴みどころが無く不安定な心境でありながら、思い詰めると180度逆の行動に出る。ここまでやるか!?というくらい、直球で衝動的で刺激的な展開が描かれている。本人や周囲の大人も気づかない、秘めた爆発力は恐ろしくもある。読者にとってはある意味暴力的とも受け取れる。

ただ、敏感で傷つきやすい生き物であることも確実。「美しさ、儚さ、脆さ」を描いた表紙カバーの絵も刺激的で、不気味ささえも感じられる。

感性が人一倍豊かであるため、彼女達は、大人(の男性)たち、同級生たちに傷つけられながら、拠り所を求めて彷徨う。淑子の気持ちは男性である私に取っても分かりやすかった。那由多と翠の二人が持つ感性は独特。お互いが惹きつけられ、不思議な絆が作り上げられていて、緊張感があった。

彼女たちは常に緊張した日々を過ごしていたのだろうか。作品全体を覆う鬱々とした空気が、余計に緊張感と美しさを読者に煽ってくる。そして、物語は暗い空気のまま突然終わる。

ここまで少女達の心の闇に入り込み、躊躇せずに描ききった三浦しをんさんには脱帽である。

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2024年06月12日

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ネタバレ

淑子の話がとても刺さりました。
先生を好きになったことはないけれど、その人のために死んでもいいという気持ちは分かってしまうなと思いました。学生なら尚更そうだろうな、とも。

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2022年01月07日

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ネタバレ

穂村弘さんの解説1行目の『「女子校もの」が好きだ。』私がこの本を手に取った理由はこれに尽きる。その中でも結構読みごたえがあって、好きだった。
パンドラの箱に入っていたのだから、希望も災厄のひとつなのではないかと主人公は語る。そうかもしれない。でも彼女たちの未来が幸せであってほしいなぁ。そんな単純なことではないかもしれないけれど、願わずにはいられない。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 箱庭で暮らす少女たちの狂いを描いた小説。らしい。らしいと言ったわけは、後書きにそう書いてあったから。那由多が遭遇した痴漢や淑子の母親の狂いが強くてよくわからなかった。
 おそらく、リアルを表現するため、あえて淑子の失踪のオチや脅迫文の真相を曖昧にしたのだろう。でも曖昧にしてるわりに狂いの表現も曖昧だから全体的にふんわりしてた。
 読みやすさを重視するか、独特の世界観で読者を置いてけぼりにするか、どっちかに偏った方が良かったかもなぁ。
 痴漢のアグレッシブさが1番面白かった。
 少女たちの感覚の鋭さ(那由多の洪水が迫る感覚、淑子の誰にでも仲良くなれるため誰の1番にもなれないと思うところ、翠のまわりの変化を気にせず思考を巡らせたまに存在しない兄と対話するところ)が参考になった。

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2025年07月02日

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ネタバレ

女性作家ならではの視点で様々な葛藤を描いた作品という所なんだろうか。

前半は靄がかかっている感覚でしたが、徐々に晴れていく感じが面白かったです。
ですが、なかなか難しい作品でした。

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2021年09月09日

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女子高生3人がそれぞれの目線からオムニバス形式で同時進行していく三つの小説。
それぞれの女子高生が独特の視線を持っており、女子高生ってこんな考えを持っていたりするのかと私のような年寄りには新鮮でした。
それぞれの目線でそれぞれを見つめるその展開も含めて読んでいて楽しめる一冊だと思います。

実際に読んだのはこちらの文庫本ではなく単行本でした。

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2020年10月18日

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再読とは思えないくらいまったく記憶になかった。男性主人公が多いと書いたばっかりなのに、女子高生が主人公。女性作家の女性に対する視点は、冷たく、近親憎悪のような愛情でいて、それでも突き放せない苛立ちのようなものをいつも感じる。10代特有の不安定さは、誰もが共感できるものでありながら、言葉にすると途端に違和感を感じることも多い。しかし、しをんさんは絶妙なバランスでその隙間に物語を作り上げている。「消えてしまわないで。それだけでいいの」という静かなエールがほんのりと温かい。

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2017年01月31日

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