あらすじ
ルイ十四世治下の末期、殺人と汚職によって莫大な私財を築きあげたブランジ公爵と三人の仲間は、「黒い森」の人里離れた城館で、四十二人の男女とともに、百二十日間に及ぶ大饗宴をもよおす。ここで物語られる奇怪な話、くりひろげられる乱行、虐殺の数々を物語るサドの異色作「ソドム百二十日」は、さながら性倒錯現象の百科ともいえる傑作である。他に二篇収録。
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Posted by ブクログ
「ソドム百二十日」
これは小説じゃない、小説なんかじゃない、カタログだ。
内面も成長もない。
さらにはキャラクターもなく、
作者の分身たる人物数名と、作者の欲望する人物数十名とともに城に閉じ込めて規則を作って、さあどうなるか、という壮大な実験に近い。
しかし私は小説なんかよりも、カタログであってもよい、「過剰なもの」を読みたいのだ。
ぜひとも完訳版を読まなければ。
・澁澤独特の隠語の面白さ。「強蔵」!(「ソドムの市」を再鑑賞するときには、あれが強蔵だ! と笑ってしまいそう。)
・「ソドムの市」が思いのほか原作に忠実な作りだったのだと驚く。
「悲惨物語」
・語り口の面白さ。この悪人を描くことで世の中の人への啓発になるでしょう、という語り口であるにも係らず、その悪人を描く楽しさに作者が耽溺している、というパターン。つまりは胡散臭さぷんぷんの道徳を語る語り手。乱歩に多い例のあれ。
・理想的な娘を作り出す、という源氏物語にも通ずるあれ。
・娘を肉体面だけでなく精神面をも犯すフランヴァルよりも、形式上は犯されたという状況にあるにも関わらず生き生きと父を愛する悪女ユージェニーのほうが、素敵。
・私もこのような娘におかしくされてみたい。
「ゾロエと二人の侍女」
未読。