【感想・ネタバレ】自己啓発をやめて哲学をはじめようのレビュー

あらすじ

■衰退する日本社会に自己啓発が罠を仕掛ける!?

そもそも自己啓発ビジネスは、
自尊心が満たされていない人をターゲットにしているため、
コミュニティーの中で、それが満たされる仕組みを作り上げます。
そうして囲い込まれた人たちは、お金を失うだけで、
儲かるのは自己啓発ビジネス側だけというのが仕組みです。

■答えをあなたの外側に求めることが哲学
自己啓発と哲学の決定的な違いは、その答えを自分の内側に求めるか、
自分の外側に求めるかということです。

自分の内側に答えを求めるというのは、
努力すれば成功できる、自分の可能性を信じるというもので、
それを信じれば信じるほど、
薄っぺらな自己啓発ビジネスの罠にはまってしまいます。

いっぽう哲学は、自分の内側にひそんでいる可能性を
あきらめることから出発します。
言い換えれば、自分への執着を捨て去ることの必要性を
説いた学問なのです。

その姿勢は、世の中の絶望と向き合い、
外側の世界に見えるわずかな真実とともに生きることです。

■本書は、自己啓発を捨てて哲学に生きることを提唱しています。
ソクラテス、プロタゴラス、デカルト、
ヒューム、カント、サルトルら哲学者が考えてきた哲学にそって、
哲学が自己啓発を否定する流れを解説していきます。

「自分こそが正しい」という、人間に不幸をもたらすであろう絶望から、
その興味を自分の外側に向けていく哲学にこそ、私たちが救われる道が見いだされ、
そこに救済の可能性があるのです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「自分こそが正しいという人間を確実に不幸にする態度を哲学はかなりの程度まで減らすことができる。自分より重要ななにかを発見するための手段であり、自分自身よりも重要なもののために生きるという救済の道」
「自分というつまらないものを探求することをやめにして、この世界という素晴らしいとものを探求しよう」
唆に富んだ表現が多く、知的態度を見つめ直すきっかけになる。
ただ、著者が自己啓発を憎みすぎている(笑)ことがややノイジーである。自己啓発の定義もやや曖昧で切れ味が悪い。イメージとして共有はできるがそんなに言わなくてもいいと思うのだが。

「自分の中にある「うまく言葉にならないけど、なんだか知っている気がする」というきづきを、簡単には疑えない言葉にする試みが哲学」
という言葉にとても感銘を受けた。「なんだか知っている」を放置せずに向き合っていきたい。

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2019年08月27日

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