【感想・ネタバレ】ストラテジック・マインド 変革期の企業戦略論のレビュー

あらすじ

本書の原本は、大前研一氏が著し、1982年にアメリカのマグロウヒル社から刊行された「The Mind of the Strategist」だ。日本企業の強さの源泉は何なのか、世界中が知りたがっていたまさにその時に刊行され、大前氏の名を広く世界に知らしめた1冊である。21世紀の今ならば、日本のビジネスパーソンは「マインドセット」「ディープスマート」という言葉を知っている。スキルと合理性を極めるだけではビジネスの世界で勝者となることはできないと知っている。真に必要なものは洞察する力なのだ――と。その重要性を25年も前に世界に向けて提唱したのが、本書『ストラテジック・マインド』である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「いま読んでる」と言うのは何度読み返しても得るものがある、という意味において。

原文は1983年頃のアメリカの経営者向けのものであり、1970年代~1980年代の日本企業全体のビジネスモデルを紹介した内容を、逆輸入として日本語版に訳したという代物。

従って例示される成功事例は過去の遺物(執筆時点で古いものもある)だらけだし、そもそもバブル崩壊前の定年退職が成立していた頃の日本企業の紹介になる。

が、バブル崩壊後に「社内に30代がいないので中堅がいない」とか「派遣ばかりで企業体力が落ちた」など、「昔の日本は良かった」と語られる古来の今頃になって言われている日本企業の強みが語られていて平成の現在においても学ぶところが多い。

そもそも、本書が取り上げている日本企業のビジネスモデルや事例、「戦略的思想」として紹介されているものは、ブランド力も資本力も十分で無かった頃の弱小の日本企業の成長ストーリーであって、多国籍化した今の日本企業ではない。

例を挙げると、カシオの電卓は、電卓がチープ化することをカシオ自身が予見し、自らが率先して商品の価格を下げ手ごろなものに自らが改良していったパターンが掲載されている。
カシオは他社にシェアやブランドを取られる前に自らがチープ化を進めることで「今から参入しても薄利多売だな」と競合を排除するようにしたという今のソフトウェア開発やハードウェア開発が陥った失敗(チープ化を恐れたが為に主導権を奪われる)を太古の昔に警告している。

新規事業、既存事業の改革、競合他社との戦争、経営で直面する数々の問題に大して「基本原則の兵法」を本書は非常に解り易くストレートに述べている。

部下を持つ立場、自社を改革したいと願っている人は必ず読むべきと断言できる優れた本。

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2011年02月18日

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