あらすじ
「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました…」誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。なぜ、姉夫婦の家は不気味な要塞のようになってしまったのか? 家出少年を軟禁する主婦の異常な執着心。「死んでしまえ」と担任の給食に薬物を混ぜる女子生徒。平穏な日常が音をたてて崩れてゆく瞬間のリアルな肌触り、追いつめられていく様子。現実の三面記事に書かれた、いわくありげな事件から著者が幻視した、6つの短篇。
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Posted by ブクログ
キツい話が多い読んでて苦しくなった。短編だからなんとか読み切れたが。
三面記事の裏に、みなこのくらいの人の人生が詰まっているのは不思議な気持ちになった。
あとは、主人公が主観で語っていても、事実の部分を繋ぎ合わせればそうではないのでは?と思わせられる文章になっていて、伏線の貼り方が素晴らしかった。
個人的にだが、認知症の話はいつも泣いてしまう。
親をこう見取らなければいけないのでは、という苦しさと、自分もいずれこうなってしまうという恐怖が私を襲うのだ。
そして自分が今祖母を見て見ぬふりをしているというか罪悪感というかに苛まれている
Posted by ブクログ
私たちが何気なくみるニュースの裏側を
なぜそこに至ったのかを覗きみた本だった。
そして確かに重いもので苦しいものだと
最初は恋仲
途中は友だち、同姓、姉妹
最後は親子
最後の光の川は苦しかった、同時に他人事ではないと思い余計に辛く暗くなって読むのが辛かった。
どの話もすごく現実的で角田さんのかく本が好きだなぁと痛感した一冊
Posted by ブクログ
身勝手で幼稚な独占欲、思い込みの激しさからやがて訪れる破綻。そこにある思考も、行動も何処か現実感に乏しい。
ただ、『光の川』だけはどこまでも、現実。描かれなかった実際の事件のその後までも、明日は我が身、ひたすら身につまされる。
京都伏見介護殺人事件/Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki…
Posted by ブクログ
一言で言うと、凄く「気持ち悪い小説」。
人間のおぞましさというか、客観的な理屈にそぐわない、自己中心的な解釈が溢れる一冊だった。
その生々しい人間の描写は、さすが角田光代という感じ。しかし、あまりに気持ち悪すぎて余程心に余裕がある時でないと再読はしないかな……というのが正直な感想。
この小説をより楽しむポイントは、タイトル近辺の新聞記事を最後に読むことだと思う。特に最初の『愛の巣』は、結末にゾッとした後、慌ててタイトル近辺の記事を読み返し青ざめた。
今まで気にも留めたことのない、タイトル通り新聞の三面記事にありそうな、どこかの誰かの「ふーん」で終わるような事件。それがこんなにも気持ち悪い理由で起こっていたんだ、と思わせられる小説だった。
【各話感想】
『愛の巣』
最初はごく普通の主人公だと思っていた房江。しかし、読み進めるうちにその性格の傲慢さというか、「自分の理屈が世界の正解」という感じが否めず、疑問を感じる。その後進んだストーリー自体も歪んでいき、最後は前述の通りゾッとし、タイトルを見返し更に青ざめた。このトリックの斬新さを楽しめたため、ある意味一番面白かったかもしれない。
【あらすじ】
優しい夫と二人暮しの房江。しょうもない夫の浮気の心配をする姉に辟易とする日々を送るが、ある時から姉は変わってしまった。そのうち、夫にも変化が……
『ゆうべの花火』
本作だけ急に二視点で構成されており、始めは戸惑った。後から見返すと☆と★で視点が切り替えられていた。この作品に関しては、性格的に好きになれる登場人物が一人も居ない。(まあ、本小説においてほぼ全ての作品がそうであったが。)
これに関しては素直に「記事の裏側、こんな感じなんだ」で終わった。
【あらすじ】
「先に好きになったのは私じゃない。向こうが、あまりにもしつこいから。それなのに……」
千絵は職場の男性の押しに負け、交際を始める。しかし、彼が既婚者だとわかった時から、彼の態度も千絵の愛も変わっていき……
『彼方の城』
この作品が群を抜いて気持ち悪い。主人公は恐らく自分の人生で一度も出会わないような人物なので、ある意味良い経験にはなったかもしれない。こんな人間が自分の母親だったら……と想像するだけで反吐が出る。事件を起こさない段階から、とてつもなくヤバい奴である。
【あらすじ】
こんなはずじゃなかった。夫は出ていき、娘は冷たく、息子はリビングに籠城して……
描いた「理想の生活」からかけ離れた毎日に、愛子はもどかしさを覚える。そんなある日、「ハヤト」という好青年に出会った。息子につけるはずだった、もう一つの名前候補。そこに愛子は運命を感じ……
『永遠の花園』
ほんのりと百合の香りを感じる物語。同棲愛までいかないけど、思春期の子供特有の、友愛と恋情と依存の区別がつかない、歪な愛と先生に恋する幼い愛の二つがテーマとなっている。にしたって事件についてはやり過ぎだろうとは思うが、女子中学生がリアルに描かれている作品だった。
【あらすじ】
亜実と菜摘は唯一無二の永遠の親友。そう思っていた。菜摘が教師のタマちゃんに親しげに話すのも、その胸の内を自分に打ち明けてくれるなら構わないと思っていた。彼女が変わってしまった、東京行きまでは……
『赤い筆箱』
この作品は気持ち悪いを通り越しておぞましかった。最初はよくある姉妹の、家族のすれ違いかと思っていたが、結末に進むにつれてその異常さが際立ってくる。嗚呼、犯罪者ってこんなイカれた思考回路をしているから、罪を犯すのだと納得してしまった。
【あらすじ】
赤は実智で、青は奈緒。昔からそう、決められていた。なのに何故、奈緒は今真っ赤に染まっているのだろう?
私たち仲の良い姉妹は変わってしまった。奈緒が自分の通う女子校に落ちた、あの日から……
『光の川』
この作品が唯一主人公が綺麗と言っても良いかもしれない。清く正しいわけではないが、人間味がある。きっと誰もが将来、彼になり得る可能性がある。自分が輝男の立場だったら、ここまで母親に優しくすることは出来ないかもしれない。本作に関しては人間の恐ろしさというより、「日本の現代社会の恐ろしさ」に重きを置いているように感じた。生きることで精一杯の人間には、立場が違えど共感する部分があると思う。
【あらすじ】
「たっちゃん、ご飯食べようね」
輝男は介護する母を、優しく呼んだ。
大切な母。守りたい。でも……