【感想・ネタバレ】太陽の季節(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

女とは肉体の歓び以外のものではない。友とは取引の相手でしかない……退屈で窮屈な既成の価値や倫理にのびやかに反逆し、若き戦後世代の肉体と性を真正面から描いた「太陽の季節」。最年少で芥川賞を受賞したデビュー作は戦後社会に新鮮な衝撃を与えた。人生の真相を虚無の底に見つめた「灰色の教室」、死に隣接する限界状況を捉えた「処刑の部屋」他、挑戦し挑発する全5編。(解説・奥野健男)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本書には5つの短篇が掲載され、うち3つで主人公がクズ男。
なぜだか、富野由悠季、栗本薫、たがみよしひさが思い出される。前二者はおそらく文体で。

クズ男が主人公といえば、たがみよしひさ。
『GREY』で知ってから過去の作品を遡り、一通り読んで、なんで主人公の男をこうもクズにするんだろうと思ったものだった。
『太陽の季節』を読んで、その答えが出たような気がする。物語というものは予定調和にもできる。例外はあるにせよ、多くの場合、主人公は死にはしないというお約束がある。なぜなら、感情移入した対象がひどい目にあったり死んでしまったりするのはつまらないからだ。クズならば、むしろひどい目にあえ、死ねばいいのにとさえ思える。主人公でありながら、ひどい目にあうからこそ物語を全うできる構図になる。予定調和であろうと、そうでない雰囲気にできる。やりすぎると船戸与一になる。

『太陽の季節』は1955年に発表され、センセーショナルを巻き起こした作品だと解説にある。
既知の作品でいうと『あしたのジョー』や『激!!極虎一家』などを思わせる風合い。不良少年、バンカラ、セックスと酒とギャンブル。1950年代には、そういった作品の下地となる作品や世相がすでにあったということらしい。
Wikipediaによると、三島由紀夫の『沈める滝』が先駆であり、武田泰淳の『異形の者』のフォロワーであるとみなされたそうな。

ヨットが関わるシーンの描写には一読の価値がある。
想像力は無敵とする作家がいる。しかし、経験しなければ書けないことは確かにあると強く感じさせる。これまで見落としていたのが悔やまれる。

近頃手に取った読み物で幾度も名前が上がったため、読んでみる気になった。『教養主義の没落』であり『コミュニケーション不全症候群』である。
気になった理由の一つが、世間に波風を立てた作家が表現規制をする側に立ったことである。確かに世間が騒ぐ作品であったことは確認できた。
表現規制をする側に立った理由は、自伝から読み取れるだろうか。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和30年代の文学作品に新風を巻き起こした作品。

実は戦後60年の歴史を勉強するまで、漠然としか知らなかった太陽族と
その言葉が生み出されるきっかけとなった「太陽の季節」

僕は当然ながらあの時代を生きてはいない。
でも戦後10年経った日本で、
石原慎太郎の処女作「太陽の季節」で描かれた主人公たち
特に若者の心をつかんだようだ。

個人的にはこの手の本は苦手だ。
そもそも女性は男性にとって愛の対象ではなく、
性欲の対象でしかみていないかのような、
そしてヤンキーが結局は若者のあこがれであり、
同時に女性もそういう男性に憧れていくというような話は僕には苦手だ。

また女性とSEXをしておいて、
子供が出来たら責任をとらないという
男のあり方が美化されているような気がして、少々憤りも感じた。
SEXは二人の自由だけれども、
その後起こることまで責任を持つ、これが男のケジメではないか。

でも戦後の時代に触れることができるという意味では良かった。

印象的なセリフ「灰色の教室」より
「男と女は互いに求め合うことが違うの、男が女に求めるのは欲情、
女が求めるのは愛情だって誰かがいってたわ。」

これを言われると、返す言葉がないんよね。
正しいともいえないけど、かといって反論もできない。
1950年代後半から今まで全く変わっていないんだと、
気付かされた瞬間でした。

石原慎太郎の本は、ヨットと女と暴力がよく描写されており、
僕の少し苦手な本だということはわかったので、とりあえずよしとするか。

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2013年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題の「太陽の季節」を含む短編集。
太陽の季節もそうだけど、図太くまっすぐな直線を猪突猛進で生きている主人公が、図太くまっすぐだけど、多くの人の道、道徳から外れているから、最終的には崖底に落ちていくんだけど、崖底に落ちる時も、崖があるのがわかっていても、そこにも猪突猛進で突っ込んでいき、案の定落ちていく。けっこう救いようのない話が多かった。
最後の2話「ヨットと少年」「黒い水」は他の話と少し違った。

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2012年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初はどこか今の時代にもありそうな恋愛をしていて、女のファッションとしての恋愛、過去の事象からの少し変わった男性観から男はリングに打ちのめされたような感覚から追いかける▶︎女が落ちたら自分がどれだけ好きで相手がどれだけ好きかを他の男や女を使って確かめる。その恋愛もとても幼稚で恥づかしながら自分の実体験と重ねてしまった。また、ラストのシーンでは英子の呪いのようなものを感じざるを得なかった。また、全く関係ないが拳闘と恋愛を対比、並立させて書いてあるのはかなり大学入試の現代文などで使えそうな内容であった。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

石原慎太郎のデビュー作、芥川賞を受賞したものの、倫理性を巡って揉めたとあるが、そりゃそうだと思った。

人が持つ闇の部分がエスカレートしていき、行き着くところまで行ってしまう、そんな姿が描かれている。しかしそれは、気狂いというより、誰もが持ちうる闇だと思う。それがまた恐ろしい。

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2019年01月04日

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