【感想・ネタバレ】両手にトカレフのレビュー

あらすじ

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が14歳の少女の「世界」を描く、心揺さぶる長編小説。寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられて――。

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Posted by ブクログ

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「小説でしか描けない子供たちのリアル」…舞台は現代の英国。交互に流れる100年前の日本人”フミコ”の少女時代。その救いのなさに主人公ミアが自らを重ねる。自分には愛情も友情もあり、福祉制度もある。それでも、追い込まれあきらめざるを得ない運命は同じなのだと。登場人物の人間関係は複雑でもなく、展開は入り組んでもいない。淡々と語られるが、起きているのはとんでもない出来事。終盤に訪れるクライマックスに強く心を揺さぶられる。ほっとする結末にしたのは、そうであって欲しい願望に過ぎぬかもしれぬ。物語は終わるが現実は続く。

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2025年03月16日

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ネタバレ

ミアは絶望的な状況にもかかわらず、弟とけなげに生きている。そんな彼女の救いは、時代も国も違うフミコの自伝だった。二人の少女の話が平行して進み最後には希望を見いだす。きっと彼女たちのように苦しんでいる子はたくさんいるのだろう。「まだ知らないたくさんのことを知るまで、まだ出会っていない人々に出会うまで生きなければならない。」違う世界があることを伝える力強いメッセージが届きますように、、、また大人たちが何ができるのかも考えさせられた。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地獄の中で「生きる理由」を掴み取る物語

この物語は、主人公・ミアが金子文子の自伝を読み進めながら、過酷な現実を生き抜く姿を描いた再生の物語である。
ミアと金子文子には、共通点が多い。
共に父親が不在で、母は男性や薬物に依存している。子供時代を子供らしく過ごすことすら許されない、あまりに過酷な環境だ
食事や住環境といった生存のベースすら危うい中、ミアは幼い弟の世話を一身に背負う「ヤングケアラー」として生きている。今の時代ならソーシャルワーカーに頼る道もあったはずだが、彼女はそれを拒む。助けを求めることは、最愛の弟と引き離されるリスクを意味するからだ。ミアにとって自分自身のことは二の次であり、弟こそが彼女をこの世に繋ぎ止める唯一の「光」だった。
金子文子の自伝の中には、彼女が死に希望を見出す瞬間がある。しかし、死の淵で文子は自然の美しさに気づき、「地獄のような世界の外には、こんなにも美しい景色が広がっていたのか」と生を思い直す。文子にとっての「自然」が、ミアにとっては「弟」だったのだ。
人はそれぞれ、異なる生きる意味や価値を持っている。あるいは、そんなものを持たずに生きている人もいるかもしれない。
しかし、どんな絶望的な状況にあっても、その命がそこに留まるための理由は、何かしら見出せるのではないかと感じた。
一方で、そんな「生きる理由」を必死に探さずとも済む世界であってほしいとも強く願う。
ミアは極端に大人を信用していない。それは彼女の冷めた視線や、世間に対する頑なな態度から痛いほど伝わってくる。彼女の過剰なまでの責任感は、「自分以外に弟を守れる者はいない」という絶望的な孤独の裏返しなのだ。
そんな彼女の価値観を揺さぶったのが、ソーシャルワーカーのミッチェルとの出会いだった。レイチェル自身もかつてミアと同じような境遇にあり、大人に助けられた経験を持つ。彼女の「子供を守りたい大人もいる」という言葉は、ミアの凍てついた心を少しずつ溶かしていった。物語の終盤、ミアを迎えに来たのがレイチェルであったことは、ミアがこれから「子供」として生きていくための大きな希望となるはずだ。
子供時代に受けた愛情やトラウマは、その人の人格形成に計り知れない影響を及ぼす。DVやネグレクトの傷跡は、大人になっても消えることはない。それを乗り越えるには、本人の努力だけでなく、周囲の理解と専門的なケア、そして社会全体の想像力が不可欠だ。トラウマと共に生きることは、それだけで膨大なエネルギーを消耗する。
そうした過酷な運命を強いないために、大人は子供を守る義務がある。それは親個人だけでなく、社会組織、そして私たち全体で取り組むべき課題だ。

社会がその責任を果たすことこそが、ミアに「トカレフ」を手渡さずに済む未来を作るのだと信じたい。

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

金子文子さんの少女時代と、現代のイギリスを生きるミアの生活が絶妙にリンクして、時代や国が変わっても、貧困や無責任な大人の下で苦しむのはいつも子供達であるということは変わらないのだとあらためて思う。
ふたりの少女の話が交互に進むのでミアの感情が分かりやすかった。
逃げ惑いながらも弟を守ろうとするミアの姿に胸が苦しくなった。



それは驚くべきことだった。そこにあるのはNOではなく、YESだったからだ。
ここにあった世界には存在しなかった言葉が、ここにある世界には存在し始めている。
ミアはゆっくりとあたりを見回した。
私の、私たちの、世界はここにある。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

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親からネグレクトを受けている貧困のイギリス女子高生と、実在した日本人の幼少期の話がクロスオーバーしていく話。日本人の方にはトンデモナイ性悪ババアが出てくるけど、あれ実在の人物かよ…。どのディズニーヴィランよりも性悪だわ。

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2025年01月02日

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