あらすじ
小さな病院は命がけでコロナに立ち向った。
『神様のカルテ』著者、最新作!
感染症指定医療機関でコロナ禍の最前線に立ち続ける
現役医師が自らの経験を克明に綴った記録小説!
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より
※この作品は単行本版として配信されていた『臨床の砦』の文庫本版です。
(底本 2022年6月発行作品)
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匿名
医療従事者の皆様に感謝
コロナ禍、医療従事者の方々の苦労は計り知れない。
先行きの見えない中、見えない恐怖と戦いながら、最前線で患者を受け入れ続けた医療現場の臨場感が伝わってきました。
Posted by ブクログ
敷島先生の中庸なものの見方と、決めきれないからこそのじっくり考える姿勢は、本を読んでいても、落ち着きと安心感を覚える。夏川先生の本は、いつも主人公に「落ち着き」があるので、ホッとさせられるし、短い言葉で端的に綴られる想いや状況はスッと頭に入ってきて、とても読みやすく、刺さる。
当時、重症化リスクの少ない私は普通に活動したほうが経済面で良いと思っていた。ただ、基本引きこもりなので、双子をベビーカーで土手に連れて行く以外はほぼ外出せず。そんな私の行動も医療従事者にとっては恐怖を感じさせていたのかと気づかされた。都内で過ごす人と、医療現場の人とで、見え方が全く違うのだなぁ(ついでに言えばトップの人も)。医療現場の方が大変な状況で、大変な思いをされながら、自身の命を削りながら、患者さん達命の仕事に向き合ってくださっていたことに感謝。
本当に、砦だったのですね。
最後の病院長の言葉も素敵だった。こんなトップがいてほしい。敷島先生が看護師さん達のことを心配するのもありがたいし、陣頭指揮をとる先生の優秀さも素晴らしく、この人の下で働きたいと感じる。このメンバーだからこそ第三波を乗り越えられたんだなぁ。
夏川先生の著作らしく、どのメンバーも個性的で頼りになる。実際、現場はこんなに人材に恵まれているのだろうか。それともこれは物語だからなのかしら、とふと疑問。
ありがとうございます。次作も楽しみです。