【感想・ネタバレ】iのレビュー

あらすじ

アメリカ人の父と日本人の母のもとへ、養子としてやってきたアイ。 内戦、テロ、地震、貧困……世界には悲しいニュースがあふれている。 なのに、自分は恵まれた生活を送っている。 そのことを思うと、アイはなんだか苦しくなるが、どうしたらいいかわからない。 けれど、やがてアイは、親友と出会い、愛する人と家族になり、ひとりの女性として自らの手で扉を開ける―― たとえ理解できなくても、愛することはできる。 世界を変えられないとしても、想うことはできる。 西加奈子の渾身の叫びに、深く心を揺さぶられる長編小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.7.5
話の進め方、間の取り方がすばらしい。一気に読んでしまった。読まされてしまった素晴らしい文章力。10年経った今でも鮮明に思い出すあの報道写真。それを元にした一冊なんだと分かったのが物語の最期・・・。それを知ってまた最初から読みたくなる。あまり西加奈子さんの本を読んでこなかったけど、全部制覇してみたいなと思わせる本でした。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

i,愛、アイ
端的に言えば血と愛のお話。国宝を見た後だからかこの血という部分についてすごく親近感を持って読み進めていた。アイが自分の存在についてさまざまなことを経験し、自身の存在を確固たるものにしていくお話。
何というか読んでて苦しい部分もあったけど、最後は期待通りの綺麗な終わり方。読みたく無いけど、読み進めたいそんな矛盾を感じながら読んでいた。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

濱崎成男

矢吹沙羅

風間
数学教師。上級生たちに「アテネ」と呼ばれていた。

ワイルド増田アイ
アメリカ人の父と日本人の母を持つ。養子の女の子。1988年にシリアで生まれた。小学校卒業までニューヨークで暮らす。ノートに世界で起こった災害や事故の死者数を書く。国立大学の理工学部数学科に進学し、院にも進んだ。

佐々木譲

高梨沙耶香

ダニエル
アイの父。航空部品メーカー勤務。
定年前に退職し、人道支援団体に所属し活動に。

綾子
アイの母。

アニータ
アイの家で働いているシッター。ハイチからの移民。カタリナ、レジーナ、フローレンスの3人の子の母。お金を盗んで解雇された。

パウウソティア
アニータの後のシッター。

キョウコ
アイの日本語の家庭教師。

田丸陽子

平子沙希

権田美菜
ミナ。高校時代の友人。家は老舗のこんぶ屋。

ダーマット・ワイルド
ダニエルの祖父。アイルランドからの移民。

エヴァ
ダーマットの妻。

ジェイムス
ダニエルの父。

フロレンティナ
ダニエルの母。ポーランド移民の娘。

ブルーノ・カミンスキ
フロレンティナの父。

イザベラ
フロレンティナの母。

ジョージア
ダニエルの姉。

ロバート
ダニエルの弟。

ドナルド
ダニエルの弟。

栄吉郎
綾子の祖父。

武久
綾子の父。

なつめ
綾子の母。

豊作
なつめの父。

邦子
なつめの母。

美子
綾子の姉。

政子
綾子の姉。

内海義也
アイと高校3年生の時に同じクラス。プロのミュージシャンを目指すため進学しない。ウッドベース。ジャズ。叔父がプロのミュージシャン。アイの初恋の人。

ケイ
ミナの交際相手。ニューヨーク在住。ミナが大学に入った直後に別れた。

奥田
中学生のときに三平方の定理の美しさに魅せられた。

笹山
解析学の教授。

佐伯裕
ユウ。フリーのカメラマン。原発反対デモでアイに声をかける。アイと結婚。

津島
複素解析論の教授。

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2025年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2004年デビューの西加奈子さん。彼女の2016年の作品。

米国男性と日本人女性の家庭に養子となったシリア人アイの物語。彼女のガラスのような繊細な心、それを取り巻く周囲と彼女の自身への嫌悪感や罪悪感をざらりと描く作品。

なお、珍しく関西弁が出てこなかった、と思います。

・・・
ということで、本作はアイというシリアが出自の女の子のお話。お父さん(米国白人)、お母さん(日本人)と血のつながらないという設定。

彼女は、雰囲気の読み取りが巧みで、かつ両親の気持ち・周囲の期待も理解する。でも、裕福な家庭で育つことへの罪悪感、シッターを雇うくらいの家庭でのシッターとの身分の違いにとことん悩む、そういった少女です。

当初米国で生活を送るも、後に父親の転勤で来日し、私立中学、私立高校と進み、ユウというかけがえのない友人を得る。

後に、ヘテロであるアイは不妊に悩み、体外受精を行うも流産。大きく心を乱します。一方レズビアンのユウは一時の過ちで妊娠するも、堕胎を予定する。親友然とした彼らの仲はこれを切っ掛けに、引き裂かれ、そしてまた繋がってゆきます。こうして、物語は大団円を迎えます。

・・・
まあ本作の何がすごいかというと、この心の微妙な動きを的確にピンポイントで、しかもそれを自然に表現し文章を紡いでゆくことでしょう。

私みたいにがさつな人間はアイのような繊細な人も、『こいつめんどくせえ』って思ってしまいますが、それでも、文章の多彩さ、気持ちの「あるある」を見事に描くものですから、全く飽きずに読み終えてしまいました。

アイのように、他者と比べて劇的に幸運をつかんじゃった人だと、自らの幸福に罪悪感を(それこそ病むほどまでに)感じてしまうのでしょうね。もし私が近くにいたらみうらじゅんのエッセイでも貸してあげたくなったことでしょう。

その感受性の豊かさに、逆に居たたまれなくなります。本人もそれがおかしいと分かっているのに止められないのがもどかしい。

・・・
ということで、久しぶりの西作品でした。
個人的には物語の筋は普通。感情の機微は「あるかもなあ」という感じ。でその感情描写の的確さ・表現力は抜群。すごい。

西作品は言葉を味わう作品であると感じた次第です。

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2025年04月04日

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