あらすじ
「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす、人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結びついた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など、人の営みをめぐる地名。音やまなざしから付けられた名まえ。消えた地名、新たに生まれた地名……。空を行き交う鳥や風のように伸びやかに、旅した土地の名まえから喚起される思いを綴る、二作の葉篇随筆を合本した文庫版。(解説・吉田篤弘)
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Posted by ブクログ
地名に関する葉篇集
掌編ではなく~の理由が梨木さんらしくて好き
論文のように堅くなくてあくまでこうかな?そうだったらおもしろい、というスタンスなのが読みやすい。
実際にその土地に訪れたからこそわかる空気感が伝わる。行ってみたくなる。
子音+yuuの音
古代、使われていた言葉の発音は、今の日本語のようにかっちりしたものではなく、もっと風の吹く音のような、小鳥のさえずりのようなものだったのではないかと思うと、そういう言葉が飛び交う日常を想像して楽しい。
叱る声さえ、鳥の声のように流れていく、そういう日常。会議や怒号になると、大風が吹いているような感じなのだろうか。
Posted by ブクログ
再読。気がつかないうちに失われていく地名。それに対して無知であり、関心を持たない自分。その事実と大切さに気づかせてくれる本だった。これ以上失うことがないように祈ることしかできないけれど。