【感想・ネタバレ】冬虫夏草(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「家守綺譚」の続編。

前作よりも現代的な文体になっていて、前作の語り口が好きだった私としてはちょっぴり寂しい気もしましたが、前作同様「あるものをあるがままに受け入れる」という梨木氏の哲学が貫かれている。

「そのときどき、生きる形状が変わっていくのは仕方がないこと。(中略)人は与えられた条件のなかで、自分の生を実現していくしかない。」

こちらも見事な一作でした。続きを読みたい気もするのですが、この作品で終わりのようですね。名残惜しいです。

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2025年07月22日

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ネタバレ

物書きの綿貫は非日常的な日常を過ごす中、いなくなった犬のゴローを探すため鈴鹿に向かう。

ひたすらどんどん歩いていく少し昔の旅。愛知川に沿った旅なので河童やイワナの夫婦など水辺の不思議な生き物との邂逅が多い。

高堂もくせつよ(今回出番があまりない)だけど今回はさらにくせつよつよの友人・南川が印象に残る。個人的におかみさんの出番が少なかったのがちょっと寂しい。

ゆったりした世界観を存分に味わいました。続編が出たら嬉しい。




永源寺から車で20分ぐらいのところにコストコができてGoogleマップで見ると道路が綺麗になってますね。でも田んぼも多くてこれ以上開発されるってこともなさそうな気がするし今の状態でさらに月日が流れていくのかなぁ。

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2025年01月31日

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ネタバレ

この物語の中にいつまでも浸っていたくて、毎日少しづつ時間をかけて読み進めた。
知らない植物や言葉が出てきたら都度調べながらゆっくりと。
昨日の続きから読み始めようと思って、本を開くが、昨日読んでいた物語の内容がパッと思い浮かばない。
少し戻って話を思い出してから読み進める。
面白くなくて話を忘れているのではなく、現実とそうでない世界との境界線が曖昧で物語に入るのに少し時間がかかるのだ。

最後、ゴローが此方に向かってくる時の文章が、自分の目が綿貫の目になったかのように、ありありと思いうかび思わず涙してしまった。

家守奇譚と冬虫夏草はこれから先、何度も読み返す作品だと思う。

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2024年09月23日

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ネタバレ

続編があるとは知らず…見つけた時は小躍りした(笑)ゴローの出演回数が少なかったのが残念だが、最後は感動して涙が出そうになった。ゴロー、ちゃんと愛されてる…ダアリヤにももっと出てほしかった。

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2023年01月31日

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ネタバレ

前作の家守綺譚に続き、どこか現実で無いような、でも何処かに確かに有りそうな世界の物語。ゆったりと世界に浸って、いつまでも読んでいたくなるような感覚は、この著者の世界を見る目と、言葉の選び方から来るのだろう。
美しい日本語、というのはあまり好きでは無い言い方なのだが、この小説に出てくる言葉達は、確かに美しい。亡くなる、を、はかなくならはる、と言う。秋が長引くことを、秋が老いた、と言う。ほんの少し前まで、持っていた感覚を呼び覚ましてくれるような言葉遣いが、実に心地よい。
特に好きなエピソードは、キキョウとマツムシソウ。初めて読んだ時はよく繋がりが分からなかったが、再読して、何と美しい話だろうと思った。故郷を離れた山奥に強制的に嫁がされた孤独な老女の魂が、時を越えて主人公の優しさに救われたのだと思う。「おなつかしい」の一言には、どれ程の思いが込められていたことか。
あとは、杉のエピソード。追われた虫もかわいそうでっしゃろ、と言う言葉が、どこまでも優しく、美しい。イワナの話もそうなのだが、生まれは選べない以上、今いる場所で精一杯生きていく、周りはそれを支え、受け入れてあげれば良い、と言う姿勢は、(情けない話だが)昨今からするとひどく貴重なものに思える。このあたり、理解は出来なくても、受け入れることは出来る、と言う、「春になったら苺を摘みに」にある精神にも通じるように感じる。
ゴローが見つかるようでみつからず、このままずっと旅が続いて行くのか、と思わせられていたら、最後で急にゴローの姿を認める展開は、最初読んだときは唐突な感もあったが、何度も読むとこれで良いのだと思える。ついゴローの手がかりが徐々に見つかり、ややもすると竜の洞の冒険を経てゴローと感動の再開をするような展開を想像するが、それは結局、こちらの独りよがりと言うものかもしれない。ゴロー失踪の理由、河桁のこと、竜の洞のことが分からなくても、それはそれで良い。わからないものがある、と言う事も、たまには受け入れるべきなのかも知れない。分かるべき事なら、いつかは自然と紐解かれることもあろう。名を付け、理解しないと気が済まない、というのは、時には悪癖ともなり得る。結局、「手に負えぬ煩いは放っておけ」というのも、また大事なのではなかろうか。

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2021年12月12日

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ネタバレ

浮世のゴロー探し散歩。

ゴローよ、おまえ
忠犬だったのか。
ま〜っっっっっっっっっっっったく気づかなくて

ゴメンなーーーーーー!!!!

忠犬というか、賢いとか利口な感じ。
浮世系かわいいワンコ、ラストの描写が尊いなっ、と。

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2025年08月17日

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ネタバレ

家守奇譚に次ぐ作品。西魔女と比べると、文体が慣れない。相変わらず不思議な話で、頭のイメージが追いつかない。いつの間にかゴロー探しの話になる印象。この2作品を読みながら、日常生活からの離脱を味わう。

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2023年12月02日

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ネタバレ

作品的には前作のほうがよかったけれども
こちらも負けず劣らずに不思議な雰囲気を
醸し出しています。

今回も不思議なものたちに出会います。
河童にも出会いますし、
死が近づいているものにも出会います。
そしてこの世の者でないものも…

綿貫はどうも優しすぎるんですよ。
死んでしまった人をついてこさせるとは
まあ罪深い…

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2023年08月10日

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