あらすじ
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ち構えているとも知らずに…。乙一の長編ホラー小説。
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Posted by ブクログ
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに…。乙一の長編ホラー小説がついに文庫化。
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やっぱり好きだなあ、乙一。
現在はまだ眼球の移植は行われていないらしい(角膜はできるけど)
細かい設定がちょっと分かりにくかったけど、気持ち悪くて面白かった。
Posted by ブクログ
2回目か3回目です。
気味の悪いグロさがあるものの、わかっていてもミスリード具合が好きで楽しく読めます。
乙一さんのグロシーンは本当に気味が悪いので好きです。
Posted by ブクログ
乙一さんなのでグロは覚悟してたけど、もはやダークファンタジーのようなほのぼのさまで感じる。
目の移植。移植前に見た景色をもとに誘拐された少女を探す。少女は体の欠損すらも心地よく生かされていた。
お姉ちゃんの鼻水だけが意味わからない。なんの回収もなかったなぁ。
9割まではすごく面白かった。最後の1割が失速した。
本編よりも、中のカラスと少女の童話の方が面白かった…
Posted by ブクログ
もう、本筋と関係ないところからして、怖いんです。
人への好意で目玉をえぐり出すカラスとか。
それでなくてもカラスに襲われてから、カラス苦手なのに。
だけどさすが乙一。
怖いんだけど、グロいんだけど、切ないところもちゃんとある。
初の長編小説らしいけど、やっぱり巧い。
ネタバレになるから詳しくは書けないけれど、犯人である人物の、痛みに対する無感覚が恐ろしい。
痛くないから何もない、わけではない、のに。
語り手の菜深(なみ)は、事故で失った記憶と左眼を失った。
が、記憶にない、リアルな夢を見るようになった。
その代わり、頭が良くて明るくて運動神経が良くてピアノの得意だった菜深は姿を消し、何をやっても人並み以下のおどおどした菜深は、家でも学校でも居場所がなく…。
これだけ怖い話なのに、悪意で行動した人がいないのに驚く。
最後は少し寂しい気がするけれど、記憶を取り戻したパーフェクトガール菜深が、記憶喪失中の自分を忘れまいとするところがよかった。
”絶対に忘れない。私の知っているだれよりも強く生きた、あなたのことをいつまでも覚えていよう。”
Posted by ブクログ
どんでん返し要素が強いホラー。人間を解体する描写や犯人の倫理観がねじ曲がっている部分がひたすら怖かった。また、主人公が記憶を取り戻した時に「あのときの自分を忘れない。」という台詞が「二重人格とは違うけど確かに存在したもう一人の自分」というものを表していて印象に残った。
Posted by ブクログ
目ん玉をくりぬく鶏、人体解剖する猟奇犯、全体的に、身体を傷つける描写が多くてグロい。ただ、猟奇犯・住田の特殊能力と、彼に監禁された子供たちとの奇妙な関係に惹かれ引き込まれた。
相手の身体を傷つけても、痛みを与えず生かせる──サイコキラー住田の能力が、人体実験を好む彼の性格と噛み合ってて面白い。生かしたまま痛めつけられるなんて、彼からしたらありがたい才能だよね。
幼いころから生命の限界に興味を持ち、どの程度身体を破壊したら生きてられるのか、それを検証するための実験が痛ましい。
昆虫の身体中に針を刺しまくって、手足がぴくぴく動く、限界ラインを見極めるのは気持ち悪かった。猫を切断したのもドン引き。
実験欲がエスカレートした彼は、ついには人間にも手を出し、子どもたちもターゲットに定め誘拐。
麻酔なしで身体中をノコギリでバラバラにされた子どもたちが、まったく痛がらないのは不気味だ。
引用
「女の子がみんな、手足を切られて平気な顔できるとは思わないで」瞳は自分の体を見て、付け加えた。
「私、以外にね」
それどころか、むしろ傷つけられることを受け入れてるのも理解できない。斬られた身体の一部は生きたままだし、ふつうに住田と会話してるのも奇妙。住田からしたらペットみたいな存在なのかな。
引用
「ここに来た人間は、みんな手術を受ける。幸福な手術だ。そして閉じ込めれる。不思議とそれは苦痛ではない。まるで時間が停止したように、すべてから解き放たれた気分になる」
まさか斬られるのが苦痛じゃないなんて...苦痛ではなく幸福を与えてたなら、悪人ではなく善人なのでは?とも思わされた一文。
被害者が「幸福な手術」と表現してるところをみると、住田への絶対的な信頼感をうかがえる。
引用
彼は人間を殺していたのではない。ただ分解して、生命というのはなんなのかを見つめていたのではないだろうか。
最後に住田と激闘を繰り広げ、満身創痍なりながらも、彼を葬った後の主人公・菜深のセリフがしみじみする。
単純に生命についての知りたい欲が強かっただけ、といいう解釈が面白い。
道を踏み外さなければ、その治癒能力をもっと良い方向に活かせたはずなのに...。
とにかく住田のキャラが強烈。
殺戮衝動と治癒能力を併せ持つ、サイコキラーものでは見たことない設定が印象に残る1冊だった。
Posted by ブクログ
途中何度読むのをやめようと思ったことか。
小説の面白さを評価するよりも、
グロテスクな表現が頭にこびりついて離れない。
このような内容だと知っていたら、読まなかったと思う。
最近、何気なく手に取る小説やなんとなく見るドラマに
やたらと主人公と別な人格が関わるものが出てくる。
これは何かの啓示なのだろうか。
たとえば今の私は、実は以前の私とは別な人格で
そのことを忘れているということを無意識に教えてくれている。みたいな。
そんな突拍子もない現実逃避をしなければならないほど
暴力的な描写が所々出てくる。
特に血生臭い内臓系の話が苦手な方は読まない方がいい。
乙一さんの本を読むのはこれで三作目だが、
うちニ作が死体が出てくる話だった気がする。
3分の2でグロテスク。
もしかして、そちらが得意な作家さんなのかもしれない。
そうだとすると、その描写が苦手な私は
彼の作品はもう手に取ってはならないのだと思う。
でも『暗いところで待ち合わせ』がとても好きだったので、
私はきっとまたチャレンジすると思う。
次の作品が、4分の1になることを願って。