あらすじ
失恋した「あたし」は雷に打たれ、目覚めるとそこはパラレル平安朝。
彼女は、大人気小説「源氏物語」の作者・香子さまのもとでネタを探す女房・小袖となっていた。
夕顔、末摘花、葵―おなじみの女人達を訪ね、その真実の生、歓びと悲しみに触れた時、
時空を超えた友情がめばえる。感動の王朝SFミステリー。
解説・山本淳子
※この電子書籍は2011年7月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
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Posted by ブクログ
不倫をしていた上司から妻が妊娠したから別れたいと告げられた主人公のあたし。
死んでやると飛び出して、結局、ばかばかしくなって家へ戻ろうとした時に落雷!
気が付いたら、そこは自分のしっている平安時代と微妙にずれた感じの平安京。しかも、別人になっていた。その名は小袖。
彼女は「源氏物語」を書いている香子付きの女房だった。
すいません。積んでました(;^_^A
で、先日の大河の紫式部で引っ張りだして読んだら、ものすっごく面白かった! しかも解説が山本淳子さんだし(大好き)
小袖は香子が「源氏物語」を書くためのアシスタントとして、うわさ話やモデルにしているのではと言われている男性陣の動向を調べるのですが、そこで「源氏物語」に出てくる男性の自分勝手な部分に怒りを感じたり、血筋が良くても通ってくる男性がいなければ貧しい生活を強いられるしかない女性への哀しさなどを感じていくところがとっても好きです。
私も、光源氏の女癖の悪さというのか、いつまでも永遠に母なる人物を求める(別名マザコン)ところがとても苦手でして……。
中心になるのが、夕顔・末摘花・葵・明石・若紫となります。そこで小袖としてのあたしは生霊など信じていませんから、そこにある人間の業であったり、病だったりを見つけてしまうのですね。真実を知ることは切ないなぁと改めて思ったりもしました。
それでも、戻る方法がわからないあたしは小袖として、香子に仕え続けるのですが……。
あたしの源氏物語の感想が自分のものと近いので、とても共感してました。
そして、最後に山本さんの身と世と心について語られている解説が心にしみます。
楽しいけれども、考えることも多い作品は大好きです。再来年の大河ドラマを楽しみにしている方にも是非ともお勧めしたい一冊でした。
楽しかった(*^^*)