あらすじ
これは資本主義経済の最終局面なのか。デフレによる価格下落は止まらず、無料・格安と銘打つ赤字商売も盛んだ。「1円家電」を売る家電量販店は、家電メー カーから値下げ分の補助金をもらい、「1円航空券」を扱うアメリカの航空会社は、持ち込み手荷物・ドリンク・ヘッドフォンなどあらゆるものを課金対象とす る。販売商品は赤字でも、これまで無料だったもの、こちらがお金を支払っていた相手からお金を吸い上げるのだ。倒錯する経済の時代の稼ぎ方・利益創出法を 伝授。
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Posted by ブクログ
何気ない消費行動。ものを売る考え方、どうやら時代の流れとともに変わってしまってるようだ。
著者の『ほしいものがないのに、何かを消費させられている時代。
企業は消費者に何とか財布を開かせようとし、いったん財布を開いたらどこまでも開かせようとしています。
もはや、お店に行って何かを「買わされること」は消費者にとってひとつの労働となりました。』という買うことが消費者の労働がという指摘はとても新鮮で衝撃的な的をいた指摘と思う。
Posted by ブクログ
オーバーアチーブの発生や上昇志向への疑問といった事象への解説に納得。坂口氏の本は、通常ビジネス書が自明とするもしくはうやむやにする前提に切り込んでいくから大好きだ。4章以降の記述には引き込まれた。おすすめ。
Posted by ブクログ
「赤字は素晴らしい」というスタンスで執筆にあたっている本。
一章では主に家電業界の仕組みの説明であり、「赤字で販売することで「この店は安い」という印象を与えられる」「付帯サービス(マスコミが取り上げる、最初にドアをくぐる抵抗感を減少できる)を得られる」ことは本書を読むまでもなく知っていたが、商品を売る代わりに販売協賛金をメーカーから貰っていることや、商品を安く提供するということは最終的に労働者に負担がかかっている(働きに応じた給料をもらえない)という考えは初耳だった。
二章では、赤字商売が進められた結果、中古のヘリを使ったクルージングなどの赤字で販売したとしてでも固定費を有効活用しようとする商売の出現や、航空業界など固定費が多くかかる業界は、ポイント発行などの赤字販売をしがちになり、それを利用して他にお金を使わせるようにしないと行き詰まってしまうと説明している。そして、これまでは「お金を払って記事を書いてもらう」ような業種が「お金をもらって記事を書かせる」というビジネスモデルを登場させたことにも注目している(All Aboutなど)。
それにしても、「ヤスオク(激安オク)」などの「買わなかった見込客からもお金をとる仕組み」は、ネットオークションを利用したことのない私にとって衝撃的なものであった。
三章は無料ビジネスでどうやって収益を得ているのかについてある。 固定費がほとんど掛からない商品を無料で提供し、気に入った人から商品のさらなるサービスを受けるためのお金を貰い固定費にあて、お金が払われなくても、その場合は広告宣伝のスポンサー収入を得ることができる。ただし新聞社のような、他商品と大して差のないものしか提供できない場合は利益を確保できず、結果的に質の良いサービスのみが利益を得られるというものであった。iPhone(16G)の機種代金が無料の理由、DropboxやSkype、ミュージシャンの無料音源が配布される仕組みについても、この章で触れられていた。
四章では何故「赤字は素晴らしい」のかについて触れている。
この章で興味深かったのは、「欧米では「神様のため」という奉仕精神・宗教心があるのに対し、日本では「お国のため」という思想であった。しかしモノがあふれた今日では自分の行為への不安が生じ、さらに赤字販売のおかげでモノが安く(時には無料)手に入ってしまうので「何故頑張らなければいけないのか」という考えが生まれる」という考察がなされていたことであった。
「このような考えが根付いた社会においては「変身・権利・承認・感動」をキーワードとした職業が商品となる」という考えは間違っていないと思う。そうでなければ、わざわざ顔出しまでして人の注目を得ようとするYouTube、Ustream、ニコニコ生放送の利用者はいないと思うのだ。
そして筆者の結論は、それらの価値観も是とした上で、「これまでは「お金を得ることが大事」という考えが主流だったが、今は「やりがいを得ることが大事」となっている。しかし、その流れに乗ること無く、他と差別化が出来る商品(技能)を提供することも出来る」という、言ってしまえば「赤字とはものを安く買うことが出来るだけでなく、すぐれたサービスがあれば自分を安売りすることなく利益を得ることが出来る環境だ」というものであった。
最初にタイトルを見たときは「いろいろな情報を詰め込んだだけの本なのではないか」と思ったが、とても面白い本であった。
自分用キーワード
固定費/変動費 販売協賛金 (節税のための)減価償却費 航空業界などの(非)サンクコスト固定費 クリス・アンダーソン『フリー』
Posted by ブクログ
生産者が消費者にお金を支払って商品を販売する逆転経済。そのツケは労働者の自分に還ってくる。なるぼど、モノが売れない時代を象徴した現象だと思う。
唯一の答えがない現代において、自分はどうするべきか考えるきっかけになる良書だと思う。
Posted by ブクログ
私に新しい視点を提供してくれた。第4章だけが刺激的
・お金を払って売り、お金をもらって買うのが逆転経済
・お金を払ってでも働きたいが商品になる…音楽の素人ライブとか
・同じ0円なら気持ちのイイ小売りから買う。店員、店舗の対応を買っている
・欧米では勤勉に働くことの意義は宗教的背景にある
視点としては参考になったが、赤字は素晴らしい、希望を感じるという著者の考え方には全く同意出来ない。マクロ経済的に破綻すると思う。わざと刺激的に言っているとしか思えない。
・フリー商品は、入り口だけであり、その先で元をとるビジネスモデルは既知。
Posted by ブクログ
売る人は、利益を消費者でなく、どこに見出すのか、世の中変わって、多様性の時代です。
お客さんでなく、メーカーに回ってきたので、そのしわ寄せが労働者の賃金が下がる。回りまわってデフレになっている。
自費出版に代表される、自己表現したい人からお金を取るビジネス。などなど。
ただ、激安オクの紹介があったが、あれは胡散くさい・・・と思っていたら、現在では、すでにサービス終了。やっぱり・・・
それにしても、何の為に働くのか?
宗教的背景、資本主義の歴史、働かされている感・・・と話がどんどん発散していくあたり、面白かったんだが、本書のタイトルからは想定外の展開で、もうちょっと別の本で、きっちり読ませてもらいたかった。
(2011/2/11)
Posted by ブクログ
赤字は素晴らしい、それは赤字でも下記の良い点があるからである。
赤字覚悟の目玉商品は良い広告宣伝になり顧客を引き寄せる。また、この店に来ればお得なものがあるというイメージを受け付けリピーターを増やせる。
売れ残り商品でも固定費の分は回収できる。
本体は安くても付帯商品(オプション、消耗品)などで稼げる。
ホテルや航空機は空いてる席だけ損をする、なら赤字でも埋めればいい。
最初は無料にして、後から有料オプションでお金を稼ぐ。
Posted by ブクログ
固定費には2種類あり、サンクコスト、すでに支払ってしまったものと非サンクコスト、これから支払う固定費
商品が売れない場合は、固定費を減じて販売していき、変動費+1円まで売価が下がっていく
Posted by ブクログ
なかなか斬新な視点で、販売や価格、利益の不思議さを解説している。
ちょっと思い込みが強いというか微妙に神がかり的な感じがあるのが気になったが、「おわりに」を読んで背景が納得できた。
すべて理解できた訳では無いが、「いまを愉しむことが大事」、非常に重い言葉である。
Posted by ブクログ
モノが1円で購入できたり、無料で閲覧できたり、快感を得れる時代。
結局、その中のキーポイントは、
どうせ、安くで買うなら気持ちのいい店から買おうとか、
この人から買いたいなぁとか。
そうゆうサービスの感動を通して購入するため、近頃のサービス力の見直し方は目を見張る。
その背景には、メーカーがお金を払って、消費者に安くで購入してもらったり、
小売りが安い店だと思わせて、客引きをしたり、イメージ戦略の一環だったりする。
生産者が消費者にお金を支払って商品を販売する【逆転経済】
結局、そのツケを払わされるのは、消費者である「労働者」
労働者自体が、自分の首を絞め、
同じく消費者である自分が、安くで幸福を得る。
作者は浪費家の様に感じるが、そうゆう社会を少しでも打開しようとしてるのではないだろうか?
安い幸せのために、安くで働くデフレ社会。
その中のサバイバル競争に勝つには、
「変身・権利・承認・感動」が勝ち組となる。
欲しい物が無い時代に、何故か買ってしまう商品。
このデフレ社会、赤字商品の羅列の中で、いかにそれを考えれるかが、これからのポイントになり得るだろう。
Posted by ブクログ
消費は労働になってしまったと作者は言う。
そのために逆転経済が起こるのだと。
時代を乗り切るためには消費をエンタテイメントにする必要があると感じた
不思議な表現だがお金を払っても欲しい物を、買う事自体が楽しめるようなモノを創造する必要性がある。
何はさておき、大手家電量販店にメーカーが払う、販売支援金のようなモノに驚きを隠せなかった。
後、作者はもうちょっと倹約したほうがいいと思う。
無駄遣いが多そう。
Posted by ブクログ
何かと思ったら、経済学の本だった。売る方がお金を払う、消費と言う労働を強いられていると言うのは、なるほどと思った。その筋では普通の説明なのかもしれないけども。
結局、最後に負担をするのは労働者=消費者
Posted by ブクログ
iPhoneという題名につられて読み始めたが、iPhoneに触れているのはごく僅かで、無料や格安サービスの利益の上げ方についての解説が殆どだった。自分が無料サービス等の提供をはじめるにあたって読んでおいていい本。
Posted by ブクログ
デフレ経済における赤字戦略について。現代を跋扈しているフリーを始めとした「損して得取れ」方式の説明本。それにまつわる過去の原因やこれからの行く末の部分が微妙だし、説明される戦略も今更感でもはや特に新しいものでもない。FREE->SHARE->PUBLICの流れやMAKERSを読む前に読んでおくと、さらっと概要が伺えていいかも?読んでないけど!
Posted by ブクログ
無料サービスや激安商品などの現象の仕組みを分析しわかりやすく解説してくれる。逆転経済、消費が労働にとなっているなどの新しい視点で今の経済を解説してくれる。